pre-PGP 2021 R7 作問後記

pre-PGP 2021 R7 に作問その他で関わらせていただきました。今回はなかなかハードなセットだったかと思いますが、皆様にご参加いただきありがとうございました。さっそく今回も制作のあれこれをお話ししたいと思います。例題制作は全部他の方にやっていただいたので本番問題だけ。基本ルール5問+バリアント2種ずつ計10問というセットに対して作者5人だったので、3系統からクラシック1問+バリアント2問というチョイスでした。

Fillomino (Futoshiki)

見逃しがちなラテン風ルールが独特のこのバリアント。見るからにヤバいので、難問枠にならないよう注意しながら作りました。下で詳しく話しますがラテンルールは全体制約の側面があるので、ローカルに作っていくとすぐ破綻を起こしてしまいなかなか苦戦しました。最終的には入り口がしっかりわかりやすく順当に解ける問題に仕上がったのではないかと思います。数字表出は自分ではうまく捌けなさそうだったので、不等号ヒントのみとなっています。

さて、このFillomino (Futoshiki)は制作にあたって盤面サイズと最大数字Xのチョイスが非常に大事です。今回の作問にあたって習作として作ったこちらの盤面サイズ8×8、最大数字5を例にとって見てみます。
https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=17084
1のブロックは、この場合各行各列に1つずつ存在するためには少なくとも8個必要ですね。では2のブロックはというと、1×2の長方形はタテヨコ計3列に現れるので、8×8のタテヨコ計16列を覆うために少なくとも6個が必要になります。これ以降の数字も同様で、数字Nは1ブロックで計N+1列を覆うことができると考えて必要ブロック数を出していけます(例えばOテトロミノは2+2の4列というように形状によって列数が減ることはありますが、最大値を考える上では影響しません)。
このように考えると、今の条件であれば1~5のブロックはそれぞれ少なくとも8個、6個、4個、4個、3個必要です。すると、この時点でブロックの面積は63。したがって、盤面のマス数が64しかないことを踏まえると、それぞれのブロック数が9個、6個、4個、4個、3個と確定してしまうのです。特に3のブロックは1ブロック4列×4個で16列ギリギリなので、異なるブロックが同じ列に複数個存在してはいけないなんてことも言えますね。先ほどの問題であれば、実は3のブロック4個が既に表出で見えてしまっているので、一番右の列の3の場所を考えるなどして応用させることが可能です(これが必要なようには作っていませんが)。ちなみに、ここまで制約が強いと適当に作ってしまうとまず破綻するので、先に完成盤面を頑張って作ってから表出を決めていくという手順を踏んでいます。

Easy As

クラシック枠。個人的には、というか日本勢の傾向かもしれませんが比較的苦手なパズルです。PGPでは頻出で特に20点前後の低配点枠として出題されるイメージが強いものの、だいたいひとたび触ってしまうとかなり時間を持っていかれます。理由としては着目するべきポイントを見つけにくいというのが大きくて、特にヒント文字がその列の奥に及ぼす影響を見逃しがちなのかなと感じています。そこで今回は出題側として「ヒントの奥にその文字が入らない」というのをコンセプトにそれっぽいのを作りました。
https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=17074
こちらの初期版は6×6にABCとやや空白多めで配置が絞りにくい構成でした。テストソルブではラテン強者は順当に早く解けていましたが、まさかの謎垢さんに15分以上をつけるファイン(?)プレーを叩き出します。もっとも問題単品で見ればpre-PGPでも許されるかなという難易度でしたが、セット全体のバランスを踏まえサイズダウンの易化を施し、出題版となりました。

Kuromasu (Product)

ニコリの黒どこですが、タテヨコの和が積に変わったシンプルなバリアントです。一般に積の方が和より決まりやすいなかで、どのようにバリアントの味を出していくかというところを考えました。
https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=17078
初期案のこちらは中央の2,12,3の斜めの並びが作意。ただ、これもセット全体のバランスに基づいた難易度調整の影響でリテイクとなります。出題版は最初考えて一度ベタ過ぎるかなと流した複数ヒントの列の共有を再度引っ張り出してきて作りました。
https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=17073
ちなみにこれは提出後にもっとそこを前面に打ち出したいなと思って作ってみたやつです。点対称配置が足を引っ張っている感はややあって、14-14の並びの動きもちょっと使いきれてないもどかしさはあります。

他の人の問題についても一部ひとこと付けていきます。今回非常に重くなってしまったセットでしたが、テストソルブだとなかなか感覚がつかめず結果出てきた自分のタイムを見てようやくといった感じだったので、もっと難易度バランスを掴まなければいけないなと反省しております。

5. Battleships: 自分は書きミスでやや時間を食ってしまいましたが、大域制約のいい練習問題でしたね。解き手の皆さんはこういった問題はどうでしたか?

7. Kuromasu (Star Battle): 見落としの多い怖いパズルですよ。スタバっていうかGapsのノリですが、必ずしもヒントの両側に黒マスというわけでもないのがいやらしい。

8. Criss-Cross (TomTom): 5分ほど考えてわからず引きに走りました。

10. Fillomino (123): アプリでちょっとやったことがあったのが活きました。使用数字を制限するだけで大きく解き味が変わるのは面白いですね。探索寄りにですが…。

12. Easy As (no 2x2): 解説に書いてあったトラップこっっわ!!トップ勢でも引っかかっていて見ていて楽しい(性悪)。素晴らしい問題でした。

13. Easy As (Loop): 恐ろしルールの一角でしたが、難易度を上げない配慮がよかったですね。

以上になります。改めてご参加いただいた皆様、ありがとうございました。今後ともよりよいコンテストを作るべく時々関わっていきたいと思っているので、よろしくお願いいたします。

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