ITストラテジスト試験章立て-2010-2

X-Twitterを中心にIPA資格試験の情報発信をしてます。

ST試験を受験する方の参考になればと、公開されている過去問を章立てしてみます。
ちょっと古いものから始めてますが、ITストラテジストの本質は変わりありませんのでご安心ください。

試験の性質上、どうしても文字が多くなります。
そのため、あえて細かい説明は省略し、淡々と組立のプロセスを残します。

お読みいただく方には「出来ていく過程」を追っていただければと思います。

立派な文章を見せるのが目的ではないので、より実践的な内容とするべく「本番で書くメモレベル」にしてます。

わかっていただきたいのは‥
「気張らずともほぼ日で出来る練習である」ことです。


さて、今回の問題はこちら。


2010-2

階層1

はじめに、全体を囲う階層を設定します。
ここに悩むのは時間がもったいないので機械的に行います。
冗長で格好悪い表現に見えるかもしれませんが、素直に設問を引用します。


1.私が携わった情報システムの追加開発の背景と概要について
2.私が行った業務の見直しおよび効果
3.業務の見直しに当たって、利用者の理解・協力を得るために工夫した点



階層2

次に、2階層目です。ここも、半ば機械的に仮置きします。
この後の「階層3」の内容によって、組み替えることもあります。


1.私が携わった情報システムの追加開発の背景と概要について
1-1.事業の概要および特性
1-2.追加開発の背景
2.私が行った業務の見直しおよび効果
2-1.私が行った業務の見直し
2-2.考慮した既存の情報システムの制約および業務見直しの効果
3.業務の見直しに当たって、利用者の理解・協力を得るために工夫した点
3-1.利用者の理解を得るために重要と考えた点
3-2.工夫した点および評価



階層3(仮置き)

最後に3階層目。ここに最も多くの時間を割きます。
仮置き→確定と、二段階に分けて対応します。
仮置きの段階で、本文の構成要素すべてを論述に適した場所に配置します。


1.私が携わった情報システムの追加開発の背景と概要について
1-1.事業の概要および特性
・(省略します)半ば定型化された文
1-2.追加開発の背景
・既存の情報システムが事業の変化に伴う業務の変化に対応できず、業務遂行に問題が発生する可能性があった
・A社の情報システム部門は、既存業務プロセスの影響を考慮し、情報システムの全面再構築ではなく、一部を改修することとした
・具体的には、〇〇機能の追加である

2.私が行った業務の見直しおよび効果
2-1.私が考慮した既存の情報システムの制約
・私は、システム改修の前に既存業務の見直しが必要と考えた
・なぜならば
 ・業務やシステムが整理されていない状態でつぎはぎに機能追加すると、システムも業務も肥大化・複雑化する
 ・既存の業務を整理し、重複や過剰を排除することが必要である

2-2.業務見直しの効果
・私は、既存業務と追加業務のうち、〇〇に重複があると考えた
・〇〇を簡素化することで開発コストが低下し、且つ将来のシステム運用が効率化されるものと考えた

3.業務の見直しに当たって、利用者の理解・協力を得るために工夫した点
3-1.利用者の理解を得るために重要と考えた点
・業務見直しにあたり、変更内容を利用者に受容してもらうことが重要と考えた
 ・具体的には
  ・システムだけではなく、業務の肥大化・複雑化も回避できること
  ・今回のコストを最小化することで、他の業務範囲の効率化に投資できること
・特に、利用者の現行業務を正確に把握し、業務品質を低下させないことを担保することが重要と考えた

3-2.工夫した点および評価
・理解、協力を得るために、熟練者への説明会のあとにアンケートを実施した
・アンケートの結果をフィードバックしながら、二度、三度と説明会を実施した
・その結果、当初は3割が懸念を示したアンケート結果が、1割未満まで減少した
・利用者の理解・協力を得ることができた



階層3(確定)

最後に確定です。
仮置きした要素に肉付けしていきます。


1.私が携わった情報システムの追加開発の背景と概要について
1-1.事業の概要および特性
・(省略します)半ば定型化された文
1-2.追加開発の背景
・A社の経営層は、顧客サービス向上のために競合他社並みのサービス提案業務の追加を計画していた
・既存の情報システムが事業の変化に伴う業務の変化に対応できず、業務遂行に問題が発生する可能性があった
・A社の情報システム部門は、既存業務プロセスの影響を考慮し、情報システムの全面再構築ではなく、一部を改修することとした
・具体的には、顧客への最適なサービスメニュー提案業務および機能の追加である
2.私が行った業務の見直しおよび効果
2-1.私が考慮した既存の情報システムの制約
・私は、システム改修の前に既存業務の見直しが必要と考えた
・なぜならば
 ・既存業務プロセスの途中に追加される業務である
 ・業務やシステムが整理されていない状態でつぎはぎに機能追加すると、システムも業務も肥大化・複雑化する
 ・既存の業務を整理し、重複や過剰を排除することが必要である
2-2.業務見直しの効果
・私は、既存業務と追加業務のうち、ワークフローに重複があると考えた
約15の承認プロセスを分解・簡素化することで開発コストが低下し、且つ将来のシステム運用が効率化されるものと考えた
3.業務の見直しに当たって、利用者の理解・協力を得るために工夫した点
3-1.利用者の理解を得るために重要と考えた点
・業務見直しにあたり、変更内容を利用者に受容してもらうことが重要と考えた
 ・具体的には
  ・システムだけではなく、業務の肥大化・複雑化も回避できること
  ・今回のコストを最小化することで、他の業務範囲の効率化に投資できること
・特に、利用者の現行業務を正確に把握し、業務品質を低下させないことを担保することが重要と考えた
・そのために、業務フローの確認だけでなく、現場熟練者へのヒアリングなどを実施し、現行業務を正確に把握した
3-2.工夫した点および評価
・理解、協力を得るために、熟練者への説明会のあとにアンケートを実施した
・アンケートの結果をフィードバックしながら、二度、三度と説明会を実施した
・その結果、当初は3割が懸念を示したアンケート結果が、1割未満まで減少した
・利用者の理解・協力を得ることができた



ここまでが、「章立て」の練習となります。
IT施策は先進的で立派なものでなくても問題ありません。
大事なのは問題の要素を漏れなく織り込むことと、設問1で掲げた目的を一貫することです。

要素を織り込むことは、割とすぐ対応できます。
一貫性を保つために、「章立て」の練習が必要です。

次に大事な点として、ここまでにかけられる時間は30分〜40分です。

これさえできれば、あとは修飾しながら書くだけです。40分で作れるようになるまで過去問を繰り返しましょう。



終わりに、私の著書も紹介します。

試験の攻略法ではなく、なにかとモヤモヤしがちな論述試験をどう捉えればよいか。を中心にお伝えしてます。

勉強を始めたばかりの方にお読みいただくものではないので、気が乗らなくなってきたときに思い出していただけると嬉しいです。

https://amzn.asia/d/6cvgSdp


最後までご覧いただきありがとうございました✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?