本ではなく、Web で情報収集するわけ

これは、“ゆるWeb勉強会@札幌 Advent Calendar 2019” の 19日目の記事です。

私は誰?

札幌在住、フリーランスプログラマをメインに、最近は自作 GPS のクラウドファンディングをやったりして、何を仕事と言えばよいのかよくわからない @kuma_hati です。

何の話?

約一年前、2019/01/19 の「ゆるWeb勉強会@札幌 #3」で「初心者が次に進むために知っておくと良いこと 」 という発表をしました。その中で「(情報収集は)昔は本、最近はネット」と話したところ「それはなぜ?」と質問を受けました。その時、時間が無くて答えられなかった内容を書きます。

本からではなく Web で技術を学ぶ一番のわけ

 本からではなく Web で技術を学ぶ一番の(そしてゆる Web 勉強会では時間が無くて話せなかった)理由は、本からはある程度一般化(=コモディティ化 )した知識しか得られないからです。
 考えてみれば当たり前のことですが、本を作るためにはそれなりのお金がかかり、その投資が回収できる見込みがないと作れません。逆に言えば本が出ているということは、それなりに世の中にニーズがあるということですが、本に書かれている内容は多くの人に知られることになります。世の中にニーズがある技術なら食いっぱぐれる可能性は低いけれど、多くの人がそれについて知っているということは同じことをできる人がたくさんいるわけで、技術者としては競合が多くて仕事の単価が安い、いわゆるレッドオーシャンで戦うことになります。

 本が出ていて誰でもできる安い仕事ではなく、新しい、単価の高い仕事のための情報は本からは得られない。

 最近の IT 系の新しい技術の多くはオープンソース界隈で生まれるので、最新の公式生情報が Web で入手できる。活字になって多くの人に広く知られるまで待つ必要はない。

 まだ本の出ていない技術を使おうと思ったら Web で情報収集するしかない。

 これが、技術情報を得る手段が本から Web に移った理由です。

 ただ、英語で公開される情報が多いので、英語のドキュメントと戦えるだけのスキルが必要になってくるのですが...

とは言っても基礎・古典を学ぶなら本から

 世の中に出たばかりの新しいことを本から学ぶのは厳しいですが、基本的な、というか古典を学ぶなら本は十二分に価値があります。ということで古典を学ぶに役に立つ本を何冊か。

理科系の作文技術
 プログラマはプログラムを書くのが仕事ですが、プロとしてやっていくなら「どんなプログラムを書く」かは他人から指示されます。ということは対他人とコミュニケーション能力は必須。そして「隣に座っている人」ともメールやチャットでコミュニケーションをとる現代のソフトウェア開発者にとって文章作成能力は非常に重要なスキル。なので、この本は今の IT エンジニアとっても十二分に役にたちます。

ソフトウエア開発201の鉄則
 ソフトウエア開発の現場で役に立つ know how 集。同じような内容の本は多いですが、冗長なものが目立ちます。古い本なので新しい情報はありませんが、昔から知られている知識を短時間で覚えるには有効。1つの項目が1ページにまとめられているので、本全体の内容が濃い。新人は「そんなもんかねぇ」と記憶の片隅に、経験者は「そうだよねぇ」と記憶のリフレッシュに。

コンサルタントの秘密
スーパーエンジニアへの道
 一部アジャイル関係者からは「アジャイルのおじいさん」と呼ばれていたらしい 、残念ながらイマイチ日本では知名度の低い G.M.ワインバーグの本です 。氏の著書の邦訳は多数ありますが、入門書としてはこの2冊がお勧め。有能であるためにはどうあるべきか?というある意味哲学的な主題を扱っていて難解ともいえる内容ですが、文章は読みやすく、数多く出てくる法則類を覚えておくだけでも実生活で役に立ちます 。例えば、「後悔最小化の原理」はフリーランスとして仕事を受けるときにどれだけ助けられたかわかりません。

 いづれも20年から40年近く昔に世に出た本。いまだ絶版にならずに新品が買えるということ自体が普遍的価値があることの証明になると思います。

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この記事が、読むのにかかった時間程度は皆さんのお役に立ちますように...


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