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自己肯定感は「育てる」もの

『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』(星友啓著)を読了。以下、特に印象に残った箇所を中心に感想をメモしてみた。(まだ本書を読んでいない方には、ぜひおすすめの1冊です!)

・冒頭の部分で特に重要だと思ったのは「長期的には、外発的要因だけでは解決が難しい」ということ。(同時に、読んでいて心理学の本でよく目にする「内発的要因・外発的要因」という言葉の復習にもなると感じた。)

・1番印象に残ったのは、人には多面的な心の「顔」があるということ。このことについては、別の石井裕之さんの有名な著書『「心のブレーキ」の外し方』でも同じように「いろんな自分がいる」ことが書かれているが、以前読んだその箇所とオーバーラップして読むことができた。
「心への脅威は、多面的な自分の一つの『顔』に対するもので、ディフェンス型の心の適応を避けるには、他の『顔』で自己肯定するといい。」
という本書で述べられたこの記述はとても新鮮で勉強になった。

・また、ルーティン化を読者に勧めている箇所を読んだときには、別の脳科学に関する本(タイトルを忘れてしまった。。)で「脳をリラックスさせたり気分を変えるためには、例えばシャワーを浴びるなど『考えずに行えること』をやるとよい」と書かれていたのを思い出した。これは断片的な記憶ではあるが、最新の脳科学に基づいて説明されている。本書も、星先生が書く本だから「最新の脳科学に基づいて書かれている」のはもちろんそうだと思うが、自分がこれまで読んでいた脳科学に関する何冊かの本と共通して書かれていたこの「ルーティン化」は特に重要だと感じた。実際に自分も今年の1月から、1週間に1度のペースでまとまった6〜7時間を(1時間ごとにやることをワークスケジュール化させて)同曜日同時刻同作業に当ててみているが、調子が悪いときは僅かに作業スピードが遅いなどの「調子の悪さ」が体でわかるようになった。これは身体的な定点観測を一定期間行って初めてわかったことだった。

・(ABCモデルについて)
自分のこれまでを振り返ると、今までは「きっかけとなるできごと(A)と起こった結果(C) 」の2つの観点からA→Cについて考えたり改善したりすることが多かったが、本書に記されている「ネガティブな心の構え(B)を踏まえたA→B→CのBを考える」という視点がとても参考になった。このABCモデルについて考えるときにP96にある11のネガティブな心の傾向を参照することで、自分の思考の偏り、すなわち本書の言葉でいう「心の小悪魔」をチェックすることができる。この11のリストはどれも「言語化が完成されたものだなぁ」と感心するものばかりで、目を通すだけでも思考が洗練されるように感じた。

・エピジェネティクス。これはかつて大学在学中に分子生物学の講義で耳にした言葉であったが、遺伝に影響するというのは面白いと思った。

・本書の終盤では「他人に親切にすることや感謝の気持ちを持つことで、自分の心の状態もよくなりやすく自己肯定感につながる」ということについて書かれている。この箇所に目を通したときにはもちろん、そのことについて知見を深めて現実との対峙に活かすことも重要だと思ったが、同時にこの内容そのものが「人は他者から少なからず何かしらの影響を受ける」ということを示唆しているように思われる。つまり、自分の周りの人に親切にすることや利他的精神を自己の中に培って大きく育てていくことが必要だということだ。

・本書では、全体を通して自分について振り返るワークが用意されているが、運動するなどの「体を動かす」こと以外のほとんどが「手を動かす」ことを要求している。つまり、これは頭の中だけで考えずに素直に書き出す作業をした方がいいということ。

・本書のタイトルにもそうあるように、自己肯定感は「育てる」ものであるということ。初めは意識して育てることになるかもしれず、地味な種まきになるかもしれないが、本書に書かれていることはどの章も非常に勉強になったので日常に還元していけるように努めたい。

まだ本書を手にとっていない人は、ぜひご一読を!

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