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17.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)

主人公アキちゃん、山王工高出身
幼なじみ 沢北
先輩 深津
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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。

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「雑誌の取材ぴょん?」
そうです。と沢北が頷くので、
この流れで何でそんな事を言い出したのか。と不思議に思った。
「女性誌なんですけど、俺その日用事があって。」
沢北が両手で手を合わす。

「でも、その企画の担当の人が、俺の大切な大切な人なんで、深津さん…代わりにでてくれませんか。」
あまり呂律が回ってない沢北が必死に頼む。
沢北が頼み事をするのは、珍しい。

女性誌の取材は初めてだったけど、承諾する事にした。

沢北の「俺だって大人になったんですよ。」の
本当意味が、今日わかった。
まさか担当がアキちゃんとは思わなかった。


正直、どんな顔をして会えば良いのかわからなかった。

アキちゃんの大事な仕事だということがなんとなく伝わってきて、自分で良ければ力になれれば。という気持ちになる。

柔らかい物腰でインタビューを続けるアキちゃんを見ると、どうしても思い出す。

夏祭りが終わって、すぐのインターハイ。
その試合が終わってから、アキちゃんのことをずっと避けていた。
待てないとか何とか言っておいて、
全部自分の都合だった。

ずっとずっと遠ざけてた。
のに、
今アキちゃんは俺に寄りかかって泥酔している。

どういう巡り合わせなんだろう。と
とりあえずアキちゃんの肩を片手で支える。

…ほっとけないのは、相変わらずか。

「佐藤さん帰れるー?1人で歩けるー?」
会食のお店から出る時、隣に座ってた男の人がアキちゃんをしきりに気にしていたので、なんとなく体が自然と動く。

水原さんとその男性がいる輪に、さりげなく入った。

この男の人、さりげなくたくさんお酒飲ませてたな。と序盤から気づいてた。
「歩けますし帰れます!」
アキちゃんはそう答えて横にいた自分の胸元に倒れ込む。
ポケットに手を入れたまま、少し足を開いてアキちゃんを体で支える。

水原さんが何かを察したのか
「深津選手、佐藤さん送っていけますか?」と目配せして聞いてきた。
あー、と言って横にいる男性をチラ見して
「わかりました。」と答えた。
男の人はどことなく残念そうだった。

水原さんが挨拶してみんなを撤収させる。
2人になったのを見計らって、体を支えながらタクシーを捕まえた。
アキちゃんが先に乗り込む。
動けるようなので安心した。
「アキちゃんの家、最初行くぴょん。アキちゃーん、住所。住所いえる??」
アキちゃんがタクシーの後部座席パネルに頭をぶつけそうになってるので、肩を掴んで引き寄せた。
自分の肩にもたれかかって、携帯のGoogleマップをだすアキちゃん。
自宅と登録されているところを自分に見せた。

アキちゃんがあまりにも近くて一瞬固まる。
「住所わかりますー?」
タクシーの人が困った様子で尋ねたので、
あ、はい。えーと…と登録された住所を読み上げる。

タクシーが走り出してから、ふー。と窓側に肘を乗せる。
アキちゃんがどんどんもたれかかってくる。

「アキちゃん…家近いぴょん。」

外を見ながら思わずつぶやいた。
タクシーが走り出した方向を見据えて、まいったな。と思う。

心のどこかでブレーキがかかる。
あまり踏み込んじゃいけない。
そう思いながら寄りかかるアキちゃんの顔を見つめる。

「…何にも変わってないぴょん。」
独り言のつもりでつぶやいた。
「えー。深津先輩のが変わってないよー。」
ふにゃふにゃ笑うので、こりゃダメだ。と思った。

マンションに着いた時、アキちゃんが反射で鞄から鍵を出した。
「アキちゃん、1人で帰れるぴょん…?」
少し引いてその姿を見守るけど、鍵を落としていたので、小走りでかけよる。
しゃがんで探してあげる。

エントランスに鍵をかざすところがついてたので、かざすとエントランスが開いた。
ふらふらとアキちゃんが入っていくから、肩から落ちそうな鞄のショルダーを掴むとアキちゃんは自分に鞄を渡す。
自然とエレベーターに乗るので、ついていくしかなかった。
エレベーターの階数をアキちゃんが押したので安心する。
壁にもたれかかって辛そうだ。
つくと自然と部屋に向かっていくので、またその姿を見守る。
鍵を開けられなそうなので、貸すぴょんと言って鍵を手から取る。

アキちゃんの手が冷たいので少し心配になる。
やっとドアが開いた。
ドアを手で支えて、
玄関に入るのは躊躇する。
アキちゃんを先に玄関に支えていれてあげる。
ドアを閉めないまま、声をかけた。
「アキちゃん、鞄。ぴょん。」

アキちゃんがすりガラスのあるドアまで歩いて行って手招きするので、鞄を差し出した手がフリーズする。

「いや…それは…さすがにまずいぴょん。」
思わずアキちゃんの部屋の玄関を見渡す。
小綺麗な1K。
女の子の部屋に入ったことがないので、自分がいる違和感が耐え難い。

奥の部屋に入っていった途端、ドタン。と大きい音がしたので、恐る恐る靴を脱いであがる。
ドアを開けるとアキちゃんがベッドの手前でしゃがんで床に頭をつけてるので心配になる。

「アキちゃん?…本当大丈夫ぴょん?」
しゃがんで肩を掴む。
アキちゃんが少し体を起こした。
「ピョン吉ただいまー。」
ふにゃふにゃ笑うアキちゃんが、見に覚えのあるウサギの人形を抱きしめていた。

夏祭りの時に自分があげた人形だった。

思わずしゃがみながら、手で顔を覆う。
あげたことも恥ずかしいし、アキちゃんが大事にしてる様子が見てられなかった。

途端にアキちゃんが、上着を急に脱ぎ出して、視線がずらせなくなる。
床にあったパジャマらしいものに着替えだした。

「…飲み会心配だぴょん」
手で顔を再び覆ってため息をつく。
いつもこんな感じなのか…。といらない心配を始める。
…自分の心配なんて、いらないのに。
着替え終わったのか
急に布団に入り始めたので、その様子を見て安心する。
帰ろうと思った。
今ここで、自分がいなくなれば何事もなく終わる。

中腰になった時に、アキちゃんがベットの上で四つん這いになって自分の腕を掴む。
びっくりして顔を見る。

フラフラしてるけど自分の目をまっすぐ見つめるので、思わずドキッとする。
「アキちゃん…?」

アキちゃんは何かを言いたげだった。
「…いつも目が覚めちゃう。」
「え?」
「深津先輩…好きだよって言ったでしょ?花火の時」

だめだ。心がざわつく。
この続きを聞いちゃいけない。
頭ではわかってるのに、足が動かない。

「毎日、私も好きだよ。って朝起きたら言うの。」
アキちゃんがそう言って笑った。

腕を掴まれた手を引っ張られる。
「今日は、どこにも行かないで」
アキちゃんはちょっと怒った顔をする。

目が泳いだ。
凄く、懐かしくて苦い思い出。
曖昧で腹立たしいくだらない感情を思い出す。
こんな簡単に引き戻されるなんて。
こんな気持ちにさせるのは、アキちゃんだけ。

「うん…行かないぴょん」
アキちゃんの手が冷たくて、そう言ってゆっくり布団をかけてあげると、アキちゃんが両手を自分の体にまわす。

動けなくなって、恐る恐るそのまま横になった。
片腕を立てて、アキちゃんの顔を見下ろしながら、しばらくどうしようか考える。

「深津先輩、いる?」
「…いるぴょん。」
「だめだよ。もう置いてかないで。」
そう言ってまわされた手に力が入る。

どうして過ぎていった時間にそんなに鈍感なの?
自分勝手に、俺がおいていったのに。

「…置いてかないぴょん。」
その言葉を聞いて、アキちゃんが辛そうに顔だけをこちらに向ける。
「深津先輩…泣いてるの?」
「泣いてないぴょん。」
不思議そうに自分を見る。
「アキちゃん。」
「…ん?」
「ずっと会いたかったぴょん。」

「…やっぱり泣いてるよ〜」
アキちゃんがふにゃふにゃ笑いながら、カクンと顔が何度もおちる。

アキちゃんの寝息が聞こえてきて
寝顔を見ながら声を出さずに泣いた。
「ずっと、好きだよ。アキちゃん。」

アキちゃんから返事は返ってこなかった事に安堵する。

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