ITストラテジスト試験章立て-2009-1
X-Twitterを中心にIPA資格試験の情報発信をしてます。
ST試験を受験する方の参考になればと、公開されている過去問を章立てしてみます。
ちょっと古いものから始めますが、ITストラテジストの本質は変わりありませんのでご安心ください。
試験の性質上、どうしても文字が多くなります。
そのため、あえて細かい説明は省略し、淡々と組立のプロセスを残します。
お読みいただく方には「出来ていく過程」を追っていただければと思います。
さて、今回の問題はこちら。
階層1
はじめに、全体を囲う階層を設定します。
ここに悩むのは時間がもったいないので機械的に行います。
冗長で格好悪い表現に見えるかもしれませんが、素直に設問を引用します。
事業施策において対応した個別情報システム化構想の立案について
1.私が携わった個別システム化構想の立案対象となった事業施策の概要および情報システムの役割
2.個別情報システム化構想の立案において検討した仕組みおよび立案した個別情報システム化構想の概要
3.投資効果を高めるための構築方法および工夫と評価
階層2
次に、2階層目です。ここも、半ば機械的に仮置きします。
この後の「階層3」の内容によって、組み替えることもあります。
※解りやすいように一段ずらして記載しますが、試験ではその必要はありません。
事業施策において対応した個別情報システム化構想の立案について
1.私が携わった個別システム化構想の立案対象となった事業施策の概要および情報システムの役割
1-1.事業の概要と施策
1-2.施策において情報システムが果たすべき
役割
2.個別情報システム化構想の立案において検討した仕組みおよび立案した個別情報システム化構想の概要
2-1.検討した仕組み
2-2.立案した個別情報システム化構想の概要
3.投資効果を高めるための構築方法および工夫と評価
3-1.投資効果を高めるための構築方法
3-2.工夫した点および評価
階層3(仮置き)
最後に3階層目。ここに最も多くの時間を割きます。
仮置き→確定と、二段階に分けて対応します。
仮置きの段階で、本文の構成要素すべてを論述に適した場所に配置します。
事業施策において対応した個別情報システム化構想の立案について
1.私が携わった個別システム化構想の立案対象となった事業施策の概要および情報システムの役割
1-1.事業の概要と施策
・〇〇を背景に
・〇〇の事業戦略を策定していた
・〇〇を目的として
・〇〇の事業施策を策定する
1-2.施策において情報システムが果たすべき
役割
・情報システムが果たすべき役割を見極め、個
別システム化構想を立案しなければならない
・情報システムが果たすべき役割は〇〇である
2.個別情報システム化構想の立案において検討した仕組みおよび立案した個別情報システム化構想の概要
2-1.検討した仕組み
・事業施策に対する情報システムを検討した
・事業施策の〇〇において、〇〇の観点で有効
性があると考えた
2-2.立案した個別情報システム化構想の概要
・これらの検討結果を基に
・私は、事業施策の〇〇に対応するために〇〇
の仕組みが必要と考えた
・情報システムの有効性について、〇〇に説明
した
3.投資効果を高めるための構築方法および工夫と評価
3-1.投資効果を高めるための構築方法
・私は、個別情報システム化構想の投資効果を
高めるために〇〇が必要と考えた
・私は、情報システムの構築方法について〇〇
の観点で検討した
3-2.工夫した点および評価
・私が投資効果を高めるために工夫した点は〇
〇である
階層3(確定)
最後に3階層目を確定させます。
仮置きする中で、「QCDのうちD(戦略上においては変化への対応速度)が重要とする方が書きやすそう」と考えました。
全体像を探る中で、書きやすくするための制約条件を自ら設定することで、筋道を作りやすくします。
事業施策において対応した個別情報システム化構想の立案について
1.私が携わった個別システム化構想の立案対象となった事業施策の概要および情報システムの役割
1-1.事業の概要と施策
・競合他社の進出による顧客の流出がある
・IT分野で競合他社に遅れを取っている
・顧客獲得のための事業戦略を策定している
・地域におけるシェア〇〇%を目標
・A社の経営層は、事業戦略実現のために、顧客
満足度向上のために顧客サービス品質向上の
ための施策を必要としていた
1-2.施策において情報システムが果たすべき役割
・私は、A社に所属するITストラテジストである
・情報システムが果たすべき役割を見極め、個
別システム化構想を立案しなければならない
・A社の顧客サービス品質向上のための事業施策
において、情報システムが果たすべき役割は
社内システム間の顧客情報を素早く伝達し、
窓口担当者を支援するとで顧客とのコミュニ
ケーションを円滑化することである
・私は、カスタマーリレーションシップマネジ
メントシステムの構築を検討することとした
2.個別情報システム化構想の立案において検討した仕組みおよび立案した個別情報システム化構想の概要
2-1.検討した仕組み
・私は、A社の目的である顧客満足度向上のため
に、窓口担当者が顧客のニーズを常に把握で
きる状態にすることが有効と考えた
・たとえば
・過去の問合せ状況が解れば担当者が変わ
っても円滑に会話を続けることができる
・過去の購入実績が解れば、お好みの商品
を提案することができる
2-2.立案した個別情報システム化構想の概要
・これらの検討結果を基に、私は、ポイントサ
ービスによる顧客情報管理の仕組みが有効と
考えた
・これまでは顧客を特定する情報を持っておら
ず、顧客とのやりとりを記録できなかった
・ポイントカードに一意の識別番号を付与す
ることで顧客を特定し、顧客の情報を蓄積
することでニーズを的確に把握し、顧客サ
ービス品質の向上につなげることができる
と考えた
・私は、情報システムの有効性について、A社の
経営層に説明することにした
3.投資効果を高めるための構築方法および工夫と評価
3-1.投資効果を高めるための構築方法および工夫した点
・今回のシステムは、新規開発となる
・私は、個別情報システム化構想の投資効果を
高めるための工夫として、Saasを利用するこ
ととした
・なぜならば
・ポイントサービスはあくまで顧客サービ
スの一部であり、A社独自の強みではない
・一方で、顧客サービスの形態は日進月歩
であり、競合他社に遅れを取らないこと
が重要と考えた
・競合他社との差別化については、ポイン
トによる付加価値で行うこととした
3-2.個別情報システム化構想の評価
・この施策に係る投資額〇〇億円に対して、
見込効果は〇〇億円とした
・顧客流出による損失分を効果と見込んだ
・仮に自社開発スクラッチとする場合、投資額
〇〇億円となり、Saasのほうが優位であるこ
とを経営層に伝えた
・感触は良好であり、事業戦略実現のための
有効性にはついて十分な評価を得たものと
考えている
ここまでが、「章立て」の練習となります。
IT施策は先進的で立派なものでなくても問題ありません。
大事なのは問題の要素を漏れなく織り込むことと、設問1で掲げた目的を一貫することです。
要素を織り込むことは、割とすぐ対応できます。
一貫性を保つために、「章立て」の練習が必要です。
次に大事な点として、ここまでにかけられる時間は30分〜40分です。
これさえできれば、あとは修飾しながら書くだけです。40分で作れるようになるまで過去問を繰り返しましょう。
終わりに、私の著書も紹介します。
試験の攻略法ではなく、なにかとモヤモヤしがちな論述試験をどう捉えればよいか。を中心にお伝えしてます。
勉強を始めたばかりの方にお読みいただくものではないので、気が乗らなくなってきたときに思い出していただけると嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました✨
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?