宗教2世の自助グループ:『当事者視点』で重要性と運営の難しさを語る
「宗教2世」とは、親が信じる宗教の環境で育った人々のことです。
このような人々は、自分自身の価値観と親の信仰との間で悩みや生きづらさを感じることがあります。そこで、同じ経験を持つ仲間と話し合い、支え合える「自助グループ」が重要とされています。
しかし、自助グループの運営にはいくつかの困難があります。
私は2020年から「ちざわりん」という名前で宗教2世当事者である「私自身」の回復をテーマにSNSで活動をしてきました。
その中でも「宗教2世の自助グループ」主宰のパイオニア的な存在の横道誠氏の「宗教2世の会」などの運営方針を参考にしながら、Xの「スペース」(音声SNS)で自助グループ的な活動を行ってきました。
そのような活動を通じて感じた、宗教2世の自助グループの運営の難しさ、そして課題と未来への展望について考察しました。
「宗教2世の自助グループ」の運営の難しさ
1. メンバーの多様性:
宗教2世は、育った宗教や宗派、家庭環境、信仰心などが多様です。そのため、グループ内での共通理解や互いの気持ちの理解が難しい場合があります。
2. 信仰とアイデンティティの葛藤:
多くの宗教2世は、親を悲しませたくないという気持ちと自分自身の疑問や感じることとの間で葛藤を抱えています。そのため、意見の対立や感情的な衝突が生じる可能性もあります。
3.社会からの偏見と誤解:
宗教2世に対する社会の目は温かいものばかりではありません。偏見や誤解にさらされることもあり、安心して活動するためには配慮が必要です。
4. 継続的なサポートの難しさ:
メンバーの人生は変化し続けるため、必要な支援の形も変わってきます。それぞれの状況に合わせた柔軟な支援体制を構築するのは容易ではありません。
「宗教2世の自助グループ」の課題と未来への展望
宗教2世の自助グループは、親の信仰と自分自身の価値観の狭間で苦しむ私たち当事者にとって、かけがえのない存在です。
しかし、その運営には、多様な背景を持つメンバー間の相互理解、信仰とアイデンティティの葛藤への対応、社会からの偏見や誤解の払拭、そして変化する状況に応じた継続的なサポート体制の構築など、多くの課題が山積しています。
これらの課題を克服し、自助グループをより安全で力強い、希望に満ちた場にするためには、当事者による発信、社会全体の理解促進、そして具体的な支援体制の強化が不可欠です。
具体的には、ワークショップやセミナーを通して異なる宗教や宗派への理解を深めたり、専門家の協力を得ながらメンバーが安心して葛藤を吐露できる環境を作るなどの取り組みが考えられます。
また、社会に対しては、偏見や誤解を解消するための情報発信や、こども虐待などを支援している民間団体や行政機関などからの支援が求められます。自助グループは、宗教2世が自らの経験を共有し、互いに支え合い、自分らしく生きていくための力を得るための、かけがえのない場です。
運営上の課題を乗り越え、より多くの宗教2世の支えとなるよう、社会全体で理解を深め、共に歩んでいくことが重要だと思っています。