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「あ~ん」収集と、その観察


本記事は、「オモコロ杯2022 ~春~」にて銅賞を受賞しました。

はじめに


この世界には、「チョコあ~んぱん」というお菓子があります。

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こちらです。

スーパー・コンビニ等で一度は見たことがあるのではないでしょうか。私も免許センターの自販機で見かけたような覚えがあります。

特段、大好きなお菓子というわけでもありません。なんとなく頭の片隅にぼんやりと置いている程度の認知度でした。
しかし、そんなチョコあ~んぱんの輪郭は、ある日を境にくっきりすることになります。

課題がようやく一段落ついた日の夜でした。解放感と共にお酒の缶を開け、楽しみにしていた動画を鑑賞したりしながら、私はこう思ったのです。

「あ~ん、最高。今ならチョコあ~んぱんの『あ~ん』部分を担当できるくらい幸せ」と。

私の認知領域に、脈絡もなくチョコあ~んぱんは訪れました。それも、「『あ~ん』部分を担当できる」という自信と共に。なぜこんなことを思ったのかは自分でも分かりません。「あ~ん」を担当する、とは具体的にどういうことなのかも分かりません。
ですが、こんなことを思ってしまったからには、もう、やるしかないのです。そう、

『あ~ん』集めよう

これを。
「切り抜いて集めること」が「担当すること」とイコールかどうかは定かでないですが、とりあえずやってみようじゃないか。

ということでやってみました。

「あ~ん」収集編

「あ~ん」を収集するということは、チョコあ~んぱんのパッケージをたくさん用意するということです。こういう時、できる限りたくさん用意した方が映えるのかもしれませんが、いかんせんチョコあ~んぱんは食品ですから、食べきれないほどの量を買い込むわけにはいきません。SDGsが謳われる世の中ですしね。そこで、一日一箱を一カ月続ければ食べきれる量、すなわち30箱のチョコあ~んぱんを用意しました。

並びあ~んパン・改    
写真には30箱も写っていません(ごめんなさい)が、ちゃんと30箱用意しました。

30箱のパッケージから、ロゴの「あ~ん」部分を切り取っていきます。ちなみに、チョコあ~んぱんには一箱に大・中・小の3つのロゴが描かれてあります。「あ~ん」には大あ~ん・中あ~ん・小あ~んの3種類があるというわけです。

書き込み済展開図

したがって、30箱から「あ~ん」を切り取ると、3(あ~ん)×30(箱)で計90あ~んが得られることになります。

収集の過程

収集の方法は至ってシンプルです。箱から切り取って、集める。それだけです。

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切って、
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切って、
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切り取る。

この工程を90回繰り返しました。そして、






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90の「あ~ん」を得ることができました。左から、大きい順に並べてあります。大あ~んと中あ~んは、ぱっと見では区別がつかないくらい似たサイズです。

書き込み済並べ図
このように並んでいます。

収集している時には、1あ~んも失くすことがないようにサイズごとにジップロックで保存していました。

表記入り袋入り

集まっている「あ~ん」はかわいいですね。


余談

ここで余談をさせてください。余談は計2つ。

1つ目の余談です。

チョコあ~んぱんには「クリームあ~んぱん」という仲間が存在します。

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こちらです。

「あ~ん」収集を始めた当初、「チョコあ~んぱんだけ集めると味に飽きちゃいそうだな……クリームあ~んぱんにも『あ~ん』があるし、こっちのロゴも混合させて『あ~ん』収集しようかな……」と血迷ったこともありました。

ですが、思い出してください。あの時の私の思いを。

「あ~ん、最高。今ならチョコあ~んぱんの『あ~ん』部分を担当できるくらい幸せ」

あの時の私は、チョコあ~んぱんに限定したうえで「『あ~ん』部分を担当できる」と言っていたのです。せっかく己の魂から生まれてきてくれたアイデアなのに、それを改ざんするわけにはいきません。ですから、この記事では正真正銘、チョコあ~んぱんだけから「あ~ん」収集を行いました。その証拠を以下でお示しします。

次の2枚の画像の、赤丸で囲んだ部分に注目してください。

チョコ立証 (2)
クリーム立証 (2)

チョコあ~んぱんとクリームあ~んぱんでは、微妙に「あ」の部分が違うのが分かりますか?チョコあ~んぱんの場合は「あ」の文字の周り全部にオレンジ色の囲いがついていますが、クリームあ~んぱんの場合はそうではありません。「あ」の右上部分が、その上に位置する「ク」と接してしまっているがゆえに、「あ」全体にオレンジ色の囲いがついていないのです。

ここで、もう一度先ほどの「あ~ん」を並べた図を見てください。

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ちゃんと、全部の「あ」にオレンジ色の囲いがついていますね。

そういうことです。


2つ目の余談です。

30箱ものチョコあ~んぱんは、一括ではなく少しずつ買い集めていました。そんなちまちました購入だったからでしょうか。パッケージに起こっていた変化に気が付くことができました。
次の2枚の画像の、中あ〜んの「あ」の部分(緑丸で囲んだ部分)をご覧ください。

分かりますか。
(私が買い集めた範囲内での観測ですが、)商品の賞味期限が9月になったのを境に、パッケージの緑丸部分にミシン目が入ったようです。

賞味期限:2022.08.01
賞味期限:2022.09.06

ミシン目を入れて、箱が開けやすくなるように改善してくれたんですね。

このため、この記事に登場する中あ~んには、ミシン目のないものとあるものが混合しています。ご了承ください。


「あ~ん」観察編

「あ~ん」の切り取りを90回行って90「あ~ん」を得たわけですが、それらの用途は特にないですし、思いつきもしません。目的もなく、ただ「あ~ん」を切り取って、その結果(=90「あ~ん」)が手元に残っている、それだけです。「あ〜ん」の切り取りという行為そのものが目的でしたから。先のことを意識しない行為って、最高だ。

でも、せっかく手元に「あ~ん」があることですし、その様子を観察してみようと思います。

以下では、観察したあ~んの写真を紹介いたします。


屋外あ~ん

外を歩いていると、足元にあ~んがいました。

かわいいですね。あ~んが単独行動をしています。

少し離れたところに、あ~んの群れがいました。さっきの単独あ~んはこの群れからはぐれてしまったのでしょうか。

石の裏の湿った所とかじゃなく、普通にアスファルトの上にいるんですね。

近づいても逃げないでいてくれました。

あ~んは、さまざまな場所に出現するようです。地面だけに生息しているとは限りません。

こんな所にもいるんですね。
小あ~んを、中あ~んと大あ~んが囲んでいます。みんなで子育てしているのでしょうか。微笑ましいですね。

室内あ~ん

外であ~んを観察してきたあと、帰宅してキッチンに立っている時のことでした。

あ~んが壁を這っていたのです。知らない間に、服にくっつけて連れて帰ってしまったのでしょうか。

動きが素早くてなかなか捕まえられません。

冷蔵庫の下に隠れられてしまいました。屋外では近づいても逃げなかったのに、屋内になるとすばしっこくなりますね。冷蔵庫の下の隙間よりも、冷蔵庫と壁の間の隙間の方が広くて手を入れやすそうなので、そこから狙って捕まえてみます。

え。

既に大繁殖していました。室内にいたのは1匹だけじゃなかったようですね。あ〜んを1匹見たら、あと30匹はいると思った方が良いのかもしれません。



繁殖されていたのがちょっとムカついたので、とりあえず彼らを集めて砂をかけておきました。


孵化あ~ん

繁殖したあ~んは先ほど冷蔵庫の隙間で見ましたが、繁殖していたということはその分だけ孵化もしていたということです。あ~んが孵化をする様子は未だ捉えられていません。繁殖していたあ~んの中に、卵を抱えた雌あ~んがいたので、彼女を捕まえて観察してみようと思います。

卵を抱えた雌あ~んです。
あ~んは暗がりでしか産卵しないので、暗めの写真がこのあといくつか続きます。

出てきました。

卵だけ回収して明るい所に持ってきました。

透明な卵なんですね。ぷつぷつが入っているのが見えます。このぷつぷつがあ~んの体のもとになるのでしょうか。
このあとの様子も写真に収めました。

「あ」と「ん」が発生しました。

「あ」と「ん」が、「~」によって繋がれて、あ~んらしい体の形ができます。

あ~んが増えるにつれて、卵が薄く広がっていくのが分かります。

あ~んが中央に寄っていきます。

卵が再び球体に近づいていきます。少し濁ってきていますね。

卵の形が崩れて行き、

突き破ってあ~んたちが外に出てきました。

孵化しましたね。1個の卵から8つもの小あ~ん(子あ~ん)が生まれてきました。繁殖力は強そうです。


その後、生まれた小あ〜んたちは他の小あ〜んたちと合流していました。小あ〜んたちの保育園みたいなのがあるんでしょうか。みんなで元気に走り回っています。


小あ〜んのみなさんの、健やかな成長を願っています。

おわりに

この記事では、「あ~ん」を収集し、そしてあ~んの観察を行いました。どのあ~んも可愛らしかったですね。あ~んがペットとしてブームする未来は、そう遠くはないはずです。これを読んだ方、道端に、お菓子の箱に、彼らの姿を探してみてください。


(※屋外で撮影したあ~んにつきましては、責任をもって片づけました。)

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