【東工大早期卒業マニュアル】(前編)

はじめまして!東工大を2022年3月に早期卒業(1年短縮)するラーマン二浪と申します。

東工大の早期卒業についての説明が不明確なところが多いかつ1年短縮の早期卒業を経験した方がそもそも少ないため、情報収集などでとても苦労しました。そのため、これから早期卒業をする方に私の経験が役に立てばいいなと思い、この記事を書きました。

この記事は以下に該当する方に向けての内容となっております。

・東工大在学中かつ早期卒業(特に1年短縮)をして国内の大学院(東工大以外の大学院も含む)に進学する予定の方
・東工大在学中かつ飛び入学をして東工大院に進学する予定の方
・東工大の早期卒業制度や大学院飛び入学制度に興味のある方

また、私自身大学院に進学を選択したため、早期卒業制度を利用する学部卒で就職するつもりの方向けの内容とはなっていないのでご注意ください。

この記事の内容については早期卒業までの流れの説明に徹する感じです。どのような履修を組んだら早期卒業がしやすいのとか早期卒業のコツとかについて述べるといったことはあまりしないつもりです。(一応2-4節がそれに当てはまるかもしれません)

また、かなり長くなりそうなので前編と後編に分けました。
前編は「早期卒業って何?」と「どのくらいの成績が必要なの?」にこたえる内容となってます。
後編は「早期卒業の条件を満たしたあとの流れ」と「メリットとデメリット
後編は後日書くのでよろしくお願いします。

初めて記事を書くため、至らないところも多々あるかと思いますがどうか温かい目で見てくださるようお願いします。m(__)m

第1章…自己紹介


まず、私ラーマン二浪について軽く自己紹介したいと思います。ここではなぜ私が早期卒業をする理由についても書きます。
記事の作者について興味ない方はスキップして大丈夫です。

私の2022年3月の時点の経歴をザックリと説明するとこんな感じです。

二浪→東工大工学院入学(2019.4)→○○系進学(2020.4)→東工大工学院○○系卒業(2022.3)→他大学大学院入学予定(2022.4)

学院は学部に、系は学科に相当するものと考えて大丈夫です。
つまり、私は東工大工学部○○学科を2022年3月に卒業する人って感じです。

大学院入試は東工大の卒業する系の大学院(A日程)と他大学大学院を受け、どちらも合格しました。

※所属していた系と入学予定の大学院については特定を避けるために伏せさせていただきます。申し訳ございませんm(__)m


私が早期卒業する理由は

・二浪したため、少しでも遅れを取り戻したかった
・両親が定年後の再雇用で働いているため、1年でも早く就職して自立したい

の2つになります。

主に通常よりも早く就職できるというメリットに惹かれて、早期卒業という選択をしました。(注1)
ただ、学生という貴重なモラトリアムの期間を1年減らしてしまうというデメリットもあり、それについて少し悩みました。
早期卒業のメリットデメリットについては後編の第4章でより詳しく述べます。

自己紹介については以上になります。

第2章…早期卒業または飛び入学とは?

2-1…早期卒業とは?


早速、早期卒業の説明に入ります。
学士課程の学修案内26ページには以下の文言があります。

優れた成績を収めた学生は,学士課程に3年以上4年未満の在学で卒業できます。

また、東京工業大学早期卒業に関する規定第7条(学修案内201ページ)によると、

早期卒業の時期は,3年次の3月又は4年次の9月とする。

つまり、「早期卒業」とは成績優秀であれば在学期間が3年または3年半で卒業できる制度のことです。
東工大は標準修業年限が4年となっています。
そのため、早期卒業によって通常より1年または半年早く卒業することができます。
こちらは大学院飛び入学(後述)と異なり、学士の学位を取ることができ、ちゃんと大卒扱いされます。

2-2…飛び入学とは?


また、早期卒業と似た制度で飛び入学があります。
学修案内27ページによると、

大学に3年以上在学し,学士課程において所定の単位を優れた成績をもって修得したものと大学院が認めた者は,大学院入学資格が与えられ,受験することができ,これを「飛び入学」といいます。(注2)

言い換えると、「飛び入学」とは成績優秀であれば大学3年時に院試を受験し、大学3年が終了と同時に大学院に入学できる制度です。

早期卒業との主な違いは学士の学位を取れない、すなわち、大学は中退扱いになるということです。(注3)
東工大の大学院は大丈夫ですが、他大学大学院を受ける場合、募集要項の出願資格に大学卒業見込みであることが書いてる場合が多いです。
そのため、受験することができない可能性があります。
もし、他大学大学院を受けるのであれば、受験する予定の大学院に問い合わせてみるのがよさそうです。

他にも、飛び入学には学士特定課題研究を受講する必要がないことが挙げられます。
※学士特定課題研究(以下、特課研)とは卒業研究のことです。

2-3…早期卒業と飛び入学の条件


2-1節、2-2節で書かれているように、早期卒業と飛び入学には成績優秀であることが前提となっています。
成績優秀とはどのくらいの成績のことを指すかと他の条件について述べていきたいと思います。

早期卒業の条件は東京工業大学早期卒業に関する規程に、飛び入学の条件は学修案内27ページに記載されています。

ざっくりまとめますと、

早期卒業:GPTが3.50以上特課研の申請条件3年の前学期または3年の後学期終了時に満たしていれば早期卒業を希望することができる。その後、卒業要件を満たした学期末で卒業。

飛び入学:GPTが3.00以上90単位以上取得2年終了時に満たしていれば、大学院を受験することができ、「系の必修科目と選択必修科目についての卒業要件(特課研除く)」+「系の専門科目60単位以上取得」+「教養科目の必修科目取得」を満たせば大学院に飛び入学できる。

まず、GPT(Grade Point Total)とありますが、これは成績評価点であるGP(Grade Point)の総和を表します。
総和なので履修する単位が多ければ多いほど条件を満たしやすくなります。
GPとGPT算出方法の詳細は付録1をご覧ください。

また、特課研の申請条件と卒業要件については系ごとに異なるので、学修案内の21.各標準学修課程案内(68~171ページ)を見てください。

在籍期間3年の早期卒業する方は飛び入学の条件を満たさないと東工大の院試は受けられないというデメリットが発生するのでご注意ください。(詳細は後編の3-1節)
3年10月以降に行われる入試(東大冬入試など)、卒業見込み証明書の提出を必要としないところは受けれます。

B

ただ、私の系もそうだったのですが、自分の系の専門科目が少ない場合ほとんど必修みたいになるので、自分の系の専門科目は選択科目であっても可能な限り履修した方がいいです。(特に在籍期間3年の早期卒業をする場合、3年前学期終了時点で特課研の申請条件をみたさなければならないため、3年後学期に履修する専門科目は学部の卒業とは全く関係ないものと考えなければならないです。)

2-4…どれくらいの成績を目指せばいいの?


2年終了時までにGPT3.00以上や3年前期までにGPT3.50以上と言われても、あんましっくりこないかもしれないので、説明を加えたいと思います。
ここでは、飛び入学や早期卒業には平均で何点くらい取れればいいの?について述べたいと思います。


2-3節に書いたように単位をより多くとれば早期卒業や飛び入学をしやすくなります。
しかし、無限に単位が取れるというわけではなく、1年間に履修できる単位には上限があります。

学修案内8ページによると、

①1年間に履修できる単位数の授業は基本的には48単位まで
前年度の年度GPAが3.00以上なら、56単位まで1年間に履修できる
③上の条件を満たしていなくても、直近の学期の学期GPAが3.00以上なら、52単位まで1年間に履修できる

が書かれています。
GPA(Grade Point Average)とは簡単に言うと成績の平均をのことで、年度GPAは1年間の成績の平均、学期GPAは前学期or後学期の成績の平均を表します。
詳しくは付録1をご覧ください。

つまり、通常は1年間は48単位までだが、条件を満たせば1年時は52単位まで、2年以降は56単位まで履修できます。

2年終了時までに最大で52+56=108単位とることができます。
飛び入学の条件から飛び入学する人の2年終了時までの単位数は90~108単位となります。

履修できる単位数の範囲を念頭に置いて、飛び入学と早期卒業の条件が具体的に成績が必要なの?について書きます。
なぜその結論に至ったかは付録2をご覧ください。


飛び入学:
単位限界(108単位)まで取るなら85.66点で飛び入学の条件が満たされる。
単位を最低限(90単位)取るだけなら91.93点で飛び入学の条件が満たされる。

だいたい80後半あれば飛び入学できるって考えとけば大丈夫です。
詳しい点数を知りたければ、下のエクセルシートをダウンロードして確認してみてください。
早期卒業の点数についても計算できます。

参考までにコロナ禍前ですが1年のときの平均GPAが確か2.71だったので、対面の頃は東工大生の平均点は82点くらいです。
オンライン授業で平均点がもっと高くなっていると思うので前者は難しくないですね。
後者の場合はちょっと頑張らないといけないと思います。

早期卒業(在籍期間3年):
ざっくり言うと、
飛び入学の条件を満たしていれば、3年前学期に18単位以上の単位取っていればそのまま成績(8割後半)を保っていれば、早期卒業できる。
飛び入学の条件を満たしていなくても、3年前学期に授業を詰め込みまくれば早期卒業できる。(ただし、院試の勉強があるため、無理のない履修を!)
3年前学期に何単位詰め込むかにもよるので、詳しくは上のエクセルシート(無料)を参考に必要な平均点数を出してみてください。

また、点数の出ない科目(合否科目や他大の四大学連合の科目など)は飛び入学や早期卒業の不利になるので注意。
どうしても、取りたいなら3年後期に集中させるのが良いと思います。

早期卒業(在籍期間3年半):
基本的には成績は悪くなければ大丈夫です。


付録1…GP、GPT、GPAの算出方法


まず、GPは授業科目によって算出方法が異なります。

1、成績が点数である授業科目の場合
GPの計算方法は次の通りです。

$${\rm{GP}=\frac{(授業科目の点数)-55}{10}}$$

ただし、59点以下(不合格)はGPを0とする。

2、成績が合否のみで点数が出ない授業科目の場合
合格ならGPは2.5、不合格ならGPは0とする。

3、東工大以外で授業を受け、認定された科目の場合
こちらに当てはまる授業科目は以下の通りです。

・東工大以外の四大学連合の授業科目
・慶應義塾大学との単位互換制度によって修得した授業科目
・お茶の水女子大学との単位互換制度によって修得した授業科目
・以前在籍してた大学や高専などの単位を引き継いだ授業科目(仮面浪人や編入などが該当)(注4)

これらの授業科目のGPは認定、不合格に関わらずすべて0となります。

このGPからGPTは算出されます。
ある1つの授業科目を受けたときに得られるGPの合計を$${X}$$とすると

$${X=\rm{GP}\times (授業科目の単位数)}$$

となります。
この$${X}$$用いてGPTの値は

$${\rm{GPT}=\frac{\textit{X}の直近の学期末までの総和}{110}}$$

となります。

GPA(Grade Point Average)はクォーターGPA、学期GPA、年度GPA、通算GPAの4種類あります。(注5)
それぞれの算出方法は次のとおりです。

$${\rm{クォーターGPA}=\frac{該当クォーターの\textit{X}の総和}{該当クォーターの履修単位数の総和}}$$

$${\rm{学期GPA}=\frac{該当学期の\textit{X}の総和}{該当学期の履修単位数の総和}}$$

$${\rm{年度GPA}=\frac{該当年度の\textit{X}の総和}{該当年度の履修単位数の総和}}$$

$${\rm{通算GPA}=\frac{\textit{X}の直近の学期末までの総和}{直近の学期末までの履修単位数の総和}}$$

となります。
ただし、履修単位数には合否科目や認定科目などの点数が出ない科目の単位数は含まれません。

付録2…最低限必要な平均点数の出し方


まず、GPTはGPの総計を110で割っている(付録1参照)ので、GPT3.00以上とは、GPの総計が3.00×110=330となります。
これを履修単位数で割れば一見、飛び入学に必要なGPAが出るかと思いますが、そうではないです。
東工大の必修科目の東工大立志プロジェクト(2単位)は成績が合否です。
合否科目はGPAに加算されないので、合否科目分のGPを引く必要があります。
よって、飛び入学に最低限必要な2年間のGPAは330-2.5×2=325を108-2=106で割って求められ、325÷106≒3.066となります。
これを平均点数に直すと、3.066×10+55=85.66点になります。(点数の出ない授業科目は立志プロジェクト以外取らないことを前提)

また、飛び入学の条件を満たす最低単位数である90単位を取得する場合、
同様に計算して

$${\rm{平均点数}=\frac{330-2.5\times2}{90-2}\times10+55\fallingdotseq91.93}$$

となります。
この後者の点数(91.93点)を平均で取れる実力があれば、単位数だけ気にすればオッケーです。(こちらも点数の出ない授業科目は立志プロジェクト以外取らないことを前提)
前者の点数はそこまで難しくないと思いますが、後者の点数は少し難し目な気がします。

次に早期卒業のGPT3.5以上を達成とは?について書きます。

GPT3.5以上を達成する時期に注目すると、3年の前学期終了時または3年の後学期終了時になります。
前者の場合、在籍期間3年の早期卒業と在籍期間3年半の早期卒業のどちらも選択可能です。
後者の場合、在籍期間3年半の早期卒業のみとなります。

3年の後学期終了時の東工大生の平均GPTは4以上なので、3年半の早期卒業をする場合、成績はあまり気にしなくて大丈夫だと思います。

3年の前学期終了時にGPT3.5以上の場合、3年前期に履修する単位数によって求められる平均点数が変わってきます。
また、飛び入学の条件を満たす必要はないので、3年前学期に無理矢理授業を詰め込めばこの条件を簡単に満たすことができます。
ただし、院試の勉強もあるので、履修は無理のないように行ってください。

在籍期間3年の早期卒業に必要な平均点数は次のように計算されます。
なんでそうなるか説明するのはめんどくさくなってきたので、計算方法のみ書きます。

$${平均点数=\frac{385-(現時点の\rm{GPT})\times110-A\times2.5}{N-A-B}×10+55\\}$$
$${\textit{N}:直近の学期末から3年前学期末までに履修する全単位数}$$
$${\textit{A}:直近の学期末から3年前学期末までに履修する合否科目の単位数}$$
$${\textit{B}:直近の学期末から3年前学期末までに履修する東工大以外で受ける\\授業(四大学連合など)の単位数}$$

また、385→330、3年前学期末→2年終了時に置き換えれば、これから履修する授業科目で平均何点以上とれば飛び入学できるかが分かります。

※書いていて思ったのですが、めちゃくちゃ分かりづらいですね(-_-;)

例えば、最低限飛び入学の条件をちょうど満たし、3年前学期に18単位取るとすると、85.55点以上で在籍期間3年の早期卒業ができるかと思います。
だいたい飛び入学のときの平均点(80代後半)を保っていると仮定するなら、3年前期に18単位くらい取れば安心でしょうか。

ここで、合否科目で得られるGPは2.5であまり高くなく、四大学連合などの科目はそもそもGPは0扱いなので、飛び入学や早期卒業をするのであれば取るのを控えた方がよさそうです。
どうしても取りたいなら3年生後期に集中させるがいいと思います。


(注1)早期卒業なんかせず、学部で就職した方が早いじゃないかという意見もあるかと思いますが、私が将来なりたい職業は大学院を出ていないとなれないため、大学院進学を志望しました。

(注2)この書き方だと大学院の受験は大学3年終了時の後と取れますが、実際に大学院の入試を受けるのは大学3年生のときになります。

(注3)大学改革支援・学位授与機構で学位を授与してもらうことで学士の学位は取ることができます。ただし、東工大卒業とはならない。

(注4)編入生には飛び入学と早期卒業の資格はないです。

(注5)東工大はクォーター制をとっており、1年を4つに学年を等分しています。詳しくは学修案内の2ページ学期とクォーターを見てください



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