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栃木市役所で、TikTokをはじめとした動画を活用した広報研修会を実施

TikTokは2024年5月15日、栃木県栃木市が実施した動画による情報発信の考え方や方法をテーマとした広報活動推進研修会に登壇しました。本研修会は市職員を対象としたのもので、2023年11月にTikTokが実施した公的セクター向けシンポジウム「ThinkTalk Day」に栃木市職員が参加したことをきっかけに実施されました。

研修会では、まずTikTok Japan 公共政策部の笠原一英が、TikTokの特徴を紹介。その後、東京都杉並区の広報専門監を務める谷浩明氏が登壇し「伝わる情報発信の実現に向けて〜これからの時代の動画活用を考える〜」をテーマに講演しました。研修会には69名の市職員が参加しました。

TikTokは社会課題の発信にも向いている

TikTok Japanの笠原は、プラットフォームの概要と、地方自治体などにおけるTikTokの活用事例を紹介しました。TikTokの最近のトレンドとして、映画のようにひとつのテーマについてストーリーを紡ぐ「ショートフィルム」が増えていることや、90秒以内の動画が好まれる傾向にあることを説明しました。

またTikTokはフォロワーの数に関わらず動画が拡散しやすいのが特徴で、大部分のユーザーが「おすすめフィード」を見るため、無関心層にも動画が届きやすいしくみとなっています。このため社会的な課題に興味を持ってもらうきっかけをつくりやすい、と笠原は指摘しました。
「フォロワーがいなくてもおすすめフィードに載り、視聴者の反応がよかったら拡散します。コンテンツが良ければ、多くの人に見られる可能性があるプラットフォームです」とTikTokの特徴を説明しました。
また、公共セクターにおけるショートムービーの活用事例として、広島県が作成した消費者トラブルへの注意を呼びかける投稿などを紹介しました。

情報発信は「伝わる」ことが大事

続いて、東京都杉並区の広報専門監を務める谷浩明氏が、動画を活用した情報発信について講演しました。谷氏はSNS支援や広報を通じて、行政と市民のコミュニケーション活動をデザインしているコミュニケーションデザイナーで、6つの自治体にてアドバイザーを務めています。

まず谷氏は情報発信の基本的な姿勢をレクチャー。「伝える」と「伝わる」の違いについて解説しました。「『伝える』は、一方的なお知らせです。『伝わる』は発信された情報を理解し、その期待通りの行動を取ってもらっている状態です」と谷氏は説明します。そして「伝わる」情報発信をするためには、伝える相手のニーズを満たさなければいけません。
そこで、重要になってくるのが、広報の考え方です。広報とは、英訳すると「Public Relations」。「組織において、人々(団体・個人)とより良い信頼関係を作り出すために行う誠実なコミュニケーション」という意味を持つと谷氏はいいます。

一般的には、「広く知らせること」が広報の役割と思われていますが、それだけではありません。「広報とは人々との関係づくりです。つまり、相手を知ること、住民の声を広く聴くことが求められます」と谷氏は解説しました。
「知らせること」と「聴くこと」を通じて相互関係を結び、信頼関係を築き上げることができれば、行政の発信を多くの人が興味を持って見てくれるようになります。そのために重要なのがコミュニケーションだと考えます。

「コミュニケーションを取る上で大切なのは、キャッチボールを続けることです。そのためには、相手が受け取りやすいようにボールを投げるようにした方がいいと思います。一気にボールを4つ投げても相手は受け取れませんよね。情報発信でも同じです。まず、1つか、多くても2つのメッセージを投げるようにし、受け手を意識したコミュニケーションを取ることが重要です」(谷氏)

継続的に作る体制が必要

情報発信には、広報誌・ホームページなど様々な手段があります。動画での発信を始める自治体も増えてきました。しかし、「流行っているという理由だけで動画発信に取り組むのは危険」と谷氏は警鐘を鳴らします。

「課題へのアプローチに、本当に動画が効果的なのか?と考えることが大切です。この時に重要なのが、組織としての考え方の軸を持ち、動画作成に取り組むことです。役所であれば、異動もあります。よくあることとして、動画が得意、もしくは興味がある担当者だけに任せてしまうと、その人が異動した際に引き継ぎがうまくいかず、効果的な情報発信ができなくなります」(谷氏)
動画の作成には比較的時間がかかります。また動画作成は得意不得意が明確に分かれる、と谷氏は指摘します。そこで、まずは動画を使った情報発信の妥当性を検証した上で、組織として継続できる仕組みを考える必要がある、と谷氏は強調しました。
それでは、動画を作成する場合、どのようなことから取り組めばよいのでしょうか。動画を見た後に情報を深く知ってもらうための導線を作ることが重要です。
「動画ではメッセージと多くの情報を伝えられますが、それだけでは不十分な場合もあります。動画を見て、その内容に興味を持った人が知識を得られるように、動画の最後にはホームページのリンク(検索窓)を載せると効果的です。そうなると公式ホームページの情報の整理も必要ですよね。SNSや動画プラットフォームとホームページが相互補完できるように、導線を確保することが必要だと思います。」(谷氏)

動画の具体的な作り方とは

次に、谷氏は動画のつくり方についてレクチャーしました。動画をつくる際に最も重要なのは、やはり「伝わる」こと。そのためには企画段階で、伝えたい情報の整理と視聴者のニーズを把握することが大切です。

コンセプトが固まったら「伝えるメッセージ」を検討します。ここでの注意点は、動画の再生時間に合わせて、メッセージを絞ることだと谷氏はいいます。「メッセージ数の基準は、30秒の動画で1〜2個、60秒の場合で2〜3個になります」(谷氏)

メッセージが決まったら、動画の撮影と編集をしますが、最後まで動画を見てもらうために重要なのが、「最初の5秒でインパクトを与え、カットは3秒ごとに切り替える」こと。最初に視聴者を引き込んで、離脱を防ぐ必要があります。参考になる例として、谷氏は葛飾区が作成したスポーツ振興を目的とした動画を紹介しました。

また、動画を作成するためには、「型」を活用することも重要です。「おもしろいと思う動画を見て、表現や構成の参考にするといいと思います。見ているうちに動画の見方が磨かれ、作り方もブラッシュアップされます」と谷氏。一例として、杉並区の「すぎなみではたらく(杉並区職員採用動画)」を紹介しました。この動画は職員の採用を目的に作られた動画で、区のイメージ映像、職員・仕事紹介、メッセージ、ホームページへの誘導という順番の構成になっています。このように動画の構成を分解し、「型」として整理することで動画作成のハードルを下げ、組織として動画発信を継続しやすくなります。

動画の企画から継続のための仕組み構築まで、明快で実践的な谷氏の方法論。研修会に参加した職員の皆さまも深くうなずきながら熱心に聞き入っていました。

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