詩作の試作

何もしなかった週末を何度も思い出しては
透明になって会いに行きたいと言っていた
あの人を思い出す
それはどういう意味かと聞いても
冬の木の枝の隙間にハロを垂れ下げながら
笑っていただけだったあの人

空に続くあの歩道橋をまだ覚えている
川の向こうの大きな街と
抜け落ちたガラスの破片が
私をじわじわと奪い去っていくのだ
そうして私の中に何もなくなって
街を出るその日のワンルームみたいに
心の底が照らされたら
あの人はまた微笑むでしょうか

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