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資金調達もIPOもしたくないので睡眠テックスタートアップをやろうとしてやめた話: 教訓と背景

そもそも自分はスタートアップをしたいのか?」を考えている方の役に立てればと思い、睡眠テック事業をやめることにした背景と教訓をまとめます。

わたしの直近:
東大工学部卒業。経営判断を身につけるため、昨年、カンボジアで屋台ブランドを経営し、売却。現地スタッフ採用から店舗設計まで行い、4ヶ月で丸亀製麺も視察に来る、話題の屋台ブランドへ成長させた。日本へ帰国後、2019年2月中旬からヘルスケア領域で事業検討。

睡眠テック事業を準備していました

ケンブリッジ大学にマッチングされたメンターと月2度相談し、
著名な睡眠研究者の方々に協力いただき
世界のヘルスケアIT領域100社を分析ヒアリングも怠らず
ビジネスモデルから組織設計までを着実に決定させてきました。

経営判断は、フレームワークを自作して行いました。

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世界のヘルスケア領域の100プレイヤーを分析しました

アメリカを中心に健康xIT関連のビジネスを過去10年間分調べました。結果、ダイエットやフィットネスの市場が成熟している一方、睡眠テック市場は未成熟でした。

以下の項目でプレイヤーを分類して比較しました。
・ユーザーへの価値(JTBD) ...ターゲットの具体的なニーズ・市場の棲み分け
・出資額 & 増加率 ....事業の将来性・潜在的な需要の存在
・チーム規模 & 増加率 ...PMFの有無と市場成熟度
・売却年 ... 安定して収益の出る事業モデルの有無、市場成熟度

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(データをご希望の方はDMください)

ダイエットアプリやフィットネスアプリを分析して、

ヘルスケアアプリ市場の成熟パターンを把握しました。

例えば、今の睡眠市場は、「情報飽和」のステージ消費者が「何が自分にとってベストなソリューションか」わかっていない状況です。フィットネスアプリ市場で2010年以降立ち上がったエクササイズアプリのように、個人にあったコンテンツを提供し、(単なるトラッキングアプリよりも)生活改善に寄与するアプリに需要があると考えられます。

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既に睡眠や瞑想のアプリを使っている人に聞き込みをすることで、3−5年先の需要を探りました。

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睡眠研究や市場トレンドも踏まえて、いくつもアイデアを出しました。

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他のアプリとの差別化を考えました。

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ビジネスモデルを一旦確定させ、

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ビジネスが成り立つための仮説をあげ、

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仮説検証の計画を立てました。

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仮説検証のために、シナリオをいくつも作ってヒアリングをしました。

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次はアプリを開発して何日かユーザーに使ってもらう段階でした。

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しかし、睡眠スタートアップはやめることにしました。

理由は、2つ。
1:睡眠xモバイルアプリではIPO以降、5年後以降の展望を描けない
このため、出資を前提とした「スタートアップ」には向かないと判断しました。解像度高く勝ち筋を描けないまま、出資や共同創業者を募るのは私は絶対にしたくありませんでした。

睡眠領域で5−10年後まで価値を出し続ける事業は、睡眠に関する利用価値あるデータをもとに、顧客に変化を及ぼせるものだと今は考えています。今からモバイルアプリやウェアラブルで参入したとしても、睡眠パターンに関してAppleの持つ端末データ以上に価値あるデータと顧客ベースを持つプレイヤーにはなれません。消費者向けには長期的展望が描けないこと、長期的展望がある企業向けソフトウェア事業や、高精度ウェアラブルの開発は私のリソースでは不利なことを踏まえて、私の市場ではないと判断しました。(他に、モバイルアプリスタートアップを進めるとしたら、Appleが将来カバーしない市場を探る方向もあるかもしれません。)

2:IPOも10年スパンの事業も、今の私の幸せにはいらない
IPOと資金調達の現状を知るほど、「スタートアップ」の経営は、自分の見える経営景色の外にあって、今の自分の幸せにとっては必要ではないと思いました。

「睡眠スタートアップ」からの教訓

今回の件で私が学んだ教訓はこちらです。

・社長であっても顧客や出資者に雇われている。その就労条件を知っておくべき。
法人の代表であっても、すべての裁量があるわけではない。

例えばベンチャーキャピタルからの出資を受けていれば、数年以内にLPにリターンを返さないといけないベンチャーキャピタルが、代表の意思に反した早期の上場や売却を求めてくることもある。事業の方向性や役員、代表取締役の解雇についても、株式を持っている割合に応じて、社長以外が決めうる。
上場したら、多くの株主や顧客や役員に、雇われているようなものだ。

その領域や事業形態で、上場を目指すなら何年間かけたいのか、上場以降はどんな方向で、企業価値を毎年増大していきたいのか。
仲間と資金を集める前に、上場や売却に伴う条件を考慮し共有しているか。

結局、自分の生きるモチベーションを把握していなければ、途中で重要な方針変更(エグジット、代表交代など)を行うか、モチベーションと一致しない仕事をすることになります。
就活と同じように、事前に具体的な就労条件を知ることが、自己理解の助けになるでしょう。

・「高速なPDCA」も「事業開発」も、自分の比較優位を知ることから。
できないことを諦めるべき、というのではなく、ほしい未来に迅速に確実に辿り着くためには、自分の位置はいいヒントになります。
どんな市場でも、自分が他のプレイヤーより何らかの点で優れていることが利益を生む必須条件。
比較優位を作りうる、自分のスキルや関心やポテンシャル、チーム、ツール、市場の住み分けは何か
(この考え方は、例えば昨今スタートアップ経営論で注目されるeffectuation理論に詳しい。)

・スタートアップをするなら5−10年スパンで過去も未来も語れるべき。
市場を正確に理解
した上でしか、自分の、チームの、アイデアの、比較優位は判断できません。
学者や有名起業家の受け売りでは不十分です。
自分の市場で、自分の会社が、具体的にどう動けば他の会社がいても利益を出せるのかを、5−10年スパンで判断できるくらい高い解像度を持たなければ意味がありません。
そのためには必要な一次情報を決め、分析して過去から未来への導線を引けなくてはいけません。

・「スタートアップして資金調達してIPO成功」しても幸せとは限らない
自分なりの幸せを得られるだけでいいと思います。
私の場合は、「自分がいなくても事業が回るところまで、事業をつくりこむこと」で知的に満たされるので、 スタートアップという形式は必要ではありませんでした

これから

私はこれから、実感を持って語れる規模の事業をいくつも作っていきながら、経営できる事業規模を大きくしようと思っています。いつか、私が「スタートアップ」をする時は、市場の解像度が上がり、経営者として見える景色のなかに自然とIPOや長期拡大が見えた時でしょう。
直近では、短期スパンで収益回収する事業を作っていくことにしました。

【何らかのサイトを1ヶ月で開発から収益化まで持っていく】

という「カンボジアで屋台する」くらいアバウトで無謀なゴールをあと29日で達成することにしました。
現在開始から2日目です。

そこで......!!!協力者を探しています!!!
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