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12.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)

主人公アキちゃん、2年生設定

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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。

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気だるい顔でストレッチをしてバッシュを履いた深津の後ろ姿を眺める。
深津の動揺したところは一度も見た事ない。
沢北が入ってきた時はどうなることかと思ったけど、沢北をうまく受け流してコントロールして育ててきた。

河田は深津を尊敬していた。
語尾が変なこと以外は。

ただ、最近見たことのない一面を目の当たりにして少し動揺する。
深津も同世代の男なんだと再認識する。

キャプテンの重圧を背負いながら、リードしていく姿は胸を打たれるし、深津にしか出来ないと感じる。
その反面自己犠牲の精神が強く、心から幸せになってほしい。とも思う。

文化祭の日からアキちゃんとの関係を知ってしまったけど、あれから本人に何かを問いただしたことはなかった。
だから、なんていうべきか迷う。
キャプテンの深津に言うべきか、同級生として話すべきか。

ただ釘は刺すべきだな。と河田は決心した。

河田の体の大きさに気配を感じたのか深津が振り向く。
特に何か話すわけでもなく、河田を一瞥して体育館へ向かう深津。
その背中がとても凛々しかった。

「深津」
「ぴょん?」

体育館に入る手前に深津が振り向いて立ち止まる。
「…水トさくら。」
「…。」
「お前が好きなAV女優いるだろ。」
深津は無表情ながら、河田の目を見て考えていた。

「…水トちゃん?」
「深津に借りた舐めじゃくり痴女ナースのAV返そうと思って持ってきたら、担任に見つかって没収された」
「え…どうするぴょん。」
深津がずいっと近づいてくる。
「気を抜いてるとこういうこともある…お前も他人事だと思わず気をつけろよ。」
河田が深津の肩に手を置く。

「誰がお前を見てるかわからないからな。」
河田が指を指しながら先に体育館に入る。
深津が呆然と立っていた。
「いや…俺のだから他人事じゃないぴょん。」

沢北が気になって河田の後をついてきたら、その話を聞いてしまい、動揺していた。
「深津さん…水トちゃん好きなんですね。」
「沢北、誰かに言ったら殴るぴょん。」
沢北と深津は何も言わず歩き出す。
「俺は…吉高寧々が好きです。」
「いや、聞いてないぴょん。」


「水トちゃんかぁ…」
沢北が机の上に肘を置いて顔を支えながら私の顔を見て呟く。
「ん?なに?だから、ここはこの答えになるの。」
数学の課題の答えを沢北の解答用紙に書いてあげる。
「色の白さとか似てると言えば似てなくもない…。でももっと可愛い。」
「…何ぶつぶつ言ってんの。」
はいっと課題のプリントを渡す。
ありがとうと犬みたいに喜ぶ沢北。
「アキ、土曜日なにしてんの?」
「土曜?何もしてないけど」
「お祭りいかない?」
行きたいって言ったの、覚えててくれたんだ…。と少し顔が緩む。
「でも…」
「お願いお願いっ!最後だと思って」
沢北が可愛くおねだりする。
私は沢北に甘すぎるのかも。思わず頷いた。
それを見て沢北がはしゃぐので、もうすぐこの顔も見れなくなるのか、と寂しくなりながら見守った。


思わず楽しくなるような縁日の様子を横目に
、沢北との待ち合わせの場所まで歩く。
少し緊張する。
正直お祭りは楽しみだったから、浴衣を着てきた。
まとめた髪の姿が見慣れなくて前髪を気にする。
背が大きいからすぐわかる。
ノースリーブフードを着た沢北を見つけた。
携帯をいじっていてこっちに気づいてない。
沢北を見て通り過ぎる人がチラチラと見る。
「沢北っ」
声をかけながら近づいて手を振る。
私の方を向いた沢北がこっちを見て固まる。
「浴衣じゃん…。」
私の姿をジロジロ見る沢北。
「え…やっぱりやりすぎ…?」
私が前髪を抑えながら心配する。
「いや…かわいい。」
にこっと笑う。
やめてよ。と照れ臭くて沢北にパンチする。
少し離れて私の写真を撮る沢北。
「何撮ってるのー」
「アメリカ行ったらこれ見て頑張るわ」

ニヤニヤして携帯をしまう沢北。
それを聞いて少し寂しくなる。
「屋台みよーぜ」
沢北が手招きして縁日の方に歩き出す。
うん。となれない草履で沢北の後をついていった。
あれ、楽しそう。と急に早歩きになる。
小学生に混じって金魚すくいを始めた。
子供が金魚を上手にすくうのに、沢北が全然うまくできなくて面白い。
何回やっても穴が開くので、沢北諦めなよー。と連れ出した。
「負けず嫌いすぎだよ。」と言って笑った。
「いや…あと一回やったらとれてた」とムキにはなってるので、いいのいいの。と背中を叩いた。
一緒にたこ焼きとバナナチョコを買って歩きながら食べた。
男の子だと、お祭りに一緒に来たのは沢北が初めてだと気づく。
小さい時から親と一緒にこうやって連れてこられてたけど、大きくなってからは初めてだった。
沢北はその頃からバスケに夢中で、私によくバスケの話をしていたっけ。

「ねぇ、くじ引きしたい。」
「何欲しいの?」
「なんでもいいのー!」
ひくことが楽しいから。と箱からくじを引くと、ハズレだった。
残念そうにハズレの飴をもらう私を見て、沢北が俺も。と言ってくじを引くと、屋台の人がかねをならした。
「えっ、なに?!」
2人とも身を乗り出すと、犬のぬいぐるみだった。
その犬が沢北にそっくりで2人とも吹き出す。
「これ、沢北じゃん!」
「アキにあげる。」
沢北も笑いながら、私に手渡す。
「アメリカ行ったら俺だと思って。」
沢北がそう言って笑ったので、わかったと。相槌をうった。
「もうすぐ、花火だねー」
人が多くなってきたので、ふと花火の時間だと気づく。
「アキと花火見たかった。」
沢北が人混みに押されないように私をさりげなく道の端に誘導する。
あたりは暗くてなんだか、いい雰囲気だ。
「沢北…」
そう言った時、なんだか人の流れが止まったような気がした。
人が来ないな。と思って横を見ると
見た事がある顔でフリーズする。

「松本先輩?」
私がそう呟くと、松本先輩がこちらを見て口を開けて立っていた。
あっ。と沢北も声を上げる。
「お前ら…2人か?!」
松本先輩がジュースを片手になぜか確認する。
「そうです!松本先輩1人ですか?」
そう言った私を見て後ろを確認する松本先輩。
どうしたんだろう。と松本先輩の後ろを覗く。

身長の大きさでかなり目立っていた。
河田先輩がこちらに歩いてくる。
おー?と言いながらこちらに気づくと、横にいた一ノ倉先輩が両手に焼きそばを持ちながらこちらを見る。
松本先輩は、あちゃーと言う顔をする。
この人達がいるという事は…
後ろからうさぎのぬいぐるみを持った深津先輩が歩いてきた。
私を見て目を丸くする。
「みなさん一緒なんですね〜」と苦笑いする。
沢北と2人でお祭り来てるの見られるって、まずいかなぁ。と頭の中で思いつつ、沢北はいつも通りの笑顔ではしゃいでいた。
「みんなで花火見ようぜ」
遅れてやってきた野辺先輩がそう言った。
人混みができ始めたので、立ち止まるのはやめて歩き出す。

どうしよう、と早歩きし始めた時、草履に慣れてなくて道のオウトツにつまずく。
ガクッと体が動くと、左手を支えられた。
私の触り方で誰かわかる。
「ありがとうございます。」そう言って顔を見上げると深津先輩がいつもの無表情で
気をつけるぴょん。と言った。

遅れたタイミングで右手を支えられたので
右を向くと沢北が大丈夫?と
私を見て言った。
花火を見に向かう列の前列に、私と深津先輩と沢北が並ぶから、この状況ってなんだろうと苦笑いする。

沢北がみんなでお祭りこれたの初めてですね〜。と意外とひょうひょうと深津先輩に話しかけていたので私は少し安心する。
「沢北がいなくなったらみんなでくるぴょん。」
と深津先輩が言うので沢北が、ひどい!とピーピー騒いでいた。

歩いていると、身長が高い2人に挟まれててかなり目立つ。後ろに河田先輩もいるので余計に視線が集まる。

花火が始まりそうなので、打ち上がる方向にみんな1列に並んだ。
私と左にいる沢北が少し屈んで、私の耳元で囁く。
「次はカフェ行こうな。」
それも覚えてたんだ…。と嬉しくなってうん。と頷いた。
その時、私の右手を深津先輩が触る。
指先で触られたと思ったらギュッと手を握られた。
思わず深津先輩の顔を見る。

「アキちゃん、浴衣似合ってるぴょん。」
深津先輩が私の目を見てそう言ったけど、
花火が打ち上がるので周りはその事に気づいていない。
私が深津先輩を見上げたまま、顔を赤くする。
かわいい。と口パクで言われて
私は声にならない声を出した。
どうしようもなく嬉しい。
沢北は横で花火を子供のように見上げてて、
深津先輩は花火を見ないで
私をずっと見つめていた。

打ち上がっていく花火が光で私たちを照らして、その後大きな音を出す。
思わず花火を見上げると
深津先輩が私の手を握り直した。
少し緊張する強さ。
恐る恐るまた深津先輩を見上げる。

また花火が打ち上がる。眩しい光がまた私の顔を照らした。

深津先輩が「好きだよ。」と言った。
すぐ大きな音でかき消される。

目が花火で霞んでいたのかもしれないし
私の耳が花火の音で遠くなったのかも。

今年のお祭りをまさか2人と過ごす事になるなんて、夢にも思わなかったから、私は夢を見ているのかもしれない。


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