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片耳が聞こえない生き方

先天性で片耳が聞こえない。
少しだけ聞こえる音域が残っているようだが
補聴器を着けても効果がないと言われている。

幼い頃の消えそうな記憶は
母親に、色んな病院に連れて行かれた。

学生の頃、母の友人に聞かされた。
「あなたの耳をどうにかしたくて
亡くなったお母さんは
遠方の大学病院へも行ってたみたいだ」

記憶がないし小学校に上がってからは
母の闘病に周りも必死だったので
曖昧はますます曖昧になる…

片耳が聞こえなくても生活に支障はない。
ただ、どこから音が鳴っているのか分からない。
右へ左へキョロキョロしてしまうことがよくある。

知人はもちろん、美容院や接客を受ける時は
必ず伝えるようにしている。
無視されてると思われたくないから
私なりのマナーだ。

片耳が聞こえないにも関わらず
聴こえる耳は突発性難聴を繰り返した。
耳はどうにも、私を聞こえなくさせたいらしい。

ある時の突発性難聴は、聴こえのない耳に
爆音な超音波と蝉の鳴き声を残した。
耳はますます聞き取りにくくなった。

24時間、ずっとうるさい…
静かな夜が好きだった。
静かな夜にまた行きたい。

思っても無理だったので切り替えた。
いつか静かな夜を迎える日は死ぬとき。
それまでは、今の環境で耐え抜こう。

突発性難聴は早期治療で治るのが大半。
ある時の耳鼻科医は
「1時間でも早い投薬で聴力は戻るから、
とにかく早く来て!
48時間超えたら無理かも知れないから!」

知識はあったが切羽詰まる言い方が有り難かった。
知人に話したら意外にも突発性難聴の治療が
早期治療なことを知らない人ばかりだった。

去年の夏の突発性難聴は、少し酷かった。
私の耳から日常生活の音域を抜いた。
例えて言うならばクイズ番組の
「ピンポーン⤴︎」「ブー⤵︎」は聴こえるが
質問も回答も聞こえない。

回復はしたものの、今までの聞こえ方とは違う。
聞こえは当たり前ではない。
「今」は当たり前ではない。
それが私のひとつの生き方でもある。

耳のことは書きたいことが沢山あるので
またの機会にも書いてみたい。

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