厄祓い

皆さんは、厄祓いをしたことはあるだろうか。
Wikipediaには厄祓いはこうある。
『厄祓いとは、災厄を避け、今後の人生を無事安泰に過ごすため、祈願祈祷することを指す。』
本来、人生を無事安寧に過ごす為の厄祓いだが……祓った厄はどこにいくのか。
そんなお話。

その人は仮にAさんとしておこう。
彼女はバリバリの営業職で、営業部の部長をしている。
旦那さんとは離婚しているが、2児の母でもある。
そんな彼女だが、ある年に厄祓いを行った。
八方塞がり除けというお祓いだ。
私はこの厄祓いを知らなかったのだが、陰陽道の八方が全て塞がっている年のことを言うらしい。
ともかく、そのお祓いをしたAさんなのだが、彼女自体はその年はなにかと上手く行った。
新しいチームの立ち上げや、新企画の成功、チームメンバーにも恵まれていた。
順風満帆。
これも厄除けの効果か、と。
しかし、彼女の周りはそうではなかった。
まず、部下が病んだ。
と言っても彼女のせいではない。
突然に心を病んで出社してこなくなった。
幸い、2ヶ月ほどで彼は戻ってきたが、今度は別の同僚に癌が見つかった。
驚いていると、今度は先輩が心臓の検診で引っかった。
まあ、ここまでならAさんには関係ない。
だが、今度はAさんの息子さんだった。
夏のある日、癲癇の発作を起こした。
原因は不明だった。
幸い今は薬もあるので普通に過ごしていたのだが、今度は下の子が盲腸になった。
Aさん自体は健康そのものだったのだが、周りがどんどん病んでいく。
そのことにAさんは悩んでおり、知り合いである私に話してくれたのだ。
私は良い解決策は思いつかなかったが、ひとまず信頼の置ける知り合いの神社を紹介した。
そこで再度厄祓いをしてもらったところ、その後なにも周りでは起きていないらしい。

厄祓い。
祓った厄はどうなるのだろうか。
普通なら神仏の力で浄化されるのだろうと思う。
しかし……もしも、その厄が他に散らしただけなら?
厄は、病原菌のように周囲にばら撒かれるのだろうか。
そんなことふと考えてしまった。

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