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チアーヌ詩集

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チアーヌ名義で書いた詩をこちらにまとめようと思います。 お気軽に感想ください!
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2023年7月の記事一覧

黒ウサギ

美しい女人の影に隠れ そっと白い腹を見せる 黒ウサギ その白い腹は 仰向けにならないと 見え…

捨てる

すぐにいろんなものを 捨ててしまう 思い出になったら 怖いから 思い出になる前に 捨てる …

産婦人科病棟

入院病棟の生暖かい清潔な 空気を吸いこみ眠る 窓の外に見える 看護師寮では 真夜中にドアが何…

向こう側

気が動転し 何も考えられない とりあえずコンビニで そばを買い ほぐしながら 食べる 明日は…

住宅街

夜になろうとしている 駅と小田急線 歩いて歩いて 一体ここはどこ 線路が遠くに見える でも見…

泳ぐ魚

わたしが歌っていても お魚にわたしの歌は聞こえない お魚は水の中で泳ぐだけ ただひたすら泳…

不倫温泉

温泉の 小さな露天風呂は 微かに 排ガスの 匂いがした 生垣で囲まれた 小さな屋上で 年の離れた男と 星空を見上げる そっと からだを合わせたら 温まる ほどける とろける そのときだけ 今夜二人で十万円だから 今度はもっと高いところへ 行きたい からっぽになるほど 遣わせたい あなたが 何処にも行けなく なるように 初出 現代詩フォーラム 20040404

待ち合わせ

今日はとても疲れてしまったので あなたに会うことはできません 好きだけど あなたに会うと …

回廊

もう私を忘れた あの人 ラヴェルのメヌエットが 似合う 同じものを 見ているのに 見ているも…

幸夢

午前3時 タクシーに乗ろうとしていたのに いつのまにか 寝てました どっかのマンションの生…

勲章

体中の キズを辿る 一番大きいのは 三歳のときの やけどの痕 足だから目立たないのに ママは…

ひなた

ああ、晴れた 良かったね 公園には お友達が いっぱいだよ 光りと風 埃と喘息 排ガスと紫外線…