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4.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)


主人公アキちゃん、2年生設定
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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。
前回の続きです。
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お昼休み、どうしてもパンが食べたくて売店まで歩いていくと沢北が前を歩いていた。
沢北が前を歩くと大きすぎて私が見えなくなる。
俯瞰して見るとみんなが沢北を見てるのがわかる。

途端に立ち止まるので、何かと思いわたしも立ち止まる。
何やら1年生の女の子に呼び止められていた。
「沢北先輩の事…ずっと気になってて連絡先教えてくれませんか?」

長年の付き合いでわかるけど、多分この子は沢北のタイプじゃない。
あ〜と言葉を濁す沢北を見て、なんだかきまづさが伝染する。
本当にこの男はモテるんだなぁ。と
気づかれないように通り過ぎようとした。
「ごめん、彼女いるんだよね。俺。あ、この子」
ん?と思った途端に
急に肩に手をまわされて沢北の方に引き寄せられる。
「は?」
きまづそうに笑う沢北を見上げる。
1年生の子は顔を真っ赤にしてごめんなさいと遠くから見守っていた友達のところに走って行った。
「ちょっと…なに勝手なこと言ってんのよ」
「まじいなくなるまでこうしててお願い」
コソコソとやりとりをしながら肘で沢北をこづく。
売店の近くだからたくさん人がいるのに…。
とどこか焦っている自分がいた。
「もっといい断り方あるでしょ…」
「これで抑止力になったな。きっともう1年は寄ってこないだろ。」
モテるのも大変なんだなと思いつつ、まわされている手が気になる。
ブツブツ文句を言う私に、プレゼントとか大変なんだからな。と贅沢ななやみを言う。
「それに…俺もうすぐ…」
と沢北が言いかけた時私と沢北の両側に誰かが立ち止まる。
ニヤニヤしているバスケ部の3年生達だ。
私は汗が吹き出した。
「さーわーきーたー。お前何いちゃついてんだよ。」河田先輩と野辺先輩がニヤニヤして沢北に話しかけた。私は慌てて沢北の腕をはらう。
払った時に、後ろに下がると誰かにぶつかったので謝る。
「あっごめんなさ…い」
焼きそばパンを持った深津先輩だった。
後ろを見上げた時に顔があってビックリする。
今の、見てましたよね…
私は目を逸らした。
目を逸らした先に
ははは…と深津先輩を気にしながら笑う一ノ倉先輩がいた。
沢北が河田先輩にヘッドロックされてる時、
沢北がふかっつぁーん助けて〜と涙目でいっていた。
何を話そうときまづい間があった。
「アキちゃん」
「は、はい?」
深津先輩がわたしの名前を呼んだので、顔を見上げる。
「体大丈夫ぴょん?」
深津先輩がいつもの自然な顔で
真っ直ぐ目を見て聞いてきたので、
だ、だいじょうぶです。と答えた。
段々と顔がカーッと赤くなるのがわかる。
河田先輩達はハテナマークだった。
いてもたってもいられずお辞儀をして教室に戻る。
遅れて沢北が頭を抑えながらわたしに追いつく。
あ、足が速いな…。
「なに?具合悪いの?」
沢北が涙目で聞いた。
「いや…ちょっと風邪かな」
苦し紛れの答えにチラチラ沢北を見る。
急に前を通せんぼをしてわたしの顔を覗き込む沢北。
「えっなに」
「元気そうだけど。」
そう言って私のおでこを触る。まぁでも顔赤いかも。と言ってまた私のほっぺに手の甲をあてた。
沢北近いし触りすぎって…。
あの時から距離感がバグってる。
「深津さんと話すようになったんだな」
もおっと振り切って進む私に沢北はちょっと探るように聞いてきた。
沢北の部屋で会ってからね。と付け足してみたけど沢北がふう〜ん。と言って前を見て歩く。
そして振り返って言った。
「でも深津さん結構人気あるから、喋ってるとこみられたら何か言われそうだよなぁ」
沢北と話してても、そうだよ。と心の中でつぶやく。
「しかも、深津さんは彼女いるからな。」
その言葉に思わず足が止まる。
「え?」
立ち止まった私に、あ、やばと言う顔をしながら沢北が言葉を探す。
「秘密なのかなぁ?わかんないけど。」
「ほんとに?」
「言ったら殺されるけど、深津さんがキスされてるとこ見たんだよ」
顔を手で抑えていたずらっぽくいう沢北の言葉がすぐ信じられず、私は上の空の返事をした。


「深津さっきわざといっただろ」
一ノ倉が部室に向かいながら深津に向かっていった。
「…なんのことぴょん」
「アキちゃんだよ」
「…」
「なんか、そういう深津見るの久しぶりだからさ」
何も答えない深津に、一ノ倉はこの時を逃さまい。と踏み込む。
「だから、もういいんじゃないか?」
深津が立ち止まって一ノ倉をみる。
「たまには自分の気持ちにそのまま任せちゃえよ。」
「すごい…難しい事いうぴょん」
深津は複雑そうに一ノ倉を見る。
「このままだと、変なことになりそうだよ深津」
その前に話せよ。と深津の胸にグーでタッチして、先に部室に向かう。
「俺にはなんでも言えよ!」
「わかったぴょん」
深津は
途端に大きい声で一ノ倉を呼ぶ。
「ハーフコート3対3、4対4、オールコート4対4」
「…は?え?」
「監督のメニューぴょん。先に始めといて。」
「ちょっと待って…覚えれてない」
深津は言い捨てて走って校舎の方に引き返してしまった。
一ノ倉はポカンと取り残されていた。

委員会が終わってとぼとぼと教室に戻る。
ぼーっとしてしまってさっき沢北が言った言葉が頭から離れない。
ふと体育館を見つけると、あの日深津先輩がリョーコさんと会ってた日のことを思い出す。
「なんか私バカみたい」
考えてみれば、沢北の言う通り、私なんか相手にされる訳ないんだ。
全部私がもっと話してみたいとか私ばっかりで。
そう考え出すと自然と涙が溢れてきた。
やばい。止まらない。そう思って俯いて教室を目指す。
教室に誰もいなければいいな。
そう思って顔を拭いながら教室に入ると、
練習着のまま、急いで鞄にプリントをしまっている沢北を見つけた。
「やっべー、今日出さないといけないプリント忘れてた。」
お、とアキに気づいて手を止める沢北。
「…ちょ、おまえどうしたの」
教室の出口で立ち尽くして泣いている私に沢北はオドオドする。
「…なんでいんのよー。」
私が手で顔を拭いながらボロボロ泣きつづけるので、
沢北が出口にいる私に恐る恐る近づく。
沢北の顔を見た事でさらに深津先輩を思い出してさらに涙があふれる。
泣くわたしに慌てる沢北。
その様子を見てゆっくり
私の後頭部に手を添えると、自分の胸に引き寄せた。
初めてこんなに悲しくて、どうしたらいいかわからなくて辛かった。

「沢北、わたしどうしよう。」
「うん。大丈夫。大丈夫だから。泣くなよ…」
沢北の胸の中があったかくて、
ひどく落ち着いた。私ってこんな時ばっかり、沢北に甘えてずるい。
「アキ…俺」
沢北がわたしの肩を持って少し離す。
わたしの涙を手で拭って、何かを言いかけた。
その時、廊下にバッシュの音が響く。
「アキちゃん」
その声にドキッとした。
振り返ると深津先輩がいた。
泣いたわたしを見た後に、沢北を見て少し顔がこわばる。
沢北はわたしの肩を掴んでいた手をぱっと離した。
「あ、えと、提出しないといけない物あってそれで練習行くの遅れて…ってアキって言いました…?」
自分を探しにきたと思った沢北が、焦って説明していく内に私の名前を呼んだ深津に、違和感を覚える。
「沢北、練習いくぴょん。」
「…はぁ」
深津先輩はそう言いながらわたしの手を引いて教室を出る。
沢北はちょっと深津さん!と驚いて2人を見つめた。
しばらく歩いて、資料室の中に連れてこられた。
わたしは頭が混乱していて、でもリョーコさんの事で頭がいっぱいだった。
深津先輩が屈んで優しく頭をなでる。
「アキちゃん…なんで泣いてるぴょん。」
「深津先輩…どうして」
「…体育館の近くでアキちゃん見つけて、泣いてたから…気になったぴょん」
私の肩を両手で持つ。
泣いてたから来てくれたの?
そんな事されたら期待しちゃう。更に涙が溢れて俯く。
深津先輩はその様子を見てどこが痛いの?何か嫌だった?と言葉を並べる。
優しくされると、すごく辛い。
だって、わたし深津先輩に何か言う権利ないし。
本当にどうしたらいいのかわからない。
沢北の言葉が頭から離れない。
私は深津先輩の1番じゃなくて、リョーコさんとキスしてたってこと。
深津先輩が私の顔を覗き込んで、私が何か口にするのを待ってた。
わたしは深津先輩の目をジッと見つめて何か言わなきゃ。って思ったけど言葉にできなかった。
なのに、目を見てたら胸がギュっとなって
全部、私のものにしたい。そう思った。
わたしは恐る恐る唇に唇を押し付ける。

急にキスされて動揺してる深津先輩を見て
顔に両手を添えて、深津先輩にされたみたいにまた深くキスをした。
途中で深津先輩が肩を持って少し離す。
「…泣き顔でそんな事されるの、やばいぴょん」
肩から手を離して両手でほっぺをつままれる。
下手くそだったかな?と不安になって赤くなる顔。
それを見て深津先輩はぎゅっと私を抱きしめた。
筋肉質な大きい腕が私の体を覆う。
深津先輩がぎゅっとすると、離される瞬間が不安でわたしもぎゅっと背中を掴む。
このままずっと抱きしめていてほしい。
「沢北にもこうされたぴょん?」
いつもの口調でサラリと言うから、口どもる。
「…深津先輩だって他の人としてるくせに」
思わず口走った。
ハッとした時にはもう遅かった。
深津先輩がゆっくりと抱きしめていた手を離してわたしの顔を見る。
いつも通りだったけど黒目が揺れる。
「アキちゃん…」
深津先輩はいろんな言葉を探しているようだった。その様子を見て私は目を伏せる。
「ごめんなさい…私」
「アキちゃん…俺は」深津先輩はわたしの手をにぎる。
いやだ。聞きたくない。怖くてそう思った。
深津先輩の手を振り払う。
「私…もう行きます。練習頑張ってください。」
深津先輩を振り切って、顔の涙を拭った。
足早に資料室を後にする。
その夜、深津先輩から電話はこなかった。


次の日学校を休んだ。
電話を何処かで待ってる自分がいて、携帯の電源を切る。
鳴らない電話が辛い。
どこで何をして、何を考えてるのかわからないのがこんなに辛いなんて知らなかった。
泣いても泣いても涙がでて、体中の水分がでていきそうだった。
どれぐらいの時間こうしてただろうか。
部屋のドアがノックされる。
はーい…と急いで顔を整えてドアを開けると
大きい体が目の前にあった。顔を見上げる。
沢北がプリントを持って立っていた。
下からお母さんが、エージ君に休んだ分勉強教えてもらいなさい!と言っていた。
沢北に勉強を教えてるのは私なのに。

「…深津先輩となんかあった?」
ずっと聞きたかったと言う口調で堰を切ったように沢北が私に問い詰めた。
「んーん…なにもないよ。」
そう言いながらベットに戻ろうとする私。
私の手をとって、自分の方を振り向かせる。
沢北が寂しそうな顔をしていたので少し動揺する。
「俺にはなんでも言ってよ。」
沢北がわたしを励まそうとする。
その様子を見て、いたたまれない気持ちになる。
何にも話したくないのに、沢北が子犬みたいに何度も聞いてくる。
励まされてるのに、なんで私が励ましたくなるんだろう。
不思議な男の子だ。昔からそう。

「深津先輩とセックスした。」
「は?」
沢北が握る手の力が強くなる。
沢北が何でもって言ったから。と投げやりな気持ちで答えたけど。
沢北の表情を見てすぐ後悔した。
やっぱり言うべきじゃなかった。
「なんで?」
なんでって。
…なんでなんだろう。
私はまっすぐ見つめる目に動揺した。
「お前…バカなんじゃないの?」
急に悪く言われて、カッとなりそうになる。
でも言い返す言葉が出てこなくて
絞り出すような言葉がでた。

「…好きだからだよ。」
理由を考えていたはずなのに
心が先に答えを出していた。言葉に出してしまうと壊れてしまいそうで、涙がポロポロでてくる。
そう言われて沢北が一瞬たじろぐ。
ただ強く掴まれた手。

沢北が「だからって。」と私に詰め寄る。
私は「離して。」と沢北を見上げる。
沢北が悲しそうな顔でわたしを見るから、
私は振り切って泣きながら後ろを向いた。
沢北が引かずにわたしを後ろから抱きしめた。

「わかったから。好きでも、いいから。」
その言葉に何を言っていいのかわからなくなる。

「アキ聞いて」
泣きじゃくる私に、沢北が回した手で頭を撫でる。
今までになく男らしく感じる手が
私を落ち着かせて動揺させる。

「俺アメリカいくことになった。」

わたしはハッとして振り返って沢北の顔を見た。

「俺がアメリカいくまで、アキにたくさん優しくする。絶対泣かせないし…。」
何も言えなくなる私の涙をぎこちなく沢北がふく。

「俺が、アキが深津さんがいなくても
大丈夫になるように支えるよ。」

私たちはほんの17歳で
未来なんて希望しかなくて
現実がその通りにならなくても
沢北がその時言った言葉が、私を支えたのは事実だよ。

沢北が私の泣き顔に耐えきれずに、私の頭に手を置いて自分の胸に顔を押し付けた。
「なんでそんな事…」
私が嬉しい気持ちと切ない気持ちで言葉を絞り出す。

「アキが好きだからだよ。」
沢北がそう言ったのを聞いて、
私は沢北の胸の中で子供のように泣いた。

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