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16.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)


主人公アキちゃん、山王工高出身
幼なじみ 沢北

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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。

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すらっとしてるのにがっしりとした体に、艶っぽい顔立ち。

髪伸ばしたんだ、とか。
5年たったって感じる。

知ってるはずなのに、知らない深津先輩。

もう私の知らない人になっちゃったのかも。
と、一瞬なんて話しかけていいのかわからなくなる。

「アキ、ちゃん…?」
動揺してるようには見えないけど、声には自信がない。
いつも夢の中で聞く声で、本物だ。と実感する。
「お久しぶりです…」
少しずつ近づく。
先にスチール撮影に立ち会っていたチーフと、水原さんが顔を見合わせる。
この微妙な空気感に言葉を探しているようだった。
「あー、佐藤さんとお知り合いなんですよね?担当の水原と申します。」
水原さんが礼儀正しくお辞儀をする。
深津先輩も挨拶しながら、チーフも含めて今日の取材の趣旨や企画の説明が始まる。

「取材は弊社の佐藤から、させていただきます。」
どうぞ、お座りくださいと椅子へ案内する。
私は緊張した面持ちでMacBookを開く。
うまく質問できるか以前に、動揺が止まらない。
対面して座る。
あまり目を直視できない。

「あ、あの、今日インタビューを担当します。よろしくお願いします。」
節目がちに震える手でパソコンを見る。
「…アキちゃん。」
「はい?」
思わず顔を上げると、深津先輩がすごく優しい顔で私を見ていた。
「お手柔らかにたのむぴょん。」
あ、優しい時の深津先輩だ。

思わず高校の時、同じ学校にいた空間を思い出す。
気持ちが急に落ち着いた。

多分その場にいた全員が、深津先輩の語尾に驚いたと思うけど、今は気にしないで取材を進める…。

見た事がないだけだからなのか、深津先輩は上手に受け答えしていたので、意外だった。

その姿をみて、取材とかもよくうけてるんだな。とわかった。
こんなにしっかり自分の考えを言えるなんて尊敬しちゃうな…。
質問のやり取りの間に、たまに目が合う。
お互い絶妙な間でそのたびに目を逸らす。
深津先輩はどんな時も平気そうで、私ばっかり動揺してるのが恥ずかしくなる。

私の質問がほぼ後半に近づいて、水原さんが考えた質問のリストが次のシートに記載されている。
クリックしてその一覧を見た時、思わずフリーズした。
そこまでスムーズに質問のラリーが続いていたので、深津先輩も私の顔を伺う。

「あ、えと、すみません。次の質問は…」
思わず顔が強張る。
「深津選手は、今恋愛はしてますか…?」
こんな事聞いて大丈夫なのかな。という心配と、心のどこかで聞きたくない。と逃げ出したくなった。

深津先輩が手を膝の上で合わせながら、なんて言おうか考えてるようにみえた。
ちょっと水原さん…やめてよ。とパソコンと深津先輩を交互にみる。
「恋愛は、してないと思うぴょん」

思う…?と思いながら、
あーそうなんですねとヘラヘラして雰囲気を和ませようとする。

「わ、忘れられない人はいますか…?」

お世話になってる先輩だけど、水原さんを思いっきり怒りたい…。
確かに女性向けだから、特集するからにはこういう質問もいれるのか、と盲点だったと気づく。

深津先輩が手で口を覆う。
「これは、パスで。」

そう深津先輩が言ったので、あ。どうしようと思わず水原さんを見る。
水原さんが大丈夫ですよ!答えられるのだけで!と慣れた様子でフォローする。

‥何も答えないも逆に気になるなと思いつつ、別の質問に映る。
「好きなタイプはどんな人ですか?」
これは大丈夫なのかな。とチラッと深津先輩の顔色をうかがう。

「そんな事、聞かれた事ないぴょん。」
深津先輩が少し笑いながら言ったので空気が和む。
んー。と考えた様子の深津先輩。

「一緒にいて、話すのが楽しかったり落ち着く子?ぴょん。」
なんだかそう言って見つめられるので、
部室で「落ち着く。」と言って胸に顔を埋める深津先輩を思い出す。
私のこと、じゃないのにな…。
私おこがましいなと変な考えを振り払う。

ありがとうございます。と伝えた後
また、踏み込んだ質問で固まる。
「…今まで付き合った人は何人ですか…」
目を合わせられない。
「付き合ったことないぴょん。」
その場にいた全員が、少し驚いたような空気感になる。

「それは、なんでですか?」
あ、思わず言葉が出てしまった。 

「山王のバスケ部はほぼみんなそうぴょん。」
口角を上げてそういうので、聞いていた水原さんたちが思わずええー。と声を出す。
やっぱ強豪だとそうなんですね。
と言いつつ、卒業してからも彼女いないんだ。と心のどこかで安堵してる自分がいる。

私は深津先輩に何を求めてるんだろう…



「深津さん、今日19時からご一緒に会食とかどうですか?」
水原さんが終わり際、そう切り出したので思わず振り返る。
きょとんとする深津先輩。
「うち実は元バスケ部多くて、せっかくの機会なので深津さんと是非って声が多くてですね。」

そんな話聞いてない。と思いながら
深津先輩の顔色を伺う。
こういうのって深津先輩苦手そうだな。と思いつつ、これで解散も寂しいな。と思ってしまう自分もいる。
「あー、アキちゃんがいいなら。」
と私を指差すので、思わずえっと言う。
水原さんが私を見て、
「もちろんいいですよね?」
とイタズラっぽく笑ったので私も、もちろん〜!とヘラヘラするしかなかった。
わ、わたし次第?と動揺した。


え、こんなに元バスケ部いたの?いう人数で会食が設けられた。
いい雰囲気の割烹で、綺麗な長テーブルに通される。
数少ない男性社員も深津先輩にしきりに話しかけてるので、深津先輩って人気あるんだ…と少し戸惑う。
「深津選手が所属してるBリーグ1番人気ありますよね。」
と隣の水原さんに話す営業の社員さんが少し興奮していた。
そうなんだ…。私全然バスケのことわからないからな。と気後れする。

深津先輩、もう遠い存在なんだな。
と向かいのテーブルから見るしかなかった。
隣に座っていた、広報の男性が
「佐藤さん、何飲みますか?」と聞いてきたので、ハッと我にかえる。
「えっと…ビール飲みます」
メニューを見せられて、パッと私が作り笑いする。
遠くにいた深津先輩がパッと私の顔を見て、深津先輩の席の周りの人に頭を下げる。
席を立って私のところに歩いてきた。

「アキちゃん、隣いい?ぴょん」
「えっ、もちろん…!」
思わず立ち上がる。周りの人も席を慌てて空けた。
私の右側を指差したので、広報の男性がどうぞ。と横に詰めた。
特に話し出すわけでもなく、自然に隣に座った。
「深津選手、なんでこの企画受けてくださったんですか?」

向かい側に座っていた撮影班の男性が身を乗り出して聞く。
「…人気のマガジンだとお聞きしたので、チームの為にも露出するのはいい機会かな。と思いましたので。」
ぴょんと付け足す深津先輩に、みんな一瞬、ぴょん?となるけど、一旦知らないふりをする…。

「佐藤さんとは…お知り合いなんですよね?」
広報の男性がどこからか聞いたのか、そう聞いてきた。

「高校が一緒なんですよね」
水原さんがニヤニヤして私を見ながら代わりに答える。
「深津選手、絶対高校生のときモテてましたよね?」と水原さんが聞くので、深津先輩はえ?と聞き直す。
「深津先輩、モテてましたよ。」
ビールを飲みながら、思わず答えてしまった。
頭にリョーコさんが浮かぶ。
やっぱり〜という水原さん。
肘をついて顔を支えていた深津先輩が、目を大きくしてこちらを見る。

「アキちゃんのがモテてたぴょん。」
「え?そんな訳ない」
と言った後沢北が頭に浮かんだ。
広報の男性が私の代わりにおかわりを頼んでくれてたので、お辞儀をしながらビールを受け取る。

「工業高校だから、ほぼ男だし。アキちゃんの事いいって言ってるやつ多かったぴょん。」
「はっ。」
初耳だし、びっくりしすぎて大きい声を出す。

「うん。佐藤さん、モテそうだよね。」
広報の男性も水原さんも頷くので、みんなして何。と動揺する。
「私、彼氏できた事ないんですけど…。」
えっ。とみんなざわつく。
「佐藤さん今まで何してきたのよ。」と水原さんが笑う。
深津先輩もあてを食べながら私をただ見つめた。
何でそんな事言うんですか〜と言って、運ばれてきたビールに手をのばす。

深津先輩が何も言わずに手を伸ばす。
服の袖に食べ物につかないように手でカバーする。
ありがとうございます。と思わず言った。

一瞬だったけど、少し触られただけで
心臓が飛び出そうになる。
私普通に話せてるかな。と不安になった。

「そういえば、沢北選手フライデーに撮られてましたね。」
撮影班の1番年長の男性が急に切り出したので、みんなその人を見て、ええ?!と声をあげる。

「すごいタイミングね。」
と水原さんが私と深津先輩を交互にみる。
ど、どんな記事なんだろ…?と沢北を心配する。

「えっと、確か女性と車でデートしてて車内でキスしてたらしいです。」
思わずビールをこぼす。
水原さんが私をチラチラみてたけど、気づかないふりする。
嘘でしょ…沢北ちょっと。
あんた結構有名なんだから、TPO考えてほしい…。
と頭の中で怒る。

私がかき消すようにビールおかわりと頼む。
今日はお酒が進むな…。
「佐藤さん、明日休みだよね。」
広報の男性が話かけてくる。
はい、そうです。と答えて
運ばれてきたビールに手を伸ばすと、
深津先輩が私のビールを手に取る。
「あ、それ私のですよ。」
深津先輩はそれを聞いて、ビールを飲み干した。
「アキちゃん、飲みすぎぴょん。」
目を合わせないでグラスを置く。そんな深津先輩に、何でー。飲みたいのにー。と唇を尖らせた。

あれ、私なんか昔みたいに話せてるかも。
仲良かった時みたいに…。

忘れもしないし、忘れられないけど
5年前の卒業式の日、深津先輩は東京に行くことを教えてくれた。
その後、私に面と向かってサヨナラ。って言った。
なのに、今同じ東京にいて
隣で飲んでる。
そんな状況が信じられなくて、胸がざわついた。
深津先輩の静止を振り切って、
「ビール!」と頼む。
酔っていないと、この展開に耐えられそうにない。
アルコールで私の気持ちをごまかしていたい。



体が信じられないほど重い。
そんな感覚が襲う。
その後頭が起きたことを理解して、目を開けようとするけど鉛のような気だるさが邪魔をして目を開けられない。

二日酔いだ。
あれ?私どうやって帰ってきたんだろ。
記憶を巡らすけど、残ったビールの味が邪魔をして、すぐやめてしまう。
とにかく具合が悪い。

でも体があったかくて、知らない匂いがする。
でも、どこかで嗅いだ事がある。
なんだか泣きたくなる。

目を開けると、自分1人じゃない事に気づく。
私は誰かの胸に抱かれていて、その人も寝息をたててる。
腕枕された腕が大きくて、見覚えがある。

頭がガンガンする。
恐る恐る見上げると、深津先輩が寝ていた。
一気に心臓がバクバクして、パニックになる。
思わず手で口を押さえる。
どう言う事…?
私が少し動いたので深津先輩の腕が優しくきゅっと抱きしめた。
夢なのかな…一瞬そう思ったけど、こんな酒くさい夢ない…。

下を見たけど服を着てたので安心する。
部屋は自分の部屋のようだ。
私の小さいシングルベッドに、深津先輩が狭そうに私を抱いて寝ていた。


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