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34.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(深津一成)

主人公佐藤アキちゃん、山王工高出身、大手雑誌編集部で働いている。


沢北:アキの幼なじみ 山王工高出身 アメリカ在住


深津:東京のプロチーム所属 沢北の先輩 山王工高出身 

南:大阪のプロチーム所属 豊玉高校出身
岸本: 大阪のプロチーム所属 豊玉高校出身

リョーコ:深津の幼馴染 東京プロチームのマネージャー
三井: 東京のプロチーム所属リョーコの彼氏


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※成人指定※

※直接的な表現ありなので、苦手な人はご遠慮ください


完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な男女として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。



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「深津くん、アルバムにメッセージ書いて。」

他のクラスの数少ない女子に話しかけられて
少し驚く。話したことはあるから

「いいぴょん。」そう言って
ペンを走らせる。

心のこもってないメッセージを見ても
「ありがとう」と言われて
なんだか不思議な気持ちになる。

その子が教室から出て行くのを見送る。
「深津は、話さなくていいの?」
その様子を見ていた一之倉が
卒業証書の入った筒を持ちながらみんなと写真を撮り終えて帰ってきた。

「…?」
誰と?という自分の顔を見て、ため息混じりで俺に言葉をかける。
「今日で会うの最後かも知れない人。」

最後か。
そう言われて頭を巡らす。
考えるのをやめていた、自分の中のひっかかりに気づく。
一之倉にはお見通しなのか、なんなのか。
顔を見ながら重い腰をおこした。

自然と教室の入り口で止まる。
何を話すんだ。
自分が一度決めた事は覆す事はないけど
何か不安に思う。
階段を降りて、あの子の教室に向かう。

あ、ほら、もう見つけてる。
自分のこと、あの目で見つめてる。
その視線がいつも理性を掻き乱す事を
君に悟られないようにする。

「佐藤アキちゃん、いるぴょん?」
そう誰かに声をかけて、君が驚きながら近づく。

「少し話せる?」そう切り出す自分の言葉に
わかりやすく君がはしゃぐ。
取り留めのない話しをしながら、夢見る。
気分が落ち着くのを感じる。
もう、このままでもいい。とさえ思う。
そう想ってしまう自分が怖かった。

大学に行ったら遠距離になる。
君は高校生で、会えるのは数えるほど。
自分はバスケばっかりで君を構えない。

その未来が見えすぎていて
選べるわけがなかった。

「東京いくぴょん。」
会話の途中で、なぜかそう伝えた。
行く場所なんて、言う必要もないし
君も知りたくないかも。

わかりやすく君の顔が曇るので
もう終わりだ。と感じる。
何がしたかったのかと言えば
もう一回話したかった。顔が見たくて。
ただのわがまま。

「さよならって言いたくて…。」
付け足すように言った。
「…さよなら。」言葉の意味がわからないように
アキちゃんが繰り返す。

考えてもみてよ。俺がこれを口走る意味を。
そう言いたかったけど、言えるはずもなかった。

君に触れないなら意味がない。
言葉にするのは苦手だから。
そんなに器用になれない。
もう会えないし、会わない。

無理に明るく振る舞う君。
1年生の時はうまく話せなくて
3年生の今は嘘をついてる。

怖くなる。こんなに掻き乱されて。
うまくいきっこない。
こんなに好きだったら。

18の時、気持ちに嘘をついた。

何年も経った今は
君に会えるのを楽しみにして
待ち合わせ場所に立ってる。
はやく顔が見たくて仕方がない。

今日という日を多分、ずっと待ってた。





トムフォードで買ったマットな口紅をひいてみた。
鏡にうつった自分を見て似合わなくて
ティッシュでふく。
勧めてきたお姉さんが
私の唇にのせてくれた時は
あんなに綺麗だったのに。おかしいな。

何度も鏡を見る。
買ったばかりのワンピースを整える。
お願いだから、今日だけでも
化粧ノリが良くなってほしい。
そう思いながら、トイレからでる。
ちょっと綺麗な格好をして会うのは初めてだから。

高校生の頃、初めて深津先輩の部屋に行った日。
あえてカジュアルな服を着た。
その日を思い出して照れ臭くて笑う。

東京駅の丸の内北口で待ち合わせ。

慣れないヒールで歩く。

遠くから見てもわかる。
すらっとした身長で、シルエットが綺麗なジップアップパーカとジャガーパンツのセットアップがよく似合う。
一応キャップをかぶっていた。
壁に寄りかかって携帯を見ている。
ゆっくり近づく。

近づいた私を見て、携帯から目を離す。
ポケットに携帯を入れて、胸を張って私を見下ろしてた。
怖い顔に見えるけど、口元が緩んでる。
それを見つけて、私も口元が緩む。
少し眠そうだ。
きっと練習で疲れてるはず。

長い手を伸ばして私の頭に手をポン。とのせた。
何も言わないで外に向かってあるく。
私もついていった。

相変わらず東京駅の広場にはたくさんの人がいて、写真を撮ってる人も多い。

なんだか照れくさくて
あえて話しかけずに歩いた。

少し前を歩く深津先輩が立ち止まって、私と並ぶ。

私の顔を見る。
あ、なんか言いたそう。
「ん?」と喋るのを待つ。
「お酒飲むぴょん?」
そう言って私の手を握る。
手を繋いで歩き出す。

高校生の時以来に、外を手を繋いで歩くから
かなり照れくさい。
「飲もうかな。大きい取材も終わったし。」
動揺してるのを知られたくなくて
わざと明るく言った。

「家まで送っていってあげるから、たくさんのんでいいぴょん」
そう言って優しく笑う。

そのまま家に泊まっていってくれないかな。とやましい気持ちでいながら「たくさん飲みたい。」という。

付き合ってる。と思うと今にも走り出したくなる気持ちを抑えた。

新丸ビルの中にある、モダンな和食のお店。
ソファー席に向かい合って座りながら
正面に座っている、無表情な深津先輩を見る。

私、普通にできてるかな…。
男の人と出かけるとか
沢北以外としたことないし。
沢北は幼馴染だから緊張なんてしないけど。

ずっと大好きだった人とデートしてる。って
状況を考えただけで、にやにやが止まらなかった。
「お魚美味しかったぴょん。ここ。」そう言って
差し出されたメニューを見ながら、チラチラ深津先輩を見る。
かっこいい…。
かっこよくて魚なんてどうでもいいくらい。

「アキちゃん」
「ん、うん?」
見てる事に気づかれて目があう。
「見過ぎぴょん。」
「…ごめん。かっこよくて。」

思わず、言ってしまった。

そうくると思ってなかったみたいで
深津先輩が下を向いて肩を震わせて笑った。
キャップを外して髪の毛を直す。
「バカぴょん。」
少し雑に扱ってくる深津先輩が
近く感じて、嬉しくなった。

お店の人を呼んで私の分もお酒を頼んだ。
その間メニューを一生懸命頭にいれようとする。

店員さんがいったあと、私の顔を見てまた深津先輩が笑った。




お酒が進んで、料理も美味しい。
私の顔が綻ぶのを深津先輩が嬉しそうに見る。

「深津先輩」
「…そろそろ、先輩やめるぴょん」
そういわれてたじろぐ。
頭の中でじゃあ…と考える。

「か、ずなり?」
そう言ったのを聞いて
深津先輩が頷く。
ひどく違和感を感じる。

「呼べるかなぁ…」
「呼んで欲しいぴょん。アキちゃん沢北の事も名前で呼んでないぴょん。」

そう言って背もたれに倒れる。
はは…きまづく笑う。
笑いが止まる。
「リョーコさん、かずなりだしなぁ。」
そう言ったのを聞いて、深津先輩が黙って刺身を食べた。

「アキちゃん、まだ気にしてるぴょん?」
深津先輩が珍しくチラチラ見ながら様子を伺う。

「……気にし、てない」
嘘だった。ばればれな嘘すぎて深津先輩が私をずっと見つめる。

「俺、リョーコはタイプじゃないぴょん。」
「…そうなんだ」
「アキちゃんがタイプぴょん。」
もぐもぐしながら、深津先輩がまっすぐ言う。
深津先輩の作戦通り、その言葉を聞いた私がニヤニヤする。

「そうかなぁ〜」そう言ってレモンサワーを勢いよく飲んだ。
深津先輩がそれを聞いて、シャンパングラスに入った日本酒を飲む。
グラスを置いた後、肘をついて私をじっと見る。

「俺、アキちゃん見てるとSの血が騒ぐんだよね。」

語尾のぴょんがなくなるから、ガチなんだな。と固まる。

「…よ、酔ってる?」

私が赤面するので、深津先輩が口角をはっきり上げて笑顔になった。
感情が読めない。
とりあえず、深津先輩が満足そうなので
じゃあいいか。と私も笑った。

「深津くん。」
「いや、変ぴょん。」

「うーん。かずくん?」
「…嫌いじゃないぴょん。」
私がムズムズする。

「はやく、慣れるぴょん」
「慣れないよ。今も緊張してる。深津先輩…」
それを聞いてじっと睨まれる。
「…かずくん。と付き合ってるなんて。」
慌てて言い直した。
圧がすごい。

「俺もだよ。」
グラスを傾ける。
「初めての彼女がアキちゃんだぴょん。」
そう言いながらメニュー表を見る。
破壊力がすごかった。
一気に酔いがまわる。

「なんで、俺の事好きなのか知りたいぴょん。」
やっぱり少し酔ってる?
そう思いながらたじろぐ。
ソファー席から身を乗り出して、背中を丸くしながら膝に手を乗せる。じっと私の顔を綺麗な顔で見てくるから何か言わなくてはと思う。

「…え。理由なんてないよ。」
その答えに面白くなさそうに眉間に皺を寄せた。

「でも、大好き。」
そう言ってふにゃふにゃする私に、深津先輩が口角を上げたのを見逃さなかった。

「アキちゃん…酔ってる?」
「酔ってきた…。」
そう言って前髪を直しながら俯いて笑った。

「今日、めちゃくちゃ抱くぴょん。」
「え?」
頬杖をつきながら見下ろされて言われたので
テーブルについた肘が片方ずり落ちた。



タクシーを呼んでくれたので、丸の内を後にする。
タクシーの車内から、こないだ深津先輩と偶然会った通りを指差した。

「あ、深津先輩、あそこだよ。」
じっと見てくるので、あ。と気づく。
「かずくんと会ったとこ。」
「んー。あんまり覚えてないぴょん。」
そう言って私が指差す方向を、私に体を寄せて見る。

「走ってたら、そういえば、アキちゃん好きなドラマのロケ地近いな。って思ったのは覚えてるぴょん…」

そう言って身を乗り出して言ってから、言い終わった後どこか恥ずかしそうにする。
「一緒の事考えてたね…。」

「連絡とれなくなるの、もうやめて欲しいぴょん。」
そう言って私の前に珍しく弱気な顔を向ける。
夜のビルからの光が深津先輩を照らした。
ふいに目があって、ドキドキする。

深津先輩が顔を掴んでキスする。
びっくりして、服を掴む。
パタパタと軽く手で叩いて運転手さんの方を気にした。

「あの時、もう会えないと思ってた。」
そう言ってきて何も抵抗できなくなる。
また切れそうな糸を保ちながら
キスをした。

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