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19.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成、南烈、岸本実理)

主人公佐藤アキちゃん、山王工高出身

沢北:アキの幼なじみ 山王工高出身 

深津:東京のプロチーム所属 沢北の先輩 山王工高出身 

南:大阪のプロチーム所属 豊玉高校出身
岸本: 大阪のプロチーム所属 豊玉高校出身


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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な男女として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。


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「アキちゃん、こないだの深津選手の特集大好評だったわよ。」

水原さんが私のデスクに来てニヤニヤして言う。

「本当ですか!」
「深津選手の影響で、実はプロチームから逆オファーもきてるのよね。」

「えっどこのチームですか?」
「大阪のプロチームで、南選手って人を推してるみたい。」
水原さんが資料を見ながら言う。

「おっ、ラン&ガンですね。」
向かい側にいた撮影班の元バスケ部の男性が興奮したように顔を出す。

私たちがキョトンとしてる様子を見て勝手に続ける。
「豊玉高校の攻撃特化型スタイルですよ。南選手はエースでしたから。」

へー。と言いながら私がGoogleで調べ始めた時だった。
「取材、明日になったから。」

水原さんが撮影班と私を交互に見ていった。
「明日ですか!」

「今回はチームからのオファーだから、私が話し進めちゃった。東京での練習がある明日なら時間確保できるって言ってて、これはいい流れねっ」

さすが、水原さんだ…。そう思いながら私が急いで準備をし始める。

後ろのデスクの女性ライターさん達が私たちの会話を聞いて話し始める。

「深津選手、かっこよかったですね。」
「うんうん。これからもっと人気でそう。」
それを聞いて手が止まる。

そうか。

そうだよね。

女性ファンも増えるって事だよね…。
なんだかモヤモヤしてくる。
けど、これは嬉しい悲鳴なんだ。きっと。
そう言い聞かせて、マイナスな感情を振り払う。

「Twitterでも特集見て、試合見に行こうって呟いてる人多いですし。」
「なんか…よかったよね。あの、女なんか興味ないって感じ。」

思わず聞き耳を立てていると、その様子を水原さんに見られていたので急いで止まった指を動かす。

深津先輩ってクールに見えるけど、話してみるとちょっと不思議ちゃんなんだよね…。

そんな事を考えながら、取材のスケジュールを確認する。

「佐藤さん、明日取材の後会食も決めておいたならいつものお店予約しておいて?選手は南選手と、会食の時だけ岸本選手って人もくるわ。」
「はっ、はい」
急いでデスクを立って電話する。

飲み会の時電話して。

そう言われたのをふと思い出した。
あれからなんとなく決心がつかなくて連絡できてなかった。
電話しちゃうおうかな…?
と思い立つ。
さっきのライターさん達の話を思い出す。
気持ちが焦ってるのかな、私。

高校を卒業する時、もう深津先輩とは会えないと思ってた。
サヨナラって言った深津先輩から
たまに会おうって言われるなんて…。
なんだか、信じられない。
酔っ払っていた時に変な事言ってないといいな…。
はぁー。と思い出してうなだれる。



「よし、予約完了と。」
電話を切って履歴を見て、深津先輩の文字を見つめる。

思い切ってかけてみる。
でるかな…。

「ぴょん」
ワンコールで出たのでかなりびっくりする。
「どうしたの?」

いつもの声の調子に、急に恥ずかしくなる。
「あ、あの、明日飲み会になって…」
その、とあわあわしていると
「うん。わかった。終わりそうになったら教えてぴょん。」とごく当たり前のように言われるので、拍子抜けする。

「前、深津先輩と飲んでたところになると思う…!」
「うん。わかった。待ってるぴょん。」
それだけ言いたくて、と
慌ててる私の言葉をよそに深津先輩が名前を呼ぶ。
「アキちゃん。」

「ん?な、なに?」
「タメ口やっぱいいね。」

なんだかすごく顔が赤くなる。
手探りだったからあまり
触れて欲しくなかったのに。

「あ、深津先輩の記事すごく好評だって。深津先輩、ありがとう。」
恥ずかしくて話題を変える。
「アキちゃんのおかげぴょん。」

「佐藤さーん」
水原さんの声がした。
私が返事をする。
「仕事がんばってね。じゃ、明日ぴょん。」
「うん。」
その声を聞いた深津先輩が電話を切る。
なんだか、どうしようもない気持ちになって
しゃがみ込んで声にならない声をだした。

「佐藤さん…何してるの…」
水原さんに見つかったので、急いで立ち上がる。



「バスケが好きやね。」
南さんはインタビューの最後にそう言って締めくくった。
その表情を見て、練習をする深津先輩を思い出す。
スポーツをやってる人ってみんないい表情するな。

インタビューは軽快なやり取りで終わった。
想像してたより終始和やかだった。
最初、かなりぶっきらぼうな人だな。と思ったけど
私が質問すると、気を利かせて面白い事を言ってくれたりスタッフの人へさりげなく気配りしていた。

「南選手、本日会食に参加いただけるとのことでありがとうございます。」
水原さんがお礼する。

「ああ、会食忘れとった。尊敬する人がいつも言うてはったけど、誘われた飯は必ずいけよって。行かせてもらいますわ。」
そう言って席から立ち上がる。
みんな笑う。

南選手がじっと私を見る。
何かあったかな?と私も見つめ返す。
「佐藤さんて、彼氏いるん?」
「え。」
私が固まる。
「おい、南。」
付き添いのチームスタッフが南さんを注意する。
「なんでや。気になったら聞いたらあかんの。」
「あ、すみません、私こういうの慣れてなくて。」
冗談か。と思って両手を振って苦笑いをする。
へへ。と笑ってごまかすと南さんが
「ほな、今度大阪で遊ぼうや。」
そう言ってニコッと笑った。
あまり笑った顔が想像できなかったけど、笑うと目がなくなって可愛らしくなる。
南!とスタッフがまた注意する。



「山王っていったら、あれやろ。」
会食で合流した岸本さんが私を指差しながら考え出す。
岸本さんも大阪代表の有名な選手で、南さんが所属してるプロチームに在籍している。チームスタッフがこの機会に、と招待してくれた。

「怖ボウズ。」
「沢北。」
その横でビールを飲みながら南選手が岸本選手と同時に名前を言う。

チームスタッフと岸本さんが合流した時、会食は大盛り上がりになった。
よく喋るしよく笑う。話が面白くてみんな楽しそうだった。水原さん達はチームスタッフと大盛り上がりしてたので、自然と私の前の席に二人の選手が座った。

「怖ボウズって誰やねん。みんな坊主やろ。」
南さんが岸本さんにビールを飲み干して冷静に突っ込む。
「4番や。あの怖いやつや。」
怖い人…怖い人…?4番は確か…。

「深津先輩、ですか?」
私がつがれたビールを頑張って飲みながら答える。
「そう!それや!」
何が面白いのか岸本さんはゲラゲラ笑っていた。
私が山王出身だと水原さんが言うと、二人ともとても驚いていた。
沢北の事も当たり前に知っていて、なんだか親近感が湧く。あえて幼馴染とは言わなかったけど、バスケをしてる選手から二人の名前が出ると、新鮮で面白かった。

「山王ってことは地方やな。なんで佐藤ちゃん東京きたん?」
南さんが真っ直ぐ目を見て質問してくるから、ちゃんと答えなくては。と思ってしまった。

「好きだった人に、卒業式の日に東京行くって言われて、なんかその時に東京かぁってなって。」

南さんが好きって言う単語に反応して面白そうに聞く。
「東京行ったら、もうかしたら会えるかも。なんて、思ったのがきっかけかもしれないです。」

あれ、私酔ってるかも。
二人の話しやすさに、余計な事を話してるかも、と二人の顔色を伺う。

「安易やな〜。その男とはもう会えへんかもしれんのに。」
岸本さんが笑うので、そうですよね〜と相槌をうつ私に、南さんは焼酎にレモンを絞りながら真剣な顔で言った。

「運命かどうかなんて、会ったらわかる。」
「お前に何がわかんねん。」
「佐藤ちゃんは運命やって思ったから、東京きてんねん。」
気づいたら3人分の焼酎を作ってくれてて、んっ。と私にも渡す。

「ここで会ったのも縁やで。俺たちはまだ大人の半分も生きてへん。もっと飲まんかい。」
南さんも酔っ払ってるな。と気づいた。
私、焼酎飲んだ事ないんだけど。と思いながら、なんだか励まされた気がしてグラスを勢いよく受け取った。

「佐藤ちゃん、俺たちの試合みにきいや。」
岸本さんがグラスを飲み干して言う。
「えっいいんですか。私プロバスケの試合見た事ないです。」
「大阪は流石にきた事あるやろ?」南さんがおつまみを食べながら聞く。
「大阪…はないですね。」
「ないんかいな。」
二人が同時に突っ込んだ。
「スタッフにいうとくわ!」
岸本さんが豪快に笑う。
「時間空いたらユニバでもいこか。」
南さんが顔に手をついて私の顔を見下ろす。
「USJ…!行きたいです。」
私が思わず前のめりになる。
あ、はしゃぎすぎかなと思って急に恥ずかしくなる。結構飲んじゃったなぁ今日も、と気づいた。

「行くんやったら二人やで。」

南さんが冗談なのか本気かわからない表情で見つめた。
「何口説きはじめてんねん。」
岸本さんがガクンと体が半分椅子から落ちながら言う。
「大丈夫ですか?」
と言って笑ったので、話が流れる。
みんな相当飲んでるな、と気づく。
席の時間の1時間前なので、そろそろ深津先輩に連絡しないと。とフラフラする頭で気づく。

お手洗い行きます。とやっと席を立って
携帯を開くと深津先輩からLINEが来ていた。
少し頭が覚める。
そっか。
電話番号登録したから、私のアカウントわかるのか。
自分が自動登録に設定していた事に気づく。

「深津」と書いてあるアカウントを追加しながらメッセージを読む。

「念のため、お店の場所もう一回送っておいて。多分わかるけど!」

ときてたので、えーっとっと。
Googleマップを一回開いて共有ボタンを開く。

「22時にここで待ってます。」
とやっと文字を打つ。
こんな事頼んで、本当にいいのかな…
と葛藤しながら手を止めていると
「佐藤さーん!」
水原さんが呼ぶ声がするので、急いで送信ボタンを押してでた。


お店を出る頃にはもうみんなフラフラだった。
水原さんはザルなので、会食の最後にアポ取りや今後に繋がりそうな関係者との名刺を交換していて、本当に頭が上がらない。

今後はこういう風にできないといけないのに。
岸本さんと南さんのお酒のペースに飲まれてしまった。

私は本当だめだなと思ってた時、南さん達とお店を出てしばらく立ち話をする。
水原さんがその場を一旦締めたので、それぞれ散らばる。

「佐藤ちゃん、二次会いかへんの?」
南さんが小走りでフラフラしながら私のところにくる。
言葉を濁す。
岸本さんが南さんがそう言ったのを聞いて、それなら俺も行く!と手を上げる。

もう22時だから、深津先輩と合流しなきゃ…。
いやーと言って後ろに下がると誰かにぶつかる。

「アキ。」
見覚えがある声が頭の上からして、見上げる。

「はっ?沢北やん。」
南さんが大きな声を出す。

岸本さんも沢北を見て、
「え?」っと沢北を指差す。

沢北は二人を見た時、
「こんちわーっす。」
沢北が帽子を取って、南さん達を一瞥する。

沢北はなんでこの人達と?という顔をしていた。

「沢北?!なんで?」私がびっくりして振り返る。

「なんで?なんでってアキがここに来いっていったんだろ。」
「…え?」

顔が真っ青になる。
まさか…
Googleマップの共有ボタン押した時、
確かに深津先輩と沢北のLINEアカウントのアイコンが候補で並んでるのを見た。
間違って深津先輩じゃなくて沢北に送ったんだ…。

「沢北ー!ここで会ったのも縁や!二次会行くで!」
「はぁ…?」
「そうや!行くで!日本一!」
沢北が一気に酔っ払いの二人に肩を掴まれて絡まれたので、アタフタしていた。
沢北も背が高いけど、この二人も180センチ以上あるので3人並ぶと迫力がすごい。

「沢北…本当ごめん…私間違っておくっちゃったみたい」
「おい。まさか、深津さんと間違ったとかいうなよ。」
私たちが話してる間、南さん達は沢北の両肩に絡みついててあーだこーだ言っていた。

明らかにむすっと見下ろすので、本当に申し訳ない顔をしていると、沢北はいつもと違う感じで「ま、よかったな。」と言った。
そう言われて驚く。
「沢北?」と言いかけた時、南さんが
「佐藤ちゃん、沢北と付き合うとるん?」
とフラフラしながら急に話にはいってくる。

「え?」
「まぁ、そんなとこですかね?」
沢北が南さんにふざけて言う。

「そうなん?俺むっちゃタイプやねんけど佐藤ちゃん。」
沢北に南さんが肩を組みながらそう言って私を指差す。
「ええっ」
私が驚いてよろける。

よろけた時、後ろから両肩を支えられる。

沢北の肩に絡まってる岸本さんが、あー!と声をあげる。
「怖ボウズ!」
南さんも驚いて指をさした。

見上げると深津先輩が、私を見下ろしていた。
黒いフードを深く被っていたのをとる。
思わず固まる。
よかった。深津先輩、場所覚えてたんだ。
と思いながら、この状況どうなんだろう。と考える。

「アキちゃん。帰るぴょん。」
何事もなかったかのように言うから、
呆気に取られる。

「えっ?深津?」
南さんは深津先輩がいるのが信じられないようだった。

「深津さーん…助けて。」
深津先輩はしばらくみんなを見渡した後に、
沢北をじっと見た。
「沢北、残り少ない日本で思い出作るぴょん。」

私の肩を掴んでいた手を離して、私の腰に手を回す。

「後は任せた。」
くるっと踵を返すと、タクシーを手で止めて私を押し込んだ。

「なんや、あいつら。」
岸本が沢北に絡みつきながら言う。
「すごい圧やったな。さすがやな。」
南が沢北に言う。
沢北は何も言わなかったが、走っていくタクシーを見守った。
「まぁ、みんなで飲み直しますか…」
「お前、何泣いてんねん」南が沢北の背中をポンポンと叩く。



「今日、仕事うまくできたぴょん?」
タクシーの車内で窓に肘をつけながら、深津先輩が私に優しく聞く。

「あっ、うん。取材もちょっとだけ慣れてきた。でも、南さんが優しかったからかもだけど…。」

待たせたかもしれないのに、嫌な顔しないで来てくれた…。
深津先輩、期待しちゃうよ。

「アキちゃん、取材上手ぴょん。」
お酒も飲んでるからか心臓がうるさい。
私を見る深津先輩がかっこいいから。
「ありがとう…。」そう言うのがやっとだった。

部屋の前まで来てくれたから、少し期待する。
「アキちゃん。」
「はいっ。」
「今日は一人で鍵開けれたぴょん。」
深津先輩がポケットに手を入れながら見下ろして意地悪く言う。
「え…」
前回そんなにひどかったの?泥酔していた日を思い返す。
自分に酷くがっかりする。

「じゃ、おやすみ。」
その様子を見て少し笑いながら
深津先輩が手を上げる。

「あっ。迎えに来てくれてありがとう。」
帰っちゃうんだ…。
思わず、もっと一緒にいたいな。と思ってしまう。

「運命かどうかなんて、会ったらわかる。」
なぜか南さんの言葉を思い出す。

気づいたら深津先輩の服を掴んでた。
深津先輩が何も言わずに振り向く。
「あの…もうちょっと一緒にいない…?」

酔ってるのもあってか、体が熱い。
思わず、思ってる事が口に出る。

「…アキちゃんでも、もう飲めなそうぴょん。」
「あ、うーん…。」
深津先輩が携帯でどこか飲み屋を探す素振りをしたので、そっか。もう時間遅いのか。と気づく。

「あ、私の部屋あがってく?」
そう思いついたように言う。
深津先輩は無表情だけど、少し黒目が動いてた。

「いいけど。」
深津先輩が服を掴まれたまま、私の顔を少し覗き込む。
「部屋行ったら、俺手出しそうぴょん。」
表情を変えず言うので、
私だけが酷く動揺する。

「タクシーからずっと我慢してる。」
自分の心臓の音がうるさい。
そう言う深津先輩がいつも通りに見えたけど、
黒目が揺れてて
いつも私に触る前の深津先輩の顔だ。と思い出す。














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