王座戦振り返り④

2021/12/23 4R 静岡大(M氏)

2日目。
前日に良い将棋が指せたのと、朝は相変わらず良いルーティーンで気持ちを整えた。一大イベントで気持ちが昂るというのはあるが、今回は将棋を楽しむために、他の楽しみは後に取っておいて体調を整えることを優先した。

他の仲間からは「やたら早く寝るヤツだな」と思われていたらしいが、自分はそれくらいでいい。メンバー会議も休ませてもらっているので、全力で勝ちに行くのみだった。

第4局は先手中飛車の出だしとなった。やはり対抗形は安心である。この展開はやや激しめとはいえ、研究が十分にあったので不安はなかった。
ここで先手は▲6六歩。この手を指してくるということは、相手も経験豊富であるということが窺えた。

▲4四歩にて初めて研究を外れる。
一見好手なので、一本取られた気分になりそうだった。しかし研究していないということは疑問手だ、という信念のもとで徹底抗戦の構えを取る。

△4四同角▲6五歩△5五銀▲4五銀△3三角と、強気の対応をした。

代えて△3五角は▲5八飛で逆効果である。
こちらはコビンが怖いが、▲5四歩には△8六飛で、歩切れを主張しておけば有利だと考えた。
よって先手も▲7五歩と突っかけてきた。正確な対応が次々に迫られる展開に、この左美濃の難しさを感じざるを得なかった。

この数手で20分ほど消費したと記憶している。絶対に間違えてはいけないが、ここさえやり過ごせば優勢になる確信があった。
▲4四歩や▲5四歩、他には後の▲5二歩など、とにかく歩の攻めをされると持たないと思い、△7五同歩▲7四歩△6五桂を決行した。

▲同飛△6四銀▲6八飛△9九角成と進む。

ひと目、後手の駒が一気にそっぽへ逸れたようだが、△9九角成で香を取るという一手の大きさはものすごく大きいのだ。この戦型の要は香の使い道だとすら感じる。
▲7三歩成△8六飛▲同歩△8九馬▲6三と△4五馬と進んだ。
ちょうど馬が銀に当たるので、この手順に希望を見出したのだ。

局面実況をしていたメンバーは、かなり難解もしくは不利を予感していたと聞いたが、個人的にはすでに大優勢である。
何しろこの△4五馬は大きなものを秘めている。コビン攻めはもちろんだが、むしろ持ち駒の香のポテンシャル(△2四香/△4六香/△6一香など他色々)に期待を寄せていた。

本譜はあっさり▲5二と△同金▲6四飛と進行する。

王手飛車は入らないので、一旦どうやって受け切るかという問題である。
初めは香に期待しすぎて△4一銀打が本線になっていたが、さすがに△6三香の方が打ち得だと考え改めた。

本譜は△6三香▲6一飛△4一銀打▲7四飛と進んだ。

この数手は後手にとって得になった。△8三角をいつ決めようかという、嬉しい悩みである。
ここでなんとか残していた時間をすべて投じ、△4八歩と手裏剣を放つ。早めに打っておくことで▲3九金と寄りにくくしようと考えた。(△1五歩が見えるので)
本譜は▲4八同金△4七歩▲同銀△8三角と、すべての利かしを入れて満を持して飛車を奪った。

少し進んで次図。
駒得を果たし、さらに自陣が盤石である。ここで間違えずに攻め切れば、というところだ。

ここで△4六歩▲3八銀△4七金が単純ながら厳しい攻めだった。
以下▲4九歩△3八金▲同金△5六馬と進む。

ここまで進むと、自陣に駒を投じてもジリ貧である。
先手は▲8五角と下駄を預け、△4四桂で後手の勝ちが決まった。

本局もまた、投了図を見れば完勝であった。
△9九角成をきっかけに、盤上の勢力図が一気に傾いたように思う。このあたりの判断は、実戦の振り返りが活きただろうか(#184などが大きい)

2日目のスタートも良い将棋で切ることができた。次からいよいよ強豪校との対戦が始まる。昨日とは一転、自信を持って次へ臨んだ。

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