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お前達は宇水さんを過小評価している

漫画関連のまとめ系サイトを見ていて不満を感じることがあって、それは宇水さんの評価が不当に低いことだ。
宇水さんというのは『るろうに剣心』に出てくる目の見えない剣士「盲剣の宇水」さんである。

やたらとみんな宇水さんを雑魚扱いするのはなぜだろうか。ひどい場合は十本刀の中でも張と同じぐらいの強さとかいう人がいる。
いやいや、ちゃんと読んでくれよ。
きちんと読めば、宇水さんはこの漫画でも屈指の実力者であることがわかるはずだ。

宇水さんが雑魚扱いされる原因となっている、斎藤一との一戦を振り返ってみよう。

まず、斎藤が牙突を仕掛ける。宇水さんがこれを亀の甲羅で華麗にいなして「宝剣宝玉百花繚乱」というダサいのかかっこいいのかよくわからない技を放ち、斎藤の膝を壊す。

このあと有名な「何が可笑しい!!!」というシーンにつながる。
このレスバトルのせいで、斎藤のほうが優勢なように見えるけれど、冷静にこのときの状況を記載すると以下のとおりである。

斎藤一:宇水さんに一太刀も浴びせられない。両膝壊される。
宇水さん:無傷。

ここで斎藤の必殺剣「牙突」を食らって無傷という点に注目してほしい。
この時点で牙突を破ったのは宇水さんだけなのである(というより最終回まで見てもこの漫画で牙突を破ったのは宇水さんだけのはず。続編は読んでないから知らん)。

一撃で敵を倒すのが信条である新選組の必殺技を食らって無傷なのである。もはや斎藤のプライドはぼろぼろであろう。

なお、本来、牙突の威力なら亀の甲羅ぐらい簡単に貫けるのだ。なのに宇水さんが無傷なのは、亀の甲羅に牙突の切っ先があたった瞬間に刃を滑らせているからだ。つまり亀がめっちゃ硬いとか沖縄の亀が優秀とかではなく、宇水さんのテクニックが卓抜しているのである。

さらにすごい点は牙突を防いだだけでなく、斎藤の足にダメージを与えている点だ。これにより斎藤は通常の牙突を放てなくなるのである。
たしかこの漫画で斎藤にダメージ与えたのは剣心と宇水さんだけだったはずだ(続編は読んでないから知らん)。

このあと宇水さんは斎藤から牙突零式を食らって敗北するわけだが、これも逆説的に宇水さんの強さを示すシーンなのである。
本来であれば、斎藤にとって奥の手である牙突零式は志々雄真か剣心にぶち込みたかったはずである。それができなかったのは、これを使わないと宇水さんに勝てなかったためである。

似たような立ち位置の漫画キャラに『幽遊白書』の是流というキャラがいる。飛影の炎殺黒竜波を食らって瞬殺されるんだけど、だからといって雑魚ではない。蔵馬から「是流の実力は本物だった。だから飛影は未完成の炎殺黒竜波を使わざるを得なかったんだ」というフォローが入る。
宇水さんの場合もこれと同じであり、斎藤は零式を使わざるを得ない状況に追い込まれたわけである。ただ、宇水さんの場合はフォローがなかったため、読みが浅い読者から雑魚呼ばわりされているのは残念なところである。

以上、宇水さんが決して雑魚ではなく、むしろこの漫画内でも屈指の強者であることがわかっていただけたろうか。
不当に宇水さんを雑魚呼ばわりすることは、それに対峙した斎藤をも貶めることになるのではないか。

話は変わるが、剣の実力だけでなく、人間性においても宇水さんは過小評価されている。
皆さんは斎藤と宇水さんの戦闘シーンを読んでいて、なにか違和感を感じなかっただろうか。

そう、灯りが煌煌と灯っているのである。蠟燭が何本も燭台に掲げられていて、部屋の隅々まで光が満ちているのである。
これが宇水さんの心の清らかさを表現するシーンであることに気づく読者は少ない。
本来、宇水さんは目が見えないのだから、灯りなど必要ないのだ。この灯りは敵である斎藤のために灯しているのである。
「お互い正々堂々戦いましょうね」という宇水さんのフェアプレー精神に涙しない者はいないだろう。
もし灯りのない真っ暗闇で戦えば宇水さんの余裕勝ちであったであろう。
ほかにも斎藤の足を壊した時点で、遠距離から手槍投げていれば完封できたと思うが、わざわざ斎藤の刃が届く距離まで近づいていくのも、宇水さんの優しさのなせるわざであろう。
宇水さんはちょっと優しすぎる。


最後に全然違う話になるんだけど、僕の見た限り、不当に雑魚扱いされている漫画キャラがもうひとりいる。
『スラムダンク』に出てくる山王工業の堂本監督だ。
なぜかまとめ系サイトなんかを読んでいると、この人のことを無能扱いするコメントが多いのだ。
なんでだろう。
作中の新幹線の中での会話からして、この人、インターハイを4年以上連覇しているのである。
さらに言えば、深津とか河田(兄)といった3年生は湘北に敗れるまで公式戦無敗なのである。インターハイ以外の大会もすべて征しているということだ。
めちゃくちゃ有能なんだが。

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