あっぱれオネエさん #36 バーのバイト
どぅむぅー!!(どーもー)花園のみゆみゆです〜〜。それもゴリゴリのほうの!!
2012年の1月くらいから八百屋のバイトをし始めたの
主にレジで、他に野菜を並べたり届いた野菜を冷蔵庫まで運んだり梱包してた
そこでも女として生きていけてた
低くて汚い声質の女の子として
八百屋は20時閉店で、学校終わってから入るとあまり稼げなかったので、20歳になってすぐ八百屋のはす向かいのガールズバーでもバイトをし始めた
ガールズバーといっても全然ガールズバー感がなくて、店内はモダンな内装でジャズ音楽が流れてた。店員も露出した服を着たりしなくてよくて、ズボンやジーンズでもよかった。黒くて長いエプロンをするだけ
基本カウンター席で、お客さんがいっぱいいるときはボックス席というソファとテーブルのある席で接客をする
店で働いてるのは、店長のマスターって呼ばれてる60代くらいの若めのおじいちゃんと、女の子って呼ばれてるバイト。女の子は30歳までしか働けないという決まりもあった。
私を含め全員で7人で、平日2人、週末は3人が出勤していた
18時から入って19時開店で25時くらいまでやってる。お客さんがいるときはもう少し遅くまで営業していた
落ち着いて飲め、飲み屋で働く女性にしては素朴で庶民的なところが売りだったのだと思う
お客さんも昔からずっと通ってる常連さんばかりでお客さんのほうが仕事に詳しかった
そこでウィスキーの割り方とか種類とかビールの入れ方とかお客さんのタバコの火をつけるとかいろいろ教えてもらった
お客さんの名前とボトル覚えたり、どんな話をすれば盛り上がるかとか、お酒もらうときのタイミングとか先輩をイライラさせたりしないようにとかいろいろ難しかった
お客さんに『一杯いただいていいですか?』というセリフを言ってお酒をもらわなくてはならなかった。だいたい1人のお客さんに対して2、3回
それがお店の売り上げになるから
まず一番最初は、自分の飲むものをお客さんに払わせるっていうこと自体が申し訳なく思えて困惑した。だけどそういうお店なんだからそれが決まりであると理解していった
お酒をもらうタイミングも難しかった。どのタイミングで切り出せば自然に言えるだろうかとか。あとケチなお客さんは断ってきたり、嫌々いいよと言ってて、気まずかった。
1番上のバイトの先輩がもう10年近くいる超お局で、私仕事全然できてないし、それに対する苛立ちを、直接口で言われず、空気や物を置くときの音で示されて怖いし、こっちもムカついてくるし、その人と2人勤務のときは数日前から気が重かった。
数ヶ月して、その人が辞めて転職するってなって最後らへんは少しだけ私にも優しくしてくれて嬉しく感じた。けど最初からそうしろよ、こっちはどれだけ怯えて過ごしたことか
けど、向こうも年の離れた新人と何話せばいんだ?とか思ったかもだし、もしかしたら話す興味すらわかなかたかもだし
そういう『厚』で怒る感じとか女の嫌な部分を体験できたことは貴重だったのかもしれない
違う先輩にも注意されたり怒られたりしたけど、ときどき帰りにラーメンをご馳走してくれてめちゃ嬉しかった!夜中に食べるラーメンて雰囲気も相まって、より美味しく感じられた
私もよく怒られてたけど、一番すごかったのは私より1ヶ月早く入った1歳上のともみって子。その子は愛嬌がめちゃくちゃあって、私にもタメ語でいいよーと言って接してくれてお家にも招待してくれる優しい子なんだけど頑固な部分があり、ある日、私とともみと先輩(お局でない)と入ってたときにお客さんが私たちにとリンゴを持ってきてくれたの。それをみんなで分けて食べようってことで、先輩が皮を剥いてくれたのね。一番後輩の私が剥くべきなんだけどね。でも私皮むくの下手だしさ。なんなら皮ごといくし。
それで切ったリンゴを出してくれて、食べてたんだけど、ともみが全然食べなくて、それに気付いた先輩が『ともみちゃんどうしたの?』って聞いたらともみが『私今ダイエット中なんで食べないんです』と言っていて、私はりんごくらいいいだろと思ってたけどともみの意思は頑なで一切手をつけなかったの。
それにめちゃくちゃ腹がたった先輩が『食べな!〇〇さん(お客さん)がせっかく私たちにって持ってきたんだから!失礼でしょ!』と言い始めて
『食べな』『食べません』の応酬を、そのお客さんの前で始めててお客さんはあたふたしてた。
結局食べなかったし
とか、その店は一階にあって二階がマスターの奥さん(ママと呼ばれている)が切り盛りするおでん屋さんだったんだけど、ともみはバイトがない日よく行ってたみたいなの。
一階のお店に来る人の中にも二階でご飯食べてから来る人が結構いたから顔見知りばかりで、ともみは顔見知りのお客さんみつけると隣に座ってご飯一緒に食べたりお酒飲みまくってボトル開けさせたりするのを繰り返してたらママがぶちぎれて『ここは一階のお店じゃないの!!お客さんにお金払わせてたくさん飲んで!!帰りな!!!』って言い放ったんですって!
しかもともみ『帰らないです』って言い返したらしいし。その状況で残って美味しいお酒飲めなくない???
そんな子もいたんだけど、そのお店は平成が始まってすぐできたお店だから20年以上やってるお店で、それまでいろいろな女の子が働いてたみたいなの
その中にはお店のお客さんと結婚した人も何人もいるらしく驚きだった。
マスターに、ゆうきちゃんもいい人みつかるかもねって言われてそのままカウンター席をみたけど40代、50代、60代の並びで、私には選べなかった。マスターは、みんな昔は若かったんだよって教えてくれた
だけど何回か常連さんと2人で出かけたことはあったわ
その店は同伴がなかったから完全プライベートって感じ
一番最初に出かけたのは、バイトし始めた、まさに右も左もよくわからんって時期で、メールで誘われて、断るのも悪い気がして、休日に待ち合わせしてカフェ行って映画みてご飯行って…みたいな
30代後半の人で、お金全部払ってくれて、家族以外でお金全部払ってもらうのが初めてのことだったので焦った。申し訳ない〜って。食事もいつもは気にせずバクバク食べてるけど今日はお上品にしなきゃって思ってパスタ巻いたりした。パスタって上手く巻ききれずチョロって出てきて、また巻き直すけどまたチョロって出てきて難しい。ワインも初めて飲むし、なんか飲みかたとか決まってるのかな?合ってる?と何もかもてんてこまい
世の女共、すごい自然に振る舞えててすげーなってそんとき尊敬した
その後まだ時間あるから歩くことになったのね、私は帰りたかったけど。景色みながら歩いてたら急に手を握られたの
ギョ
ギョー!!!そういうのは求めてませんのにっ、ギャー!!
振り払うわけにもいかずそのまま歩く
相手の話に相槌を打って嫌悪感が漏れないように振舞ってるとその人が
『付き合ったことないって言ってたけど、手も繋いだことないんでしょ?こうして手を繋ぐのは大人はフツーのことだよ』
といってきた
………………………、
ちげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
そのまましばらく歩き、そろそろ時間だからって戻って帰ったわ
疲れ
後でバイトの先輩(お局でもなく、リンゴ怒りでもない先輩)に言ったらめちゃ心配してくれて、その常連さんに私から注意しとくよ!って言われたれもした
優しい、、、。
先輩…………好き!
でも注意しなくても大丈夫ですつってその常連さんも別にしれ~っとしてていつも通りで、またたまにご飯したりもした
手は繋がれないようにした
その先輩が言ってくれた言葉で
『最初に付き合う人は好きな人にしなね、全部最初だからずっと忘れないから大切な人と付き合ってね』
というのをずっと覚えている
名言。だし、そう言ってくれたのがすごく嬉しかった。
『私、ヤリマンで初体験テキトーに済ませたからもう最初の人のこと覚えてないや』っていうマンガに出てくる女の子がもしもこのブログみてるとしたらみゆからは
『それはそれ、本当に好きな人がみつかったときその人を大切に思えばいいんだよっ』て言いたい
え?うるさい?
ハハハ
そのバイト先は2013年の3月に駅の開発の影響で取り壊されちゃったの
店の最後の日、そのときの女の子全員出勤して、お客さんもたくさんの方が来てくれてたの。数組しかいないことがある日もよくあったけどその日は常連さんから久々に来てくれた人からたくさんで、ずっとずっと賑わっててもうお店から溢れるくらい
最後の最後にマスターがみんなの前で話す時間があった。いつも優しくて面白くて、だけど基本的にパチンコ打ちにいってて店にいないマスターが、二十数年の歴史のある自分のお店の思い出と感謝を涙ぐみながら伝えていて、先輩も泣いてた。私も泣きそうになったんだけど、常連のお客さんが酔っ払った勢いでマスターを茶化し、おもしろ空気みたくして、台無し!て思って涙がひいた。そういうとこ嫌じゃないけどね
わたしもその頃にはすっかりお客さんと仲良くなってて楽しかった
女の扱いしてもらうこと、いろんな大人と話すこと、女社会の空気とか全部が初めてで勉強になったいいバイト先だったなって思う、みんな優しかったし
その後その店は移転しておでん屋さんだけとしてまた営業し始めたの
私もまた働いたけどカウンターの通路が狭くてよくぶつかるのとか、お客さんと何話せばいいのかとか分からないし、それを考えてたら話さなきゃいけないのだるいなって思っちゃったのと、お店にテレビがあったんだけど、音が小さくて、1ヶ月くらいで辞めちゃった
けどマスターとママがまたお店始められてよかったって思ったしずっと続いてほしいナ
あと驚いたのが、最近、私が働いてたときの先輩がなんとお店のお客さんと結婚したこと。年の差14歳差くらいなのも驚いた
その後マスターの息子さんと結婚した先輩もいた
みんなこのお店が大好きなんだね
#日常 #オカマ #オネエ #エッセイ #バー #バイト
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