たんじょうび記念『第十歩』
ボロボロの廃車が目に入った。
誰もいない樹海で、僕と同じことを考えた人がいたのだろうか。
音を立てぬように歩きながらズボンの裾を水に浸していく。
あった。
「久しぶりだね」
声をかけてからもう聞こえないのだと思い出す。
最後に、見てよかった。
僕は大樹・くれさんを見上げて呟いた。
小さい頃から、山で育った。
正確には田舎なのだけど、いつも山にいた。
友達は山で、遊び相手は川だった。
不思議な力、といういわれがあった。
110年に一度、山と話せる子供が生まれるという。
おとぎ話のようなその子供に選ばれたのは僕の友達だった。
紫苑といって優等生だった。
紫苑なら神様が選んでくれたのも納得できると思った。
でも、不思議なことが起こった。
「台風が来ないよ」と言うと台風が来て「暑いね」というと雪が降った。
さすがにみんながおかしいと思い始めて一週間経った、ある日
紫苑は行方不明になった。
村の反対側にあるちっぽけな樹海に逃げたと言われている。
それは合っている。
僕は紫苑に相談され、一緒に樹海まで行ったのだ。
僕も紫苑も11才だった。
「最近ね、母さんと父さんが揉めるんだ。で、優等生を演じることに疲れちゃったんだよ。俺、家出する。色々迷惑かけるかもだけどよろしくな」
「もちろん。落ち着いたら連絡くれよな」
「ありがとう、水苑」
紫苑に名前で呼ばれて、誇らしくなった。
それが、この樹海だった。
紫苑と別れた後、家に帰った僕は高熱を出した。
耳が聞こえなくなった。騒がしすぎたのだ。
山が、川が、森が、樹が、喋っていた。
選ばれたのは、僕だった。
それから十年が経ち、紫苑との連絡はとだえたままだった。
そんなとき、風が噂を運んできた。
『紫苑が帰ってくるんだって。山が仕返しをするんだって。
山は怖いよ。魅入られたら終わりだよ。山は怖いよ』
その噂にん背筋がぞくっとした。
山の怖さは知っているつもりだった。
狼、鹿、熊。
人の命を容易く奪える獣たちが山に入る。
紫苑には帰ってきてほしくなかった。
でも、紫苑は帰ってきた。なにも起こらなかった。
代わりに、仕返しされたのは僕だったみたいだ。
いいや、元から山は僕に仕返しするつもりだったのかも。
風は紫苑が仕返しに合うとは言っていなかったから。
僕は山の声が聞こえなくなった。
そして、今何も聞こえない静かな樹海にいる。
樹海の真ん中にそびえるくれさんは僕より100歳年上だ。
僕はくれさんに話しかけた。
「ねぇ、くれさん。僕は何か悪いことをしたのかな。そうか、したのか。
じゃあ仕方がないね。あと2時間もあるね。何をして過ごそうか」
僕は喋らないくれさんに一方的に話しかけた。
最も、僕にくれさんの言葉が聞こえていないだけかもしれないけど。
ふと、目が覚めた。
うとうとしていたみたいだった。
本能的に時間だ、とわかる。
くれさんが起こしてくれたみたいだった。
「ふぁ〜」
カチッと聞こえるはずのない時計の針の音が聞こえて、僕は立ち上がった。
大樹に向き直って、
「誕生日おめでとう、くれさん」
『水苑も誕生日おめでとう』
風が揺らした木の葉が確かにそういった気がして、僕は笑う。
くれさんは121歳に。
僕は21歳になる。
新しい一歩をふみ出す日。
今日は、くれさんと僕の誕生日だ。
あとがき
みなさん、今日は何の日か覚えてますか?
あ、タイトルに書いてあるって?
それを言っちゃったらおわっちゃうじゃないですか!
それなたタイトルに書くなって?
はい、すいません、反省します。
と、いうわけで、本日は私の誕生日です!
この小説は昨日の夜に急いで仕上げました。
誕生日、バリバリ堪能してきます。
今日で、私は11才です。
11才といえば、ハリーに手紙が届いた年ですね。
私はずっと届くと信じていました。小3までww
結論をいうと届かなかったです。
ここまで読んだら、スキ、フォローしてくれると嬉しいです!
フォロワー200人目指してます!
エッセイ的な別記事も書いているのでそっちも読んでくれると嬉しいです!
コメント欄に『お誕生日おめでとう!』と書いたら
記事の投稿頻度がさらに上がるかも!
なんちゃって。
でも、してくれたらめちゃくちゃうれしいです!
いつも通りあとがきが騒がしいですねww
それでは、おつがさ!
今日が誕生日のすべての人へ
Happy Birthday!!
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