JR西日本におけるJR西日本宮島フェリー連絡乗車券(10月以降の発売について)

 JR6社とJR西日本宮島フェリー(以下宮島フェリー)は、宮島フェリー宮島駅への連絡運輸を設定し、連絡乗車船券を発売していた。しかし、宮島訪問税導入を機に、宮島フェリーをICOCAエリア(従前はPASPYエリアで、ICOCA等の10カードはPASPYエリアへの片乗り入れであった)とした上で普通乗車券の連絡運輸を見直し、普通乗車券の連絡乗車船券については2023年(令和5年)9月30日までの発売となった。

JR西日本の連絡運輸廃止についての掲示(JR西日本阿品駅)

 上記掲示は阿品駅にて掲示されていたものであるが、9月30日までに購入した連絡乗車船券は「宮島訪問税」が別途必要になる旨の記載がある。
 これは以下の2パターンが考えられる。
 
 1)9月30日以前に使用開始で有効期限が長く10月以降も有効期限がある乗車券についての注意書き
 2)9月30日以前に購入し、10月1日以降を有効開始日とした乗車券についての注意書き
 
 個人的にこの掲示は 2)の内容も含めたものと考え、9月30日以前に購入すれば、10月1日以降使用開始の連絡乗車船券も購入できるだろうと推測できる。
 また10月1日に宮島フェリーが訪問税とは別に20円の運賃値上げを行うため、旧運賃を購入できるメリットも有るのでJR各駅では10月1日以降使用開始の連絡乗車船券を発売するものだと考えていた。(過去の運賃改定ではよくある話ですね)

 早々と9月1日とかに10月1日以降使用開始の乗車船券を購入しようとしておけばよかったのだが、実は9月13日から有効開始となる宮島フェリー単独通勤定期券(1箇月)を購入したこともあって、連絡乗船券を買うなら9月下旬でいいやと思ったのが間違いであった。

 9月21日、呉に赴く用事があったので呉駅に寄り「1ヶ月後の宮島までの往復」の購入を申し出た所、マルス端末にエラーメッセージが出て発売が出来なかった(口座なしエラー)。
 この時係員氏は通達等は確認せず、「訪問税によるもので発売しないのだろう」とのこと。「運賃改定もあるからできるだけ今買いたいのですが?」と申し出るも、「ちょっと売れないです」とのことで退散。
 (この対応に問題ありと思う方は居られるかもしれないだろうが、私はそこは特には気にしていない。あまりにもイレギュラーであることを認識しているからだ)
 とりあえず期間もないのですぐに、JR西日本お客様センターに発売の可否を問い合わせることにした。
 これは駅員氏のことを信用していない訳ではなく(結論から言うと、発売が出来なかったのはマルス端末独自のものであって、制度的に発売できないわけではなかったのだが)、公示などで発売をしない旨の掲示やプレスリリースが全く無かったので、訪問税導入後も通常通りの発売であると考えられたからだ。

 さて、発売可否の問い合わせを9月21日にメールにて送付したところ、これが数営業日(9月21日は木曜であったので、翌週月曜ぐらい)で回答は出るだろうと思ってた所、これが来なかった。
 そういう質問を投げた人間が全く居なかったのだろうか?なんと9月29日(金)の昼過ぎまで返信がこなかった。(まあ仕方ないことであるが)
 その9月29日の午前中に何駅かで尋ねてみはしたが、やっぱりどの駅も「発売不可」との答えだったが、メールが来たことにより一変した。

 メールの内容を転載することは出来ないが、要約すると
 ◯連絡が遅くなり申し訳ない
 ◯9月30日までの購入であれば10月以降の連絡乗車船券発売は可能
 ◯券売機・みどりの券売機プラスのオペレーター発券は不可★
 ◯購入はみどりの窓口の係員に申告してほしい
であった。
 ここで、非常に気になる点が★である。券売機での発売が不可能なのは、JR西日本がMVの乗車券単体の発売が当日限りで(普通列車モード)で、前売を考えていないこと、時刻検索では9月1日から?着駅「JR宮島フェリー宮島」が候補に上がらなくなったこと(これは着駅選択後日付を10月以降に変えるとエラーになるのを防止した?)である。
 しかし、オペレーターモードではたしかに通常の経路自動案内などを利用した運賃登録による発売ではできないものの、「金額入力発売」なら可能である(10月1日以降も定期の連絡運輸があるため接続コードは切れないし、9月30日時点では普通乗車船券の連絡運輸は継続している)はずだ。しかし、それが「できない」という回答は、金額入力の発売を禁止していることが推定できる。

 とかく、このメールを旅先(最終日を外して宮島の観察を行った)ながらなんとか印刷し、メールと申込書を広島駅のみどりの窓口へ出し確認してもらう。
 とりあえず、大した区間じゃないので、現金払いとして申込書を出したところ、バックヤードに確認しに行かれ、再度戻ってマルス端末でできないことを確認した上で…

広島駅042発行 10/29~ 広島⇔宮島 往復連絡乗車船券

 なんと、昔から偶にあるという、裏POS(裏ではないが)発券の例に遭遇した。裏POS、いや正確には広島駅新幹線ラッチ内精算所(広島駅042の西POS端末)で券を発売し、現金を収受したら直ちに精算所に係員が出向き現金を精算所に納めて券が渡されるというシステムである。
 やはり、広島駅ではマルス端末での金額入力発売を行わず、違う手段に出たものである。
 ここでわかったことは、やはり西POS端末では10月1日以降の発売はロックされていないことだった(とはいえPOSの挙動なら当然だろう)。これはこれで貴重な資料になった。

 では、もう一つ気になることは、「西POS端末にチケットプリンタが接続されていない駅」ではどうなるか?であった。
 近いマルス駅は安芸中野等があるが、業務委託駅で発売はおそらく出来ないであろう。それゆえ、広島近辺の直営駅でみどりの窓口がある駅としたら、呉駅か岩国駅であるから、最寄りの呉駅を選んだ。

 さて、呉駅はPOS端末のチケプリがないため、考えられるケースとしては、
 1)金額入力
 2)補充券発売
の2択である。取り急ぎ呉駅で申告したが、「確認しないとわからない」とのこと。「明日受取で良いのでよろしくお願いします」と申込書とメールを引き渡し、帰宅後連絡があり「発売可能」との連絡。翌日伺うこととした。

 結論としては、出札補充券での発売であった。

呉駅発行出札補充券 10/29~ 呉⇔宮島 往復乗車船券

 受取に赴いた所、資料は準備されていたが、その場で補充券を記入して頂いたのが大変申し訳なかった。(おそらく11時の営業時間が終わったら締めるのではないだろうか?そのため補充券を書いて準備しておくと、未渡実績等の処理をしなくてはいけないのだろう。)
 補充券が準備されてなかった大きな原因は、担当係員様より電話連絡で訪問日時を訪ねられたのだが、私の予定がまだ見えず、訪問するのが午前午後の営業時間のどちらかが分からなかったので、どちらかの営業時間に行くと思う旨を連絡したためである。次回は受取日時をしっかり決めて行こうと思う。(ただ、この取り扱いは9月30日で終わったので、次はもうないのであるが)

 出札補充券の記載については、一般的な記入方であるが、特色なのは記事欄に「別途フェリー乗船場などにて入島税の納入が必要」とある。
 入島税は、「宮島訪問税」のことであり、他の地域(沖縄)での訪問税では「入島税」と呼ぶところもあるようだ。
 おそらくこの記入方についてはJR西日本の制度部門が作成した記入例であると考えられる。

 以上が宮島フェリー連絡乗車船券の2つの発売例であった。

<まとめ>
 ◯マルス端末による宮島フェリー連絡乗車船券は9月30日有効開始が最終発売
 ◯西POS端末では10月以降の有効開始日は可能(ただし、10月1日以降は普通運賃を削除し、単価入力発売になると思われる)
 ◯基本的にJR西日本では有効開始日10月1日以降の宮島フェリー連絡乗車船券は(出札)補充券を用いた

 (あとがき)
 10月以降の宮島フェリー連絡乗車券の入手については、ほぼ入手は不可能であったように思います。私のようにJR西日本に問い合わせメールを投げ、その回答を所持・提示して駅担当者に渡すことが出来る状況でないと、ほぼ購入することは不可能だったのではないでしょうか。
 おそらく上記手段以外では相当の交渉が必要だったと思う程、この特殊な状況について全く周知されていないと感じました。実際に10月1日以降を有効開始としたの宮島フェリー連絡券を手にされた方はかなり限られているでしょう。

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