母という呪縛 娘という牢獄 単行本 – 2022/12/16齊藤 彩 (著) 感想

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かねてから読みたかったノンフィクション。
2018年に起きた実母殺人事件。
なぜ彼女は殺したのか・・・


加害当事者に取材して彼女の言い分が網羅されてるにしても
同情を禁じ得ない事件です><。
9年にもわたる浪人生活を強制され
医者になるのは無理だ・と訴える娘にそこまでかけさせられたコストを惜しんだ母はお前の努力が足りない・と責める。

そんな努力・根性論で叶えば苦労しないよなあ・・・


これはつまり娘を使って自己実現しようとした愚かな女の成れの果て?
殺されても仕方ないだけのことをした強欲の結果?



すごく象徴的というか居心地悪さを感じたくだりはディズニーランド。
母はなにかとごほうびと称して連れて行ってはるものの
娘はそんなに好きじゃないのに母が嬉しそうだから付き合ってあげてるだけなのに
それが本気でほうびになると信じてるから
さあだから勉強頑張ろうね・とバーター取引★
成人式用の振袖もそう。(結局欠席して着なかった)
母は自分の望みと娘の望みを混同して的外れなことばかり。

娘は自由しか欲しくない・叱責されない環境が欲しい・そこまで追い込まれて><。



「お医者さんになりたい」と言った頑是ない娘の一言を本気にして
女医の母なら・と承認欲求。
成績が上がらないのは努力が足りないから・と責める責める。
かわいい娘を叱るのは愛情だから・と信じた母。
しかし褒められることのない娘はかえって萎縮し自信を失い
ただ叱られたくないその場しのぎに嘘をつくように。
さらにそれが母の怒りを買う堂々巡り・・・


要するに見栄よね。
プライドじゃない。
本当のプライドならできない我慢もするしなりふり構わず目的に向かう自尊の心。

大人しい性格でうだつの上がらない夫に不平たらたら
たまりかねて社員寮に逃げた夫には経済DV?
小遣い三万だけ渡して娘との二人暮らし・・・
母は母で婚外子として生まれその母(祖母)はアメリカへ。
豊かな暮らしを得た祖母は捨てた娘への罪滅ぼしか
孫の学費をねだられれば何度でも出資、
それを納得させるには孫(娘)を成功者にしなければ・・・・


う~ん本末転倒!




暴力暴言にさらされてもできないことはできないし
時に熱湯をかけられたりの虐待とそれを打ち消すようなハネムーン期で
まともな子供が育つ環境じゃあないなあ・・・。
ふがいない父親も助けを求めた友人や恩師も過干渉な母から娘を引き離せなかった★(当時の法律では無理だった気もする)

扉の中でどれだけの虐待が行われてるかなんて誰も知りようがない。
こうして事件にならないと・・・
(ああドメスティック)



ワテはディズニー嫌いなんだけどピエロ恐怖症に近い感覚で
みんな嬉しそうに夢の国にひたってる感じがコワイ><よぅ!
ミッキーのかっぴらいた黒目の虚空に地獄が見える気がして・・・

そうやあネズミといえば
子供の頃ネズミ捕りにかかったドブネズミを「かわい~♡」とさわろうとしてかじられた過去があるワテシ。
幸い化膿もせず病気にもならなかったけどネズミ自体を嫌いにはならなかったよ。
むしろブルーハーツのいう「ドブネズミみたいな美しさ」が理解できるというか
ミッキーよりもドブネズミが輝いて見えるのも偏向かしらね^^;




母殺しの娘は懲役10年で結審、その後悔は一生ついてまわるにせよ
おきてしまったことはとりかえせないし
これから老いていくだけの父に娘の支えができるかは不安だけど
地頭が悪いわけじゃないBJに憧れて医者→看護婦になろうとした彼女にこれ以上の不幸がふりかからぬよう願うばかりどす・・・

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