Pre-PGP 2022 R3 作問後記

Pre-PGP 2022 R3 に主に作問で関わらせていただきました。前回に引き続きの参加となりますが、今回は特に作問に振り切って4問も作ってしまいました(いや悪いことというわけでもないのですが)。セット全体としては900点満点というのが特徴だったかと思います。1000点オーバーの回も増えてきた中で逆に1000点を切る回もあっていいなと長らく思っていたこともあり、手前味噌ながらオススメできるセットになっていたかなという感想です。ちょっと今バタバタしているので省エネ気味にではありますが、コメントなど書いていきたいと思います。

Shape Division (例題)

なかなか手筋らしい手筋もなく掴みづらい感じのあるパズル。本家例題が8マス×2だったことも見ながら、「90度回転+反転」「7マス×2」「なんか嵌めこむ」と決めてサクッと作りました。手筋がないということは裏を返せば手筋を意識して作る必要がないということ(ほんまか?)。これの作問はジグソーのパズル感もちょっとあってなかなか楽しいですよ。

Sombor (例題)

このパズルは初見だったのですが、Somborはセルビアの地名らしいのでセルビアラウンドである今回の新作ということでいいのでしょうかね。通ずる発想のパズルだと、ペントミノを置いて3の倍数の位置を明かすものはハンガリーの名前がついていたような気がします(間違っていたら教えてください)。
4マスブロックの非接触ルールを入れなければいけないなということで、半ば必然的に4×5盤面となっています。ちなみにこれは二問目で、最初作っていたこれには「最後のブロックの取り合いでアンサーキーが変わらない」という悲しい事情があったのでした。

Slalom

ごきげんななめです。名前何とかならんのか。このSlalomでは、教育的と言うとおこがましいですがそういうパズルの解き方を伝えられるものになればいいなと思いながら作問をしていました。当初は連結性をガッツリ組み込んだものを考えていましたが、自分を顧みるとこの発想にはなかなか慣れなかった(というか今も苦手)ことを思い出し、もう少し基礎的な手筋を中心に組みなおしました。連結性に関しては問題の最後で二択でもすぐに決まるようなところに現れましたが、これぐらいの立ち位置がちょうどよかったのではないかと思っています。一応点対称ヒント配置になっており、これで無駄なく狙ったように動かすのは思いのほか苦労しました。このくらいの難易度帯を作ろうとするとヒント数字の3が出てきがちですね。

Snake (length, ends)

なんとなくタテヨコの2で大域ルートを作る流れが頭に思い浮かんだので、それをそのまま実装した感じです。自分の作問パターンとしては作るとなってからさてどうしようとなる方が多いので、コンセプトがスムーズに出てきたというありがたさが記憶に残っています。もっとも細かいところはいろいろ試行錯誤あったので、時間をかけずに作れたというわけではないのですが。壁際の議論や階段状になる2マス曲がりなど、Snakeっぽい動き(と私が思っているもの)を踏まえれば解き進めていけるように意識しました。
今回は作問前に本家PGPに参加していたのですが、そこでの出題がヒント全表出、つまり蛇の長さの情報が全くいらない問題でした。それを受けていろいろ考えた結果、この問題でも長さの情報を使わなくていいようにしています。もし長さ情報を活かすとすれば、自分がぱっと思いつくのだと①最短からどれだけ迂回するかを活用②詰めでカウントして帳尻を合わせる というような使い方が考えられます。しかし、前者は「ガッツリ使うと難易度を逸脱しそう」後者は「ただ面倒なだけ」(パリティがあるので数え間違いによる誤答はそんなにないとは思いますが)という印象だったので、使わない方が問題にまとまりが出るのではという思考でした。何となくですが、長さ情報をうまく活かしたSnakeってあんまり見かけない気がします(Snakeではないですが2020R5のHydraとかですかね、あれ数え間違えて誤答しましたが)。

Shape Division

私は例題を作った場合は本問題を担当するのを避けがちなのですが、今回ちょっと多めに作らせてもらった流れの中であまり他に作る人がいなさそうだったShape Divisionは引き続き担当することにしました。作問はいたってシンプルで、①Z型を2つ組み合わせるイメージ図を作る②飾り付け③完成! という感じでした。まあ扱いづらいパズルだろうという認識はあった中でいい感じのところに投げられたかなと思っていたのですが、蓋を開ければテスターが10分かけてギブするとんだ大波乱となってしまいました。六角形盤面に比べたら全然マシさ…(参考: UTPC2017)。

Spiral Galaxies

これはシンプルに競技パズルっぽいSpiral Galaxiesを解いてほしいなと思って作りました。解説に書く内容を先に決めてから作ったと言ってもよいです。先日LMDであったLM Qualifikationの問題にちょっと影響を受けたような気がしています。Spiral Galaxiesをまともに作問したのは初めてだったと思いますが、想像よりも大変だなと感じました。できるだけ広い空間を作りたいのに、どこかがガタガタになって星を大量に置かされる流れのなんと多いことか。

他の問題についても。今回は易問をしっかり作れる方が揃っていたので、そのおかげで(私が多少難しめに寄ってしまっても)とっつきやすいセットができたなと感謝しております。

2. Shikaku: 理詰めに気付かず左上の3を全検しました…。綺麗な問題だったと思います。

4. Sashigane: PGPのインストでは数字が丸以外の場所にも現れうる書き方でしたが、本家でも実際に出題されたのはニコリ準拠の問題でしたね。

7. Starry Sky: 対角線クロスと11の合わせ技がテクニカルで面白かったです。けっこう難しかった!

8. Suguru: Suguruはペントミノ構成のものが多いですが、こうやって小さいブロックが入ってくると作問のときの盤面の構成難易度も高いんでしょうか。苦手&作問経験もないので、なかなか想像がつかないですね。

私自身の話になりますがPre-PGP運営に参加したここ2回は本家PGPの成績もよく、こうしてパズルについていろいろ考えることが糧になってるのだとしたら嬉しいことだなと思います。もっとも、去年のJapanラウンドでド凹みしたり今回にしても作問前に参加を済ませていたりなので、これはジンクスにすらなっていないのですが…。いずれにせよ貴重な経験をさせてもらっているなというのは感じています。今後とも楽しんで参加していただければ幸いですし、もし興味があれば制作側に回るのも楽しいですよ!(多分公式TwitterにDMとかするといいと思います)

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