【日記】来世のこと

 先週、現世に希望が持てず希死念慮が酷かった。死にたいわけじゃないのに、ふとした拍子に自死しそうで、それが非常に怖かった。とりあえずじっとして、少し元気なときに精神病院に電話。予約。火曜日に薬を貰い少し眠れるようになる。
 人と会っているときは非常に元気である。サーヴィス精神も豊かだと思う。しかし実際はただの陰鬱とした空虚な人間であり、長く誰かと一緒にいると相手を不幸にする確信がある。他人には気さくに接することができるが、親密な相手に対して冷淡になる性質があることも知っている。それで
反省することが多々ある。反省なんてもんじゃない。後悔で頭がおかしくなりそうになる。最近、来世を信じるように努力している。現世が駄目でも、来世ならばいいことがあるかもしれない。あと自分は物語を紡ぐことに、向いていないと思う。そして人は、向いてない人が向いてないことに一生懸命にやってることが、変で、面白がっている。

 最近、面白い小説や映画を三つ鑑賞した。ロイ・アンダーソン監督『ホモ・サピエンスの涙』。まだ冒頭15分しか観ていないが、よくわかるな、と思った。何か自分の忘れていた大切なものがここにある気がする。
 ブッツァーティ『現代の地獄への旅』。陰気なタイトルだ。まだ最初の一編しか読んでないがとてもよかった。郊外のリクリエーションに参加したい貧しい女性が、そのプチブル的催しに紛れ込む。だが子供がトラブルに巻き込まれ、運営に入場料を払ってないことが露見する。惨めな気持ちになる。反抗する。暴力的に排除される。しかし、その女性は超常的な力を発揮して尊厳を取り戻すという話。どこかデ・シーカ監督の『ミラノの奇蹟』という映画を思い出す。絶対に超常的な力なぞ、現実には起きえない。それをわかっていても、わかっているからこそ描く。こうべが垂れる。
 最後はタブッキ『夢のなかの夢』。過去の巨匠が見たかもしれない夢をタブッキが創作した、ほんとうに短い掌編集だ。またもや最初の一編しか読んでないが、ミノタウロスが迷宮を脱出して空を飛んでゆく話、身に沁みた。私もどこか遠くへ、喜びも哀しみもないところへ、飛んでゆきたい。
 

 

 

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