棋譜並べ日記#29 相穴熊の距離感

2022/5/16

みなさん相穴熊はお好きでしょうか。私はあんまり好きではありません。
玉は広い方が粘りが効いて好きですね…。

さて、この▲5四歩は早くも勝負手である。
△同銀なら利かしだが、ここで△4八飛成があった。

~△5七竜としてもまだきっかけが見えないのに、大丈夫なのかと思ってしまうが、これは相手の攻め駒との兼ね合いで成立している。

▲5三歩成~▲7五歩としてくる。

ここで△5七竜と回収し、▲7四歩に△1二角が好手。

なにが厳しいかと言うと、△7八角成と△7六桂のコンボが強い。

全力で先手が迫った順だが、これでも後手の方が足が速かった。
穴熊には小駒の攻めで食らいつけば勝てるというのが定説だが、案外長打力のある大駒の足が速いということも忘れてはいけない。
▲7九銀型なのが災いしてしまった。


後手が猛攻を仕掛けて綱渡りになった図。
ここは攻め駒が2枚しかないため、△5五銀と進出して戦力を足すのは好手に見えた。しかし▲8九金が粘り強い手で、また形勢が戻ってしまった。

代えて△7八銀成が正着。

当然と言えば当然だが、やりにくい印象はある。
▲8九金の受けには△7七成銀と引いておき、次の△6七桂が痛い。

とても細いようで、実は受けが効かないという珍しいケース。
要である△6九飛を責められないのがポイントで、受けが難しい。

攻めと受けの1手が同価値ではないことがある。


一時は先手優勢になったが、少しミスがあって難解になった終盤戦。
ここから後手の受けが基本ながら洗練されていた。

まずは△8一桂と打ち、穴熊の原型へ補強。
穴熊は結局あの配置が最強なので、原型通りに補強するのが優先かもしれない。

続く猛攻に、△1八角と遠くから受けたのが絶好打。これで逃れている。
▲7二金くらいだが、△同角成▲同銀成△8一銀がきれいな受け。

▲7一角△9二金で完封。以下▲7三成銀△7六桂にて後手の勝利となった。


穴熊はとにかく一方的な展開はいけなくて、何かしらアヤをつけながら粘る。まさに”攻めるは守るなり”を体現する戦型なのだが、粘りが独特なためなかなか慣れない。習得したい戦型の一つである。

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