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和田秀樹 『勉強したくなった人のための大人の「独学」法』

概要

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学び続けることで、夢をかなえたり、自分の人生をガラリと変えるチャンスに出会えるのです。思い立ったときに動こう。
医師をしながら、作家、映画監督、進学塾経営など、「独学」で手に入れた私の方法、すべてお伝えします。

著者の詳細

和田 秀樹(わだ ひでき、1960年(昭和35年)6月7日 - )は、大阪府出身の受験アドバイザー、評論家(教育・医療、政治・経済)、精神科医(川崎幸病院精神科顧問)、臨床心理士、国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)、映画監督、小説家、管理栄養士。
複数の大学、大学院の非常勤講師や東進ハイスクール顧問も歴任。ヒデキ・ワダ・インスティテュート、緑鐵受験指導ゼミナール代表。

要点整理

・独学の意義は、自分の中の「答え」を増やすこと。

・独学のテーマは、興味があって長続きするものを選ぶ。

・独学の目標は、知識を独自の視点で面白く語れるようになること。

・独学の方法は、歴史であれば、出来事を新しい解釈からも見ていくこと。

・独学の時間は、睡眠時間以外で、暇な時間を見つけて確保する。

・独学の本選びは、入門書の、導入部分で良いと思ったものを選ぶ。

・独学のアウトプットは、受け売りでも良いので、自分なりに文章化すること。

感想

今の大学生には、「独学」という能力が欠けている。

「日本の大学は、入り口は保証するが出口は保証しない」
「難関大学は、入るのは難しいものの、出るのは簡単」

などと言われることがある。最近では、受験科目の多さなどから国公立大学が敬遠され、私立大学、特にブランド力のある有名大学への集中が起こっている。その結果、限られた合格枠を、多くの受験生が、少ない科目で奪い合うようになった。当然試験は難しい、仮に難易度が下がった場合、取るべき点数が上がるので、差が出にくくなり、かえって合格が難しくなりそうだ。

苛烈な受験競争を勝ち抜くにはどうすればいいか? 多くの受験生は塾に通う。そして、志望校の問題を徹底的に対策する。英語であれば、まず使わないような表現も覚える。歴史であれば、教師も頭を抱えるほどのマイナーな事件や人名を覚えることになる。

そうして合格を勝ち取り、入学したら勉強しなくなる。何故か? 大学の試験が簡単であること。難しくても過去問さえ手に入ればどうにでもなること。救済措置があること。遊ぶのに忙しいこと。勉強が将来に役立つと思っていないこと…。など、数々の理由が考えられる。

しかし、根本にあるのは、勉強に対する純粋な態度。知的好奇心や、関心、興味と言ったプラスの感情の欠如。独学に対する知識と経験の欠如。ではないかと思う。

勉強を好む大学生は少ない。その原因は、勉強を楽しいと思う以前に、定まった勉強内容を押しつけられたせいであろう。物の数を数える前に計算をさせられ、外国人に出会う前に英語を読まされ、室内で「理科」の現象を教えられる。そんあことが子供の頃から続いている。幸いなことに、有名大学に行ける人間は、大抵真面目なので、与えられたものに反発せず、疑問も抱かず、テストの点を取り続ける。その結果、不幸にも、勉強の楽しさを知ることなく、大人になってしまうのだ。

独学をする大学生は少ない。その原因は、独学をする以前に、学校や塾から勉強を教えられたせいであろう。一般的に言われる「独学」は、塾に行かずに学校にに合格することらしい。それなら、大人になってからの「独学」は、資格試験に合格することか。

大学生はもっと自由に独学をするべきだ。独学は、興味を持ったものを深く知るだけで成立する。分野の縛りもないし、時間の制約もないし、無料でできる。

知りたいことも方法も自分で決められるものを、人は嫌いになったりするだろうか。

独学は、まずは、これまでしてきた勉強のことを一旦忘れて、子供のような知的好奇心を復活させることから始めてみてはどうだろうか。



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