宝塚記念の答え、教えます


 例年通りの開催となった今年の宝塚記念は、過去10年と同じように、8枠馬や上がり最速馬が多く連対を確保する明確な外差し優位のレース、というのが一般的な見解であろう。
 しかしながら今年は外枠に逃げ先行馬が集まり、内枠に単勝オッズ1倍台の馬が存在していることから難解極めるレースになると言えるだろう。
 今回は宝塚記念で求められる能力とは何か、そして今年の出走馬の中でそれを持ち、また展開面に恵まれる想定の本命馬について書いていこうと思う。

 

1宝塚記念は本当に外差し優位のレースなのか?


 宝塚記念においてよく語られるのは、「8枠」と「上がり最速」である。
 過去10年、8枠の馬が7度勝利をおさめており、上がり最速馬が11頭連対していることから宝塚記念は外差し優位のレースだと言われている。開幕最終週で、梅雨の時期ということもあり内の馬場が傷んで上がりがかかる展開になって外差し優位になる。そのためスタミナと末脚に秀でた外差しに取れる馬が強い、というのが一般的な見方であろう。

 しかし、私の考えは違う。宝塚記念に必要なのは外枠でも上がり最速の末脚でもない。必要なのはひとつ、内回りへの適性である。
 

 

2宝塚記念の適性とは?


 宝塚記念に限らず、上級条件の阪神芝内回りには高い追走能力が必要である。緩まないペースのなかでも馬群の前につけることができ、かつ直線で脚も使えることである。この能力に秀でていない馬はどれだけ強くてもこの舞台では簡単に凡走する。

 宝塚記念は上がりを使えた馬が強いと言われるが差し追い込み馬が台頭しやすいわけではない。過去の宝塚記念を見ると上がり上位は先行馬に集中していることがわかる。
 また、前半の時計が早く、上がりタイムがかかっているのも特徴と言える。
 阪神芝内回りの差し追い込みとは直線のみのスパートでは届かないため、3,4コーナーあたりから位置を押し上げるような形での競馬をしなくてはならない。

 上級条件、特にG1での阪神内回りは早い流れになりやすく、それでも差し馬は 3,4コーナーから脚を長く使わなければいけないのだが、追走能力を持っていない差し馬は早い流れのなかで追走に消耗させられ、コーナーで押し上げる脚が残っていないという事態に陥りがちである。そのため他の競馬場では上がりを使えていた馬でもここではそれが発揮できずに凡走という形になる。
 最近の例でいえばエフフォーリア。3歳時は末脚の要求度の高い競馬場で、緩んだペースからの後半時計勝負を得意にした当馬はハイペースとなった大阪杯、宝塚記念で全く上がりを使えずに人気を背負って凡走した。
 よく聞くのが有馬記念と宝塚記念はリンクする、という言葉である。
 最終週で上がりのかかる小回りコース。確かに一見すれば同じで好走する馬も同じように感じられる。
 しかしながら有馬記念は最初に急コーナーを迎え、コーナー後は急坂が存在することからペースが緩みやすく、最初に位置取りに失敗した馬でも追走に苦労しないようになりがちである。かつ冬の中山もいうこともあり内前を取るデメリットが多く、直線だけの後方待機競馬であっても末脚さえ使えばある程度は勝負になるのだ。
 しかし近年の阪神芝は京都改修の影響もあり優秀な路盤が形成されており前に位置取るメリットも大きい。かつ位置取りと早いペースに対応できる追走能力が必要と有馬記念と全く違う能力を求められる。
 
 さて、先ほどエフフォーリアについて話したが、3歳のころに直線末脚競馬で他馬との派手な力の差を見せ、初の阪神内回りで圧倒的な人気を集める馬が今年も一頭存在する。
 イクイノックスだ。流れたペースでの経験は日本ダービーであるものの、かなりの縦長馬群の最後方、内前に位置取った馬が全滅する差し優位の決着で、追走能力と消耗戦への適性を見せた好走ではない。
 緩んだペースから末脚で他馬を蹂躙し世界一位になったこの馬、ここが最後の逆らい時ではないだろうか。適性を見せていない、未知数馬に単勝オッズ1倍台、去年の春を覚えているだろうか、どうするかはあなた次第。

 

3今年の展望


 今年も去年ほどではないにせよ逃げ先行馬が揃ったことからミドルペース以上は確実。追走能力に秀でた馬から狙いたい。
 今年の出走メンバーでミドルからハイペースのGII以上の上級条件の内回りレースを好走したことのある馬を見ていく。
 2走前の大阪杯から3ダノンザキッド、去年の菊花賞から12アスクビクターモア、11ジャスティンパレス、京都記念から7プラダリア、去年の宝塚記念から10ディープボンド、去年の中山記念から2カラテである。

 まず3ダノンザキッドから見ていこうと思う。次世代の生活保護と名高い現役最強馬ダノンザキッド。
 もともとハイペースに弱い馬であったが近走はそれが改善され大阪杯ではハイペースのレースを外を回し、中距離の1線級とタイム差なしの3着と、この宝塚記念で求められる追走能力にかなりの適性を見せたものであった。マイルで鍛えた追走能力は今回出走メンバー随一と言えるだろう。 
 次走の香港ではスローペースを外から追い込んで届かずの敗戦で見直し可能
 というわけでダノンザキッドと相性の悪かった馬券購入者は今回狙っているのではないか。
 ダノンザキッド生活保護を受けている私だが、今回彼を本命にしない選択を取ろうと思う。
 ダノンザキッドにまつわる話として、よく中山嫌いが語られる。やれ中山にトラウマがあるだとか川田が怖いだとか、人気を背負うと凡走するだとか、ゲートを壊すだとか。そうではなく、単純にダノンザキッドはコーナー及び手前の変換が苦手な不器用な馬なのだ。
 基本的にコーナーが苦手で、中山の小回りには対応できず、阪神は外回り、内回りなら外枠発走。これが基本の狙い目である。
 馬群を割くパワーはあるが、いくらコーナーがゆるめの阪神とはいえ、内枠先行で窮屈なコーナリングは跳びと馬体が大きいこの馬にとって苦手なもの。距離的にはあまり問題視していないが、枠の並び的に内ラチを先行するのは確実。すべてが向かない可能性が高く、阪神で馬券内を外したことがないという一点で評価を上げることは難しい。適性上位ゆえ切ることは難しいが軸には向かない一頭

 次にアスクビクターモア。菊花賞でのハイペース追走早め先頭押し切り勝ちはやはり能力を示すレースで、近走の敗戦から人気落ちが見込め妙味のある一頭、と各所で言われ想定より人気しているため妙味があるのかないのかは人次第になった一頭。
 阪神大賞典を三連覇したゴールドシップや阪神2冠のタイトルホルダーが宝塚記念で強い内容を見せているように、阪神長距離戦で強さを見せた馬は宝塚記念に向いてると言えよう。
 ジャスティンパレスも菊花賞好走馬で、大外からハイペースを前目に位置取り、直線前つまりながらの強い一戦。スローペース専門という印象が強いが特段瞬発力勝負の馬でもなく軽視されるならの一頭

 本命


 ここからはあまり見る価値のない予想になるが本命は7プラダリア

 内枠の差し先行馬であり目黒記念5着からの参戦。前走目黒記念は向かないスローペースからの末脚勝負。かつ走らない休み明けで5着は今走に向けての上澄みあり。
 京都記念の1戦が評価できる内容であり開幕周のミドルペースを外目追走から粘って3着。上位はドウデュースと内ラチを追走した馬が占める中でこの阪神内回りの適性を見せた一戦。
 本日の阪神競馬場は末脚を削がれやすい馬場であり、かつ内ラチに傷みを見せる。外枠に逃げ先行馬が集まり、内枠ながら外目をいちどりやすい並び。
 前での粘り込みがはかれる馬の中で1番の人気薄。本命はプラダリア

 

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