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珍しい名前との再会

学生時代、とても変わった名前の後輩がいた。変わった名前、という表現がふさわしいかどうか、わからない。仮名で書いたら、よくあるというほどではないけれど、珍しいというほどでもない名前だ。名前に使われている漢字も、決して難しい漢字ではない。

しかし、その名前の漢字をみて、正しく読める人はあまりいないのではないだろうか。というより、それはなんとも名前らしくない名前、その字は名前に使いそうもない(名前に使おうと考える人がいるとは思わない)漢字なため、「何か特別な名前なのだろう」と、ひねりにひねってしまい、正解にたどり着かない。そんな名前だった。

なんでも名付け親となった彼女の祖父が、簡単には読めない名前(このあたりの記憶はあいまいで、もしかしたら「絶対に読めない名前」だったかも…)をつけると張り切って考えたのだそうだ。

その彼女に、いや、その名前に、10年ぶりくらいに偶然出くわした。住んでいる場所も、業種も、私が知っている時期のものとは異なっていたけれど、間違いなくそれは彼女だった。

それは、彼女のそれまでの仕事とは180度違うといっても過言ではない仕事だった。彼女の人生に何があったのか、想像してみたが、何かわかるはずもなかった。

これは、「同姓同名の別人」と過ごしたこの夏よりも、約一年半前の出来事だ。


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