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SHOWという共通言語


「有観客」「無観客」や「声出し禁止」「声出し解禁」なんて言葉が使われるようになる前、会場に観客を入れて声を全力で出すことが当たり前だった頃。Travis Japanのコンサートで叫んでいた言葉は、
トラジャ「ありがとう〜!」
トラジャ担「どういたしまして〜!」
だった。

え、こっちのほうが「ありがとう」なんだけど!?!!?「こちらこそありがとう〜!」って言わせて!?!!?と暴走しそうな私を含めたトラジャ担がちゃんと「どういたしまして〜!」って言えるように、トラジャが「俺らがありがとうって言うから、どういたしましてって言ってね」と説明してくれた。「こちらこそありがとう〜!」の気持ちをたくさんこめて「どういたしまして〜!」と叫んでいたあの頃。


音や光を同じ空間で感じられることが当たり前じゃないと知った2020年。我々の声で振動する会場がいかに尊いものだったかを改めて感じた2021年。大好きな人たちとの物理的な距離に戸惑った2022年。

そんな時を経て、「有観客」「声出し解禁」で開催された『Travis Japan Debut Concert 2023 THE SHOW~ただいま、おかえり~』。

会場で叫んだ言葉は、
トラジャ「ただいま〜!」
トラジャ担「おかえり〜!」
だった。

「おかえりって言ってね」と説明されなくても、心の底から叫んだ「おかえり」。




ツアーが発表されたとき、直接「おかえり!」って言えるんだ!タイトルになってなくても全力で叫ぶよ!と思った。「おかえり〜!」って。「日本におかえり〜!」って。


違った。


私が会場でトラジャに向かって叫んだ「おかえり」は「日本におかえり」じゃなくて、「SHOWの世界におかえり」だった。


2022年3月3日。
「ツアーの発表かな〜」と呑気な気持ちで見たインスタライブで発表された無期限のアメリカ留学。たくさん泣いたし、たくさん叫んだし、たくさん怒った。
インスタライブの次の日は数えきれないほど降りている会社の最寄り駅で出る改札を間違えそうになったし、私の方が16時間先の時間を生きるようになってからは飲酒するたびに泣いていた。
それは事実。事実なんだけど、なんか「意外と変わらねーのかも」と思ったのも事実。

トラジャが頑張ってくれたから、YouTubeとかは更新され続けたし、約5,450マイルという距離と16時間の時差を埋めるためにインスタライブをたくさんやってくれた。
トラジャがチャンスを掴み取ってくれたからステージに立つ機会もあった。結果を残してくれたおかげで公式のチャンネルで動画が公開されたし、現地のファンのおかげでリアルタイムで応援することもできた。

とんでもなく遠いし、生きている時間も違う。
だけど、素晴らしいパフォーマンスをたくさん見られたし、楽しそうに笑っている姿もたくさん見られた。画面越しに見るトラジャが東京にいようがLAにいようが、「意外と変わらねーのかも」と。


『THE SHOW』というTravis Japanのデビューコンサートに行って、分かった。
「大丈夫だよ。意外と変わらないから!たいしたことないよ!」って自分に言い聞かせてただけだったってことを。


『JUST DANCE!』リリース記念の配信イベントで如恵留くんがパリヤのことを「初披露」と言ってくれたとき、その言葉が私の心にストンと落ちた。コンサートのセンターステージで宮近くんがWODのパフォーマンスを「皆さんに向けて披露したい」と言ってくれたとき、その言葉が私の心にストンと落ちた。

パリヤだって、ファイナルステージのパフォーマンスだって、何回も見た。何回も何回も。振り付け覚えるくらい、数えきれないほど見た。

でも、そのパフォーマンスの先に私はいなかった。
これは、現地で生で見られなかったことを指しているのではない。そんな話じゃなくて、いま思えば、あの期間、私はTravis Japanを正面から見ていたのではなく、Travis Japanの後ろ姿を見ていたのだと思う。

もちろん、Travis Japanの心は私たちの方を向いていた。でも、彼らが立つステージは、もう一度私たちの前に立つためのステージだった。
ジャニーズらしいキラキラした衣装。ジャニーズらしさ、アイドルらしさが詰まったステージ。ステージだけ切り取ればキラキラしたSHOWの世界に見える。
でも、いま思えば、ヘトヘトになっても走り続けるTravis Japanの後ろ姿を、高い壁を登り続けるTravis Japanの後ろ姿を、そのほんの一部を、少しだけ覗かせてもらっているような時間だった。

もちろん、渡米する前のステージだって今回のツアーだって、キラキラしたステージの裏側ではヘトヘトになって努力している。いつだって、煌めきの裏には、努力や苦悩や葛藤がある。
そんなことはわかっているんだけど、あの7ヶ月はキラキラしたステージそのものも、いつもは裏側にあるものたちの一つというか、そんな風に感じたのです。


だから、渡米する前と「全然変わらない」なんてことはなかったし、だからこそ、「初披露」って言葉が、「皆さんに向けて披露したい」って言葉が私の心にストンと落ちたのだと思う。


やっと会えた。
それだけじゃなくて、やっと、お互いに向かい合って正面からステージを受け取ることができた。これがSHOWなんだって思った。私に向けたSHOWなんだって。

日本に帰ってきてくれたこと、もちろん嬉しかった。
だけど、何よりも、私たちの前に立って、私たちの方を向いて、私たちにSHOWを魅せてくれる。SHOWの世界に帰ってきてくれたことが、本当に嬉しかった。

だから、私は「SHOWの世界におかえり〜!」という気持ちをこめて「おかえり〜!」と叫んだ。


そんなSHOWの世界は、Travis Japanが Travis Japanであることを照明するようなコンサートだった。

「俺らが何をしてもTravis Japanになる。」と宮近くんがYouTubeで言ったとき、こりゃまた核心をつくようなことを言うな〜と思ったんだけど、核心をつかれた後でも「Travis Japanであることを照明するようなコンサート」と表現したくなるようなコンサートだった。



Act.1 Hollywood

他担を含めた多くの人に「トラジャっぽい!」と表現されそうなステージがAct.1だった。ジャニーズのいくつかのグループが集まってコンサートをやったら、トラジャが任されるのは絶対にAct.1のようなテイストだと思う。

タキシードで歩くレッドカーペット。ジャズアレンジをしたオリジナル曲。ステッキを使ったタップダンス。ハットを使ったショーテイストな新曲。
私の大好きな「トラジャっぽさ」が満載のステージにつけられたタイトルは「Hollywood」だったけど、私が想いを馳せたのは実際にHollywoodで『夢のHollywood』を歌っていたあの時ではなく、日本で夢に見たHollywoodの世界を歌っていたあの頃だった。

所謂会社員的な仕事に就いている人(すなわち、私のような人間)でも仕事において数えきれないほど考える「差別化」。どう差別化を図ったら商品が売れるのか、集客できるのか。業績に貢献できるのか。
Travis Japanをはじめ、デビューを目指していた(る)ジャニーズJr.も私たち会社員と同じように「差別化」についてたくさん考えた(ている)と思う。どう差別化を図ったら注目してもらえるのか、ファンが増えるのか。デビューできるのか。
「無期限のアメリカ留学」は差別化のひとつ。とんでもなく大きな差別化。でも、差別化については日本にいた頃からずーっと葛藤していたわけで、シンクロダンスをはじめとするTravis Japanの強みを生かして生み出した差別化が所謂「トラジャっぽい」パフォーマンスなわけで。
実際にHollywoodに行ったからこそ堂々と「Hollywood」と名づけたのかもしれないけど、あのパフォーマンスはあの頃の葛藤が生み出した最高の「らしさ」だな〜と思って、あの頃にとてと想いを馳せました。
デビューしたら差別化から解放されるなんてことはまったくなくて、これからはより差別化が求められる。「デビュー」という通過点を超えたいまは「何を目指すのか」「どこを目指すのか」というピンを立てるところから差別化がはじまる。そんな世界において、あのときから育ててきた「らしさ」は相棒のような心強い存在だな〜ととても感じました。

あと、松倉くんがミッキーマウスみたいに登場するところにSHOCKのオープニングみを感じたり(コンサートのオープニングも松倉くん登場前も音楽がミッキー出てきそうすぎて好き)、『Swing My Way』にSHOCKのライバル曲みを感じたり、Act.1はSHOCKみを感じることも多かったんだけど、あの時間(これ「とき」って読んでください)もTravis Japanのらしさをつくる「強み」のひとつなんだよな〜と改めて感じて、勝手に嬉しくなりました。



Act.2 Electronics

Act.2は憧れの世界を現実にしているようなステージだった。それは背中を見てきた人たちへの憧れ。

光と影を使ったステージ。モニターとパフォーマンスが連動する空間。自分たちの曲で作るRemix。
Act.1は「トラジャっぽさ」を強く感じたけど、Act.2は「ジャニーズっぽさ」を強く感じた。先輩の背中を前に踊っていたあの頃を思い出すステージだった。

デビュー組ヲタクの経験もあるので、Jr.担になって「先輩の曲を歌い放題のコンサートって最高じゃない?」「無限の可能性を秘めてるんじゃない?」って思ったりしたこともあるけど、Travis Japanと私が目指してるのは自分たちの曲だけのコンサートができる状態(これ、すなわちデビュー)だったし、ぷれぜんとでピキラとSPARKのRemixのステージを見たときに、「最高すぎるからこそオリ曲でも見てぇ…」と思った。
1曲、また1曲とオリ曲が増えて、デビューコンサートはほとんど自分たちの曲でセトリを組めるようになって、Remixまで作れるようになったんだな〜と感慨が深いにもほどがある!

モニターと連動するパフォーマンス。大きな会場じゃないと成り立たないし、自分たちのためにセットを組んでもらわないと成り立たないし、演出に負けないパフォーマンス力がないと成り立たない。色んな面で「辿り着いたんだな〜」と思った。

(私が入った公演基準での話になりますが)松倉くんはどの公演でも「ファンのみんなに会えたことが嬉しい。歓声やペンライト、ファンのみんなの存在が力になってパフォーマンスに繋がる。これからも共に歩き続けて夢を一緒に掴もう。」ということを伝えてくれて、渡米していた7ヶ月とこれから歩く未来に焦点をあてた言葉が多かったように感じるけど、大阪城ホールでの言葉は少し違くて、渡米していた7ヶ月と未来だけではなく、松倉くんがジャニーズJr.としてきて歩んできた12年間とその12年間で松倉くんのことを大好きなった我々のことを包み込んでくれるような挨拶だと感じた。
過去に想いを馳せるときってどんな場面でも少なからずきっかけとなる「鍵」のような存在があるんだと思う。誰かの後ろに立っていた松倉くんを抱きしめる暖かい言葉を松倉くんから引き出してくれたのが「セクバの城ホ遠征」という鍵だったように。
Act.2は私にとって誰かの後ろに立っていた松倉くんに、誰かの後ろに立っていたTravis Japanに想いを馳せる鍵のひとつなのだと思う。今だからこそできるステージに過去を想う。そんな時間でした。



Act.3 Japanesque

「和の世界」と名付けられたステージに世界に出たからこそ得たものを強く感じた。

美しいからこそ恐ろしいと感じるステージ。壮大かつ繊細な音とそれを際立たせるパフォーマンス。緻密で正確で、それでいて情熱や愛が伝わるステージ。

渡米期間中、「再生回数稼ぎだ〜!」と思いながらもその策略に乗せられてWODとかAGTの「ダンス解説!」みたいな動画を見てしまい、結局「すごい!」「いいね!」しか言ってなくて「んだよ!解説しろよ!」とキレるみたいなことをよくやってたんだけど、稀に存在するわりと解説している人が「カノンが正確にできるのって日本人の強み」みたいなことを話してて。
カノンが正確にできることを「当たり前」と思わせるパフォーマンス力に慣れていたので強く意識したことなかったんだけど、その解説的なアレを聞いて(カノンだけに限らず)確かにあの正確さって日本人(というか日本で培ってきたこと)の強みなんだろうな〜と思った。

アニメエキスポ(?)のときから、Namidaの間奏の振り付けがすごく細かくなってて、怖いくらいに揃ってて、それが所謂「日本っぽい」音楽とマッチしてて、「うぉ〜!!!」って思って。
忍者!太鼓!みたいな表に出てくる和だけじゃなくて、その中の振り付けとか音の取り方とか、作り上げる一つひとつの要素に「和」を感じて。
それって一度日本を出て、日本ではないところで学んだからこそだし、そのタイミングで日本で培ってきたものを見つめ直したからなんだろうな〜と。一度日本を出たからこそ、あの日本を表現できたんだろうな〜と思って。

和の表現を受け取って、渡米した期間に想いを馳せるのはなんか不思議な感じだったけど、別の地で学んでもなお、というか学んだからこそ、日本で培ってきた強みを伸ばしてくれるのって本当に嬉しくて。
私はTravis Japanのパフォーマンスに胸を張って生きてきた人間だから、そんなことはない!ってわかってても渡米によって今までのパフォーマンスが捨てられたら嫌だ〜!って思ってたから、上から全く別の色を塗るための渡米じゃなくて、あの期間で新しい色を手に入れ、いままで持っていた色をより濃くすることができたんだな〜と実感して、とても嬉しかった。

あと、このステージでは愛を感じることが多くて。いや、コンサートの間、ずっと愛を感じてたんだけど、愛が表現されている…!とAct.3で思って、それが「和」の世界での表現だったのがすごく嬉しかったです。



Act.4 Street
  
熱を感じた。Travis Japanとトラジャ担の熱を。

身体を揺らしたくなるような新曲。7人ぽっちで歩いた7ヶ月間を見つめるメンバー。そして、WODのファイナルステージのパフォーマンス。

と、WODのパフォーマンスの話をする前に!ちょっと待った!すとっぷだっ茶!一曲一曲の感想を書けないでお馴染みの私でも、さすがに『LET'S MUSIC』の話をするぞ!!!

私、しめまちゅが「ギャル姉妹」と呼ばれてるのに対して、「そんなかわいいもんじゃねーだろ」と思っていたのですよ。

まぁ、マインドの強さ的なところでは確かに「ギャル」みも感じるんだけど、そんなことよりも戦闘力が高すぎる。中身もダンスもどう考えても漢!!!だろ、トラジャ内の漢ツートップだろ!!!作画がかわいすぎるだけで、絶対少年漫画じゃん!!!と思っていたので、「ストリート」がテーマのステージでゴリゴリに踊ってくれたの「解釈一致〜!!!」となりました。

のえげんの『君だけに』からの流れもすごく良くて。息を止めてしまうような美しさ、白と青のペンライトが海辺に浮かぶ月のようで、儚さと力強さに包み込まれた直後、ペンライトの色がピンクとオレンジに変わって、しめまちゅ、作画があまりにもかわいすぎ〜!メンカラまでかわいすぎ〜!と思ってたら、ゴリゴリに殴られたの良かった。のえげんからのしめまちゅ、今回のコンサートで一番緩急がすごかった。最高。

はい!しめまちゅ解釈一致!が嬉しかったという話ができたので、WODのステージについての話を。

やっぱり「皆さんに向けて披露したい」という心がとにかく嬉しかった。
WODのパフォーマンスって、6分間、少人数で全員が踊り続けること自体が凄いことなのに、約2時間歌って踊ったあとにあのパフォーマンスに挑むって本当にすごいことだな~と思って。それでも、「7人でのパフォーマンスを」「私たちに向けて」届けたかったんだろうな~と思うと本当に嬉しくて。

初日に見たときは、ファイナルステージの黒に金の衣装の印象が強いからなのか、ストリートの衣装のままやるの意外だな〜と思ったりしたんだけど、「日本での活動を休止」「無期限のアメリカ留学」「アイドルとして挑戦する世界的なダンス大会」Travis Japanが7人ぽっちで歩いてきた道に想いを馳せると、ストリートという舞台で、あの衣装で披露するのがすごいしっくりくるな〜と思って。(ストリートダンスの発祥とか歴史とかまったく知らないのでお門違いだったらごめんよ)

宮近くんが「この会場では1位をとれるように」って言ってたけど、会場にはTravis Japanを「評価する」という目で見てる人なんて一人もいなくて、熱と熱がぶつかりあって、みんな本当にいい顔をしてて、SHOWってTravis Japanとトラジャ担がいないと成り立たないんだな〜と思って。

SHOWの世界におかえり!と心の底から思ったステージでした。




留学中、Travis Japanにとっての「こっち」が私にとっての「あっち」だったのはやっぱり寂しかったし、帰国してから「今日暑いね」「あ〜もう眠たいね」って日常に転がる共通言語はやっぱり嬉しかった。

でも、そんな共通言語に守られなくても、Travis Japanと私には「SHOWという共通言語」がある。と、かけがえのないデビューコンサートで感じた。
この共通言語があれば、お互いに向き合って手を取り合って、どこにだって進めそうな気がする。と、Travis JapanがTravis Japanであることを照明するようなコンサートで感じた。


「おかえり。」って言ったら、また「いってらっしゃい。」って言わないといけない。そう思ってたけど、違う。


Travis Japan、SHOWの世界におかえりなさい。そして、共にどこまでも歩んでいこうね!!!!!!!

ニホンゴホメラレルトウレシイ