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公的セクター関係者480名以上が参加! TikTok主催の公的セクター向けシンポジウム「ThinkTalk Day」実施レポート(前編)

公的セクター向けシンポジウム「ThinkTalk Day」を初開催

TikTok Japanは2023年11月24日、地方自治体をはじめとした公的セクターにおけるショートムービーを活用した情報発信とその有益性について知っていただくための初のシンポジウム「ThinkTalk Day ~ショートムービーが社会に与える影響と公的セクターにおける活用のしかた~」を都内で開催しました。

総合司会にはフリーアナウンサーの登坂淳一氏をむかえ、政府有識者や専門家、動画クリエイター、実際にショートムービーを活用する自治体や企業の方々などが登壇してさまざまな議論が展開されました。リアル会場とオンライン配信を合わせて480名以上の公的セクターのみなさまが参加し、活発な議論に熱心に聞き入り、参考にしていただきました。

当日実施された各セッションの内容を前後編でご紹介します!

<後編はこちら>

自治体や地域のみなさまとともに全国各地を盛り上げていきたい

TikTok Japan ゼネラルマネージャー 佐藤陽一

シンポジウムの開会にあたり、TikTok Japan ゼネラルマネージャーの佐藤陽一が日本におけるTikTokの現状と公的セクターにおける取り組みを紹介しました。

2017年にTikTokが日本でサービスを開始してから約6年。「おかげさまでTikTokは日本でもグローバルでも大きく成長している」と言及。音楽やダンスなどを中心とするエンターテインメントコンテンツにとどまらず、現在では最新ニュースからHowTo動画、グルメや観光スポットの検索まで、生活の幅広いシーンで活用されるようになっている、とプラットフォームの広がりを強調しました。

続いて地方振興の取り組みに触れ、TikTok Japanが地方の自治体と連携してともに地元を盛り上げる「create together」プロジェクトを今年新たに開始したことを紹介しました。2023年2月に熊本市で地元出身のタレント、コロッケさんが路面電車を貸し切ってモノマネショーを行うTikTok LIVEを実施したのを皮切りに、全国各地でイベントを実施。さらに、地元のお祭との取り組み第一弾として、2023年10月に沖縄県浦添市の「浦添てだこまつり」とコラボレーションしたことを紹介、「今後も、自治体や地域のみなさまとともに全国各地を盛り上げていきたい」と言葉に力を込めました。

TikTokの安心・安全に関する取り組みにも触れ「生成AIを使用したコンテンツにラベル付けする機能を試験導入するなど開発を進めている」と紹介。「本日のThinkTalk Dayでは、ショートムービーの特性や社会に与える影響について、政府有識者や専門家、地方自治体・大学、企業、そして動画クリエイターなど、幅広いみなさまとともに多面的に議論していきたい」と呼びかけました。

ショートムービーの社会的影響力はさらに拡大する

基調講演:武蔵大学社会学部教授 庄司昌彦氏

基調講演では、武蔵大学社会学部教授で情報社会学・情報通信政策を専門とする庄司昌彦氏が登壇しました。庄司氏は「ショート動画は、今後さらに大きく成長する時期にある」と指摘します。

その背景を知るために、庄司氏はまずショート動画が誕生するまでの動きやユーザー数の推移を紹介しました。「2005年にYouTubeが誕生した頃から動画コンテンツが本格的に普及をはじめました。2007年にはiPhoneが発売されスマホの時代が到来します。そして2017年にTikTokがグローバルサービスを開始し『ユーザー投稿ショート動画の時代』が始まります。ソーシャルメディアの利用者数推移やアプリダウンロード数など、さまざまなデータを見ても現在ショート動画が大流行していることが明らかです」(庄司氏)。

TikTokの認知率は全世代の7割、20〜40代の女性では約8割となっており、「もはや若い子が歌って踊る」だけではないプラットフォームに成長している、と庄司氏は指摘します。

そんなショート動画の可能性を考えるときに押さえるべき点は何か、庄司氏はポイントを挙げながら説明しました。スマートフォンの普及により個人が常時インターネットに接続できる環境となったことを背景に、ショート動画は主要エンターテインメントとして影響力が増大しています。動画ならではの映像や音楽、ダンス、字幕などを組み合わせた豊かな表現が可能であるため、短時間で関心を得ることができ「タイパ(タイムパフォーマンス=時間対効果)がよい」フォーマットとなっています。さらに模倣と拡散によるユーザー文化が醸成されていること、一人ひとりにカスタマイズしたレコメンド機能、広告や投げ銭/ギフティングによる経済性などを庄司氏はショート動画の特徴として挙げました。

一方で庄司氏はショート動画の課題として、①偽・誤情報による利用者への影響、②発信者側の迷惑行為、③利用者側の中毒性、④迷惑行為やデジタル性暴力などからの青少年保護、⑤プライバシーへの懸念やコンテンツへの検閲といったプラットフォームに関する課題、の5つがあると指摘しました。

これらのショート動画の可能性や課題について、どのような研究が進められているのでしょうか。TikTokに関する英語と日本語の論文数を比較すると、日本語の論文は英語の約40分の1程度。海外に比べて研究がまだまだ進んでいないことがわかります。特に日本語の論文はマーケティング、ビジネス、若者、観光、企業などをキーワードにしたものが多く、TikTokからどのようなネット文化・カルチャーが生み出されるかという研究はほとんど見られないのが現状です。

「もはやショート動画の社会的影響力は無視することはできません。それを有効に使いこなすには、どんな特徴があり、課題がどこにあるのかをしっかりと理解・研究する必要があります」と庄司氏は指摘しました。

「ショート動画ならではの見られ方、つくり方があり、そのプラットフォームの持つ機能や特徴がある」という庄司氏。効果的な情報発信をするには届けたい対象や目的に合わせてコンテンツをつくることが重要となることから「今回のシンポジウムを通じて、いろいろな事例を共有し理解を深めてもらうといいですね」と期待を寄せ、基調講演を締めくくりました。

何よりも大切なのは「継続すること」

セッション:ショートムービーの特性と広報活用におけるポイント

登壇者:谷浩明氏(杉並区広報専門監)、あああつし氏(ショートムービークリエイター)、槻本裕和氏(ANAホールディングス株式会社)、平石夏子氏(さが県産品流通デザイン公社)

続いて「ショートムービーの特性と広報活用におけるポイント」と題したパネルディスカッションを実施しました。杉並区広報専門監の谷浩明氏がモデレーターを務め、ショートムービーで情報発信をしているTikTokクリエイターのあああつしさん、さが県産品流通デザイン公社の平石夏子氏、ANAホールディングスの槻本裕和氏の3名が実際の制作経験も踏まえながら議論しました。

モデレーターの谷氏は、3名の自己紹介と、動画制作で心がけていることを質問しました。

TikTokクリエイター あああつしさん

あああつしさんは、5年前にTikTokをはじめ、現在では約340万人のフォロワーを持つ人気クリエイターです。撮影から編集、投稿まですべてがスマホ1台で完結するスタイルで「誰でも真似しやすい」動画を投稿しています。動画発信のポイントとして、「見る、まねる、見せる」が大切だといいます。

さが県産品流通デザイン公社 平石夏子氏

平石氏は、佐賀県産品の魅力を伝えるアカウント「さがぴん【公式】佐賀の魅力を発信」を中心に情報発信を担当しています。実は平石氏は2023年4月に入社したばかりで、それまでショートムービーは未経験だったにも関わらず入社5日目に初投稿したといいます。それができたのは、マニュアルなどが整備されていたおかげ、と「継続するしくみ」の重要性を強調しました。

ANAホールディングス 槻本裕和氏

ANAホールディングスの槻本氏がTikTokを活用しはじめたのはコロナ禍の2021年。若年層におけるANAの認知度を高めるために公式アカウントをスタートし、約2年で約65万人のフォロワーを獲得したといいます。「すべて内製する」「社員を登場させて親近感を持ってもらう」「クリエイターとコラボしてANAを知らない層に知ってもらう」の3つを心がけている、と制作のポイントを紹介しました。

続いて谷氏はショートムービーの特性について質問。平石氏は「見る側は、クリエイター、自治体などと区別せずに動画を見ている」と指摘。数ある情報のひとつとして多くの人に届くからこそ、興味を持ってもらうための企画が重要だといいます。槻本氏は、ショートムービーは心理的な距離が近いのが特徴だといいます。まるで自分がスマホの中のパイロットに話しかけているかのような感覚になれる動画など、視聴者との距離を近づける動画を意識しているそうです。

最後に谷氏がこれからショートムービーによる情報発信をはじめる方へのアドバイスを求めると、あああつしさんは「(100点満点で)10点でもいいから投稿すること」が大切だと回答。完璧な動画ができなかったとしても、まずは投稿して反応を見ることで学びが得られます。だからこそ、まずは第一歩を踏み出してほしいとエールを送りました。

平石氏も同意見で、まずはじめること、そして継続することが大事だといいます。「月に1本こだわり抜いた動画をつくるより、ある程度クオリティが低いと思っても継続して投稿する方がアカウントも育つ」と継続の大切さを訴えました。

槻本氏は、「社員(などの関係者)をうまく巻き込む」ことを挙げました。アカウントが伸びてくると、社員の方から「自分もやりたい」という声が上がってくるようになり好循環が生まれる、と継続する体制づくりの重要性を伝えました。

杉並区広報専門監 谷浩明氏

最後に谷氏は、「自分も自治体に所属しているから、続けることが難しいのは理解できる」とした上で、いかに続けることができるかがポイントになると指摘しました。「はじめれば何かしらのアクションがある。ぜひこのセッションを役に立ててほしい」と締めくくりました。

情報発信力が高いからこそ継続的な取り組みを

セッション:ショートムービー活用とフェイクニュース・ネット炎上などのリスク

登壇者:庄司昌彦氏(武蔵大学)、山口真一氏(国際大学GLOCOM)、金子陽子(TikTok Japan)

続いてのセッションでは、基調講演にも登壇した庄司氏をモデレーターに、国際大学GLOCOM准教授の山口真一氏とTikTok Japan 公共政策部 公共政策マネージャーの金子陽子が、ショートムービーが直面するフェイクニュースや炎上などのリスクとその対応について議論しました。

はじめに山口氏は、自治体のSNS/プラットフォーム活用の効果とリスクについて語りました。誰もがネットで自由に情報発信できようになった現代を山口氏は「人類総メディア時代」だと定義。これは口コミの経済効果など、私たちに多くのメリットをもたらしているといいます。企業や自治体・官公庁においてもSNSなどによる情報発信には「地域の魅力発信ができる」「若年層へ情報を届けやすい」「緊急時も迅速に情報収集・発信が可能」「キャンペーン・啓発ができる」などの効果があり、実際に自身が監修などで関わった経験から「ショートムービーの情報発信力は非常に効果が高い」と山口氏はいいます。

国際大学GLOCOM准教授 山口真一氏

一方で、山口氏は自治体が留意すべきSNS/プラットフォーム活用のリスクとして「誹謗中傷」「フェイク情報の拡散」「生成AIによるディープフェイクの大衆化」「ネット炎上」の4つを挙げ、これらのリスクに対しては、あらゆるステークホルダーがそれぞれの立場で対策を取りつつ連携を深めることが重要だと指摘しました。

「プラットフォーム事業者はより透明性を確保し、ネガティブな人の行動を制御する機能を充実させることが求められます。一方、自治体は一般人への配慮やフェイク情報の発信・拡散への注意を徹底するとともに、複数人で企画運用することでセンシティブな話題への配慮や、著作権違反・炎上の予防・対策などを具体的に行っていくことが大切になっていくと思います」(山口氏)。

山口氏の話を受け、プラットフォームとしてTikTokが誹謗中傷・炎上に対してどのように取り組んでいるかを金子が説明しました。金子は「ネットは無法地帯ではない」と断言。オフライン同様、オンラインでも相手を尊重することを重視するという方針のもと、TikTokでは明確なコミュニティガイドラインを設定していることを紹介しました。

TikTok Japan 公共政策部 公共政策マネージャー 金子陽子

TikTokの取り組みの中でも特に先進性があると言われているのが「Rethink(リシンク)機能」です。これは利用者がコメント投稿をする際、その内容が誹謗中傷にあたるリスクがあるとコメントツールが判断すると「本当に投稿しますか?」と再考を促す機能で、メッセージが表示されたコメントの約4割が内容を修正、もしくは投稿を取りやめるという成果を上げているといいます。「この機能の大きなメリットは、誹謗中傷コメントが本人に届く前に止められることです」と金子は指摘します。また不適切なコメントを防ぐフィルター機能も進化していることを紹介しました。

ディスカッションの最後に、金子は「TikTokではさまざまな専門家やステークホルダーとの連携も積極的に進めており、表現の自由とのバランスをとりながら、偽情報対策にも注力していく」と今後の方針を語りました。

後半では公的セクターの活用事例や、「パブリックセクター ショートムービーアワード」受賞自治体を発表

この後のセッションでは、TikTokクリエイターと連携したショートムービーの活用方法や、実際の活用事例について活発な議論が交わされました。またシンポジウムの最後には、TikTokを効果的に活用する地方自治体などの公的セクターを表彰する「パブリックセクター ショートムービーアワード」を実施しました。その詳細は、後編でご覧ください!

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