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5.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)

主人公アキちゃん、2年生設定
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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。
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「知ってたか?沢北とアキちゃん付き合い始めたらしいぞ」
3年生の教室で野辺が目を見開いて言う。
携帯をいじっていた一ノ倉がパッと顔を上げる。
横目で深津を見ると、机の上で片肘をたてて窓の外を見ていた。
半信半疑なみんなの反応を見て
「バスケ部の1年が沢北が言ってたって聞いたらしい」
と付け足す。
「いいのか!深津!うちのエースが浮かれてないか!」松本がワナワナと口を開く。
一ノ倉が一瞬ひやひやする。
ん?と聞いてなかった雰囲気で深津がこちらを向く
「バスケに影響なければ、沢北の自由ぴょん」
つまらないやつだなとブツブツいう松本を尻目に、また窓の外を向く深津。
一ノ倉が心の中であの日何かあったのか?とつぶやいた

理科の授業中、実験室の横廊下を移動している3年生の姿を見かける。
一瞬ドキリとして目を伏せる。
ノートをとるふりをしながら、やっぱり気になって様子を伺う。
深津先輩のクラスじゃない。
そうわかると安堵した。
すぐ隣の席に座っている沢北を見つめる。
あの日、沢北はわたしをずっと抱きしめていた。
沢北の強引な抱擁が、あの時の私には心地よかった。
まだ自分に残る深津先輩の感覚を、もう上書きして欲しいと思ったから。
深津先輩にもう触れられないなら、忘れてしまいたい。
ふと沢北がチラッとこちらを見る。
バチっと目が合う。
沢北は少し動揺して口が緩んでいた。
耳が少し赤くなる。

沢北が私の手を机の下から少し指を伸ばして触る。
私が触られた手を緩めると、沢北がわたしの手をぎゅっと握った。

こんなに体が大きいのに、沢北は子犬みたいだ。
アメリカに行くのはいつなのか。
沢北を支えてあげたい。そんなふうにも思う自分が不思議だった。
あんな風に泣く沢北を、誰かアメリカでも慰めてあげてほしい。
そう切に願った。


あれから2.3週間たった。
学校ではいつも通りの時間が流れる。
掃除の時間に誰もこない資料室にいると
決まって沢北が理由をつけて様子を見にくる。
足音で沢北が来たことがわかる。
顔を見合わせると、私はおー。と反応していつも通り使わない物を段ボールに詰めて棚に入れる。
背伸びして少し上の棚に箱を持ち上げると沢北が後ろから手を伸ばして箱を入れてくれた。
「ありがと。」
そう言って振り返ると、沢北が挙げた手を下ろしながら棚に手をつけて私を少し棚によりかからせる。
顔を傾けて横から私にキスをした。
沢北に初めてキスされる。
急すぎて、私は沢北の胸を手で押す。
沢北はキスしながら私の太ももを撫でる。
スカートにもう片方の手を伸ばした。
「沢北っ」私は廊下の方を気にしながら、抵抗する。
「…もうずっと我慢してた」
沢北はぎこちなくスカートの中を弄りながら、そう言ってまたキスをする。
深津先輩とは違う、求められるキス。

一瞬、このまま沢北の気持ちに応えたい。とさえ思ってしまう位沢北の気持ちが伝わってくる。
「沢北ダメだよ。誰かきちゃう。」
私が顔を背けてやっと伝える。
「…誰かこなかったらいいの?」
沢北が少し拗ねた風に上目遣いで言う。
私がそう言う意味じゃなくて、と言いかけた時
沢北の手が足の付け根からパンツに入る。
だめ!そう言って手を掴むと
「俺は見られてもいいよ。ずっとこうしたかったから。」
と制止する手に指を絡めた。
甘えるように言ってくるのがずるい。
その途端、資料室のドアが開く。
私は沢北を思いっきり押して、沢北はよろけて向かい側にあった椅子に座った。
ホウキをはくふりをする私。
生徒指導の先生と河田先輩が立っていた。
いらない段ボールはどこだー?と聞かれたので
私は上をすぐ指差す。
「沢北、何掃除サボってるんだ。」
生徒指導が沢北を見て言ったので、河田が沢北の存在にきづく。
「お前なにいちゃいちゃしてんだ」
河田先輩は段ボールを大量に持ち上げて資料室を後にした。


一ノ倉は来週の文化祭の実行委員を任されていた。
バスケの練習があるので、人数合わせの意味合いが大きい。
その中でも今日だけは少し頼まれたことがあったので授業が終わってから予算の紙に必要な事を転記していた。滅多にこんな事はないので、誰もいなくなった教室にいる自分に違和感を感じる。
教卓の上で紙をまとめる。
その時、2年生の予算シート持ってきました。と誰か入ってくる。
聞いた事がある声に思わず顔を上げた。
「アキちゃん?」
「いっ一ノ倉先輩!」
まさか俺が実行委員会だとは思わないか…とへへと笑った。
「最近…元気?」
予算の話を軽くしながら、
会話の合間に一ノ倉はアキの様子を伺う。
何かを言いかけて下を俯いた。
「アキちゃんさ、」
自分でもドキドキしながら余計な言葉を切り出す。
「俺でよかったら、話聞くよ?」
踏み込む気はないけど、自分だったらいい方向に導けるかもしれない。そんな変な自信があった。
アキちゃんは途端に少し屈んで泣き出しそうな顔をした。
「……私どうしたらいいかわからなくて」
一ノ倉も同じくかがむ。
泣き出しそうなアキに優しく声をかけた。
「俺さ、口は固い方だし話し聞くだけになっちゃうかもしれないけど、何でも言ってよ」
その言葉には一ノ倉の誠実さが現れていて、あの、と話を切り出した時、聞いたことがあるバッシュの音がした。
思わず焦って教卓の中に隠れる。
一ノ倉は驚いていたが、その理由にすぐ気づく。

「一ノ倉まだぴょん?」
深津が様子を見に教室に戻ってきた。
「あー…もうちょい!」
一ノ倉がアキに気づかれないよう教卓の前に立つ。
誰もいない教室を見て、深津が大きく息を吐いた。
「…どうした?イラついてる?」
珍しい様子に一ノ倉が思わず声をかける。
深津も気付いてないようで、え?と声を出したあと
また深く息を吐いて足が二、三歩せわしなく動く。
「河田達が沢北の話ばっかりしてうるさいぴょん」
「河田が…?」
そう言いかけて、何を言っていたかは聞かないようにしようと口を紡ぐ。
「珍しいな深津がイライラするなんて。なんかあった?」
一ノ倉がははっと笑って優しく声をかける。
一ノ倉の顔は少し心配していて、その様子をみて深津は少し息を吸って落ち着こうとする。
「…なんでもないぴょん。ただ…」
口を手で覆って窓の外を見たあと、机に少し寄りかかって外を見ながら深津がぽつりと言う。
「最近、ある子を傷付けて自分が嫌になったぴょん」
一ノ倉も予想していなかった深津の言葉に、思わず息をのんだ。
「ふーん…深津は…どうしたいんだ?」
優しく声をかけた。
「どうしたい……」深津が自分にも聞くように繰り返す。
しばらく間があく。
「…話したいぴょん」
自分でも意外なようでそう言ったあと首を傾げる。
「話せばいいじゃん」
一ノ倉がプリントに何か書きながら言う。
「…もう彼氏いるぴょん」
聞こえない位小さい声でいう深津が面白かった。
書く手を止めて深津をじっとみる。
「彼氏がいても話せるだろ」
「一ノ倉はわかってないぴょん」
珍しくイライラする様子に一ノ倉は思わず吹き出す。
笑う一ノ倉を深津が睨んでいた。
「電話してみろよ」
「絶対無理ぴょん」
なんでだよ。と一ノ倉が突っ込む。
「傷つけたなら、謝らないとな。」
「一ノ倉いじが悪いぴょん。」
「意地が悪いのは深津の得意技だろ。」
一ノ倉が笑う。
無表情だけどむすっとした様子で深津が立ち上がった。横切りながら一ノ倉を指差す。
体育館に行ったらしごく。と目が言っていた。
「…さきいくぴょん」
深津が教室の入り口まで歩いて行ったのを見て、付け足すように一ノ倉が声をかけた。
「アキちゃんと話せよ深津ー」
それを聞いて深津がうなづきながら教室を後にした。

遠ざかっていくバッシュの音を確認して一ノ倉が下に向かって話しかける。
「深津、アキちゃんと話したいって」
私は肘をかかえたまま、一ノ倉先輩を見上げる。
目が合うと優しく一ノ倉先輩は笑った。
「ああ言ってるし、話してあげてよ。」
一ノ倉先輩があまりにも優しく言うから、私は気付いたら頷いていた。


深津が一瞬パスを出すタイミングが遅れる。
堂本監督が、ん?とその変化に気づいたのか深津を見つめる。
気のせいか。そう思い、深津から目を離した。
「…一ノ倉、アキちゃんって言ってないぴょん」
深津は小さくつぶやいた。


今日は体力測定の日。
男女ともに体育館に集められる。

自分の順番を待ちながら
昨日の今日で深津先輩の事を考えてしまう。
話したい。そう言っていた深津先輩の言葉が頭の中でぐるぐるまわる。
私が単純すぎるのか、期待しすぎてしまってるのか。
深津先輩からの電話を待ってしまう自分がいる。
「アキ、きて」
人数が合わなくなったのか、沢北が座ったまま手招きする。
手作り段ボールで前屈の記録をとる。
「体柔らかいね。」
私は沢北の記録シートに数字を書いてあげた。
へへ。と褒められて笑う沢北が可愛らしかった。
その時体育館の反対方面からぞろぞろ人が流れてくる。
外で球技をしていた3年生達だった。
雨が降ってきたので急遽体育館の半分を使って授業をするらしい。
沢北がふいに「あ」と言って手をふりだしたので
何かと思い後ろを向くと一ノ倉先輩と深津先輩がいた。
一瞬深津先輩と目が合ったきがする。深津先輩は私から視線をはずして、腰に手を当てながら頭を落として近くまで歩いてくる。先生の指示を聞きながら、ジャージの腕をまくっていて筋肉質な腕に気づいたら見惚れてた。

「アキのばん。」

沢北が私の頭を掴む。

見ていた事を沢北に気づかれたかもしれない。
沢北がそういって頭を掴みながら、立ち上がって私のいたところの隣に座る。
3年生がいる方に背を向けた。
私はぐちゃぐちゃになった髪の毛に不満をこぼす。
「アキ、顎にペンついてる」
沢北が屈んで測定する段ボールごしに私に手を伸ばす。
私は、え、やだとそのまま拭いてもらった。 
拭き終わったあと、軽くストレッチしようと沢北が立ち上がって腕を伸ばす。
「沢北後ろ」私は思わず声に出した。
真ん中にひいてあるネットごしだったけど
バレーボールが沢北の頭に直撃した。
沢北悪い!と近くにいた知らない3年生が謝る。
私はポカンと口を開けてて、沢北もどこから飛んできたんだろと頭を掻いていた。




「深津ボール飛ばし過ぎ」
深津の隣にいたクラスメイトが深津をこずいた
「さすがのバスケ部でもバレーボールはむずいか」と笑いがおきていたが一ノ倉は1人だけハラハラしていた。
「深津は本当よくみてるよ…」
思わずつぶやいた。
はやく深津がアキちゃんと話さないとややこしい事になりそうだ。
と昨日練習でしごかれた事を思い出していた。
深津も自分から何かする男じゃないしな…。
一ノ倉は心の中で覚悟を決めた。


文化祭の準備が始まった。始まってみると忙しくて気が晴れた。
「もうこんな時間だ…」
気づくと21時になっている。
借りてきた物を返すために教室をでる。
あ、体育館にも行かないといけないんだ。と気づき
渡り廊下を渡っているとボールの音がした。
もう夜遅いのできっと誰もいない。そう思っていたのに。
体育館を恐る恐る覗くと、シュッとボールが高く宙を飛んでいた。

深津先輩がシュート練習をしていた。
こんな時間まで練習してるんだ。
久しぶりに見る深津先輩のバスケ姿に思わず足が引き寄せられた。
深津先輩は一回シュートが入った後、大きく息を吐いた。
私の足音にやっと気づく。
少し驚いた様子で私をずっと見つめる。
「あ…」
近づいたものの何を話したらいいのか。
話したいと言ってくれた深津先輩の言葉を思い出しながら歩みをすすめる。
「クレープ…」
手に持っていたチラシを深津先輩に差し出す。
「食べにきてください…」
深津先輩は下手くそなイラストと一緒に雑な字でコスプレクレープと書いてあるチラシ
をただ見つめた。
拍子抜けしたのか多分少し笑っている。
もう、恥ずかしい…。もっと真面目にチラシ作ればよかった。
私もへへ…と笑った。
「…ありがとう。いくぴょん」
深津先輩がなんだか嬉しそうに手に取ってくれた。
「アキちゃんなんのコスプレするぴょん」
「あー、きて見てのお楽しみです」
深津先輩の口角が上がってるのを見てなんだか私も嬉しくなる。
普通に話せた。
資料室で話したっきりだったから、もう普通に話せなかったらどうしようかと思った。
「アキちゃん」
「なんですか?」
ふと、深津先輩が思い詰めた様子で名前を呼んだ。
手にはチラシを握りしめたままフリーズしてる。
どうしたんだろう…
「あの…」
「…はい?」
間に耐えきれない。
「文化祭の日…練習ないぴょん」
「…?」
深津先輩はチラシを見ながらぽつりと言う。
「その日、ちょっと話せる?」
「え、はい。終わった後はいつでも」
私の言葉を聞いてうんうんと頷く深津先輩。
あんなにチームをリードしていつも冷静なのに
目の前でフリーズしてる深津先輩がとても不思議だった。
「あと」

私の反応を見て安心した様子の深津先輩が付け足す。
「今日もう夜遅いぴょん家まで送ってく。」
と指をさしながら
教室で待っててと言って
1人体育館に残された。
「えっ深津先輩の寮この近くなのに…」
私はきょとんとしていた。
深津先輩って彼女いるんだよね…?
と改めて思った。


深津先輩が教室まで迎えにきて、そのまま2人並んで帰る。誰もいない校舎を歩くのはいつもと違くて不思議。
会話はぽつりぽつりなのに
どこか落ち着く。
でも私は初めて一緒に帰ることにドキドキしていた。
「アキちゃんが好きなドラマ…もう全部みたぴょん」
「えー!ずるい、、言わないでくださいね」
「…。」
一度口をつぐんだのに、後から付け足すように言う。
「あの主人公が、やっと恋人と再会したぴょん」
「だから、言わないでくださいって」
どちらかと言うと私の嫌がる様子を楽しんでるみたいだった。
少しむすっとして顔を見上げると、優しく私の顔を見てた。
「ずっと言いたかったぴょん」

それを聞いてなんだかぐっとくる。
そんなこと言うなんでずるいな。
としばらく睨んでみた。
私傷ついたんです。
すごくすごく幸せな気分だったのに。
毎日の楽しみができたのに。
初めての気持ちが一杯だったのに。
心の中で唱えた。
いつもの帰り道があっという間だった。
「じゃあ、行くぴょん。」
家あれですと指差すと、深津先輩が手を挙げて踵を返そうとした。
「あ、ちょっと待って」
私は通せんぼして、家の前で待ってて。と言った。
急いで戻って、深津先輩のパーカーを持ってくる。
「これ、ずっと返したかった」
少し息を切らして深津先輩のもとに走る。
「いいのに。」
その様子をみて突き返す深津先輩。
「アキちゃんいつも薄着だぴょん」
パーカーがあると、あの日のことを思い出してドキドキする自分が嫌だ。
何も言わずに頭を振って服を渡した。
「じゃあ…おやすみ。ぴょん」
深津先輩の久しぶりのおやすみに胸が苦しくなった。
「おやすみなさい!」
あまり後ろを向かないように家に入る。
どうしようもなく浮かれそうな気持ちを抑えた。



「深津さん?」
知ってる声がしたので振り向くとランニングしていた沢北がいた。
そうか、幼馴染だから家が近いんだった。と深津が気づく。
「なんでここに…?」と言いかけた沢北の顔が少し曇る。
「練習帰りだぴょん」
嘘…ではない。けどと沢北が口籠る。
「もしかしてアキと会ってたんですか?」
深津が行こうとするのを沢北は肩で止める。
「…沢北はアキちゃんと付き合ってる?」
「え?」
なんて言おうか迷ってるように見える沢北の様子をみて、深津は沢北の肩を叩いて通り過ぎる。

「付き合ってたらどうなんですか?深津さんアキのことどう思ってるんですか。」
深津はそう言われて自分でも考えてる様子にみえた。
「アキはずっと昔から俺の事支えてくれてたんですよ。」
そう言う沢北に驚いて思わず深津が振り返る。
「その意味、深津さんはわかるんじゃないですか?リョーコさんがそうじゃないですか。」
深津は沢北の事を見つめた。

深津は何も言わずに去ろうとするのでさらに加える。
「リョーコさんが悲しみますよ。」
「…沢北は知らないぴょん。俺とリョーコの事。」
深津の真剣だけど優しい顔に沢北は何も言えなくなった。
「…すみません」
沢北が謝ると後ろ手に深津が手をふった。

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