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大喜利のお題を作るときに気をつけていること

こんにちは、木曜屋です。

お題とは、大喜利に欠かせないものです。

私はテトラボ、大喜利バッティングセンター、木曜屋杯などなど、お題を作る機会がここ1年でかなり増えました。

私が大喜利のお題を作っている時に、個人的に心掛けていることや、気を付けていることを書きます。


お題を作るときに心掛けていること

・お題に沿って回答することができないお題にならないようにする
・お題に沿えば沿うほど損をするお題にならないようにする
・誰にとっても有利不利があまり出ず、なんとなく平等なお題にする

お題を作っていると、気づかないうちに、どうやってもお題に沿えないお題や、お題に沿うとウケるのが難しくなってしまうお題、特定の人が大きく得をしたり損をしたりするお題になってしまうことがあります。もちろん、すべてを完璧にできるわけではありませんし、特に3つ目はかなり難しい話になってしまうので、「あまり」とか「なんとなく」とかという言葉を使ってお茶を濁しているわけですが、まあ、だいたいこんな感じになればいいなと思ってお題を作っています。

あと、もうひとつ、

・自分の意図と、お題の文章(画像)が乖離しないようにする

というのもあります。というよりも、すべてはここに集約されます。自分の中の「こんな風なお題になればいいなあ」といった考えと、お題の文章が一致していれば、お題としては完成されたものになります。これを目指してお題を作っています。
いやそんなの簡単でしょ、と思ってしまうのですが、お題を作る側の頭の中を読む側(回答者や観覧)に伝えるのは案外難しいものです。特に、1人に対してではなく複数人に対して同じ内容を伝えなければならないので、誰かとおしゃべりするのとはまた違った頭を使わなければならなかったりします。

今あげた、心掛けていることを達成するために、気を付けているポイントがいくつかあります。このポイントをクリアすれば、まあ最悪なお題にはならないだろうというものです。毎回確認しているわけではなく、ちょっと違和感を感じた時にお題を改題する際の指針となってくれます。

(本当はもっといろいろあって、それも書きたいのですが、それはまた別の機会に。今回はもっとも重要なものに限らせていただきました。)


①お題の文章に文法的な誤りはないか?

(例)
大会でいい結果を残せなかったプロゴルファーの選手が汚名挽回のためにやった頓珍感なこと

・「プロゴルファー」がもう選手を表す言葉なので「プロゴルファーの選手」というのは自然ではありません。
・「汚名挽回」は「名誉挽回」か「汚名返上」の誤りです。
・「頓珍感」は「頓珍漢」の誤りです。

(改題例)
大会でいい結果が出せなかったプロゴルファーが名誉挽回のためにやった頓珍漢なこと

・間違った文章には、沿った回答をすることはできません。私が回答者の場合は、そこまで気にならないかもしれませが(嘘です、かなり気になります)、しかし、お題を作る立場からすると、やはりミスはなくしていかなければなりません。自信のない言葉がある場合は、すぐに調べるようにしています。今はすぐに検索できる時代なので大変たすかりますね。


②お題の文章に矛盾がないか?

(例)
視聴回数0回のYouTubeの動画に書かれていたコメント

・視聴回数が0回なら、誰も見ていないわけですので、コメントを残すことはできないはず(できる手法があるかもしれませんが、やはり自然ではありません)
・これは矛盾とは少し違いますが、「視聴回数0回」というのも少し違和感があります。お題作成者は「全然見られていない動画についているコメント」がどのようなものかを聞きたくて、このような書き方をしていると思われますが、その場合に「視聴回数0回」という設定は適切なのかを考えなければいけません。

(改題例)
元野球選手が始めたYouTubeの、再生回数2ケタの動画についていたコメント

・上手くできたかちょっと疑問ですが、矛盾は解消されました。矛盾のある文章も先ほどと同じく、沿った回答をすることはできません。
・あとYouTubeは本当にさまざまな人が多種多様な動画をあげているので、「YouTubeの動画」だけでは、何も言っていないのと同じくらいのことだと思っています。今回は「元野球選手が始めた」とつけることで、範囲を狭めてみました。(余談ですが、「インターネット」という言葉も同じように、「この世界」と言っているのと同じくらいのことだと思っています)

③お題で使われている情報に誤りはないか?

(例)
100万年前の世界にタイムスリップしたおばさんが恐竜を目にして一言

・恐竜は約6600万年前に隕石によって滅んだと言われています。100万年前に恐竜はいません。

(改題例)
大昔にタイムスリップしたおばさんが恐竜を目にして一言

・「大昔」という言葉にしてみました。「ジュラ紀」などにしなかった理由は、回答で使われた恐竜などがその時代にいなかったりして、それがノイズにならないようにです。(例えば、ティラノサウルスはジュラ紀にはいません)

(例)
ウルトラマンが東京タワーを踏みつぶして一言

・ウルトラマンは身長が40m(他のウルトラマンも50m前後)なので333mある東京タワーを踏みつぶすことはできません。

(改題例)
ウルトラマンがビルを踏みつぶして一言

・そんなに固いことをを言う必要はないのかもしれません。ウルトラマンは空から飛んできて東京タワーを踏んでしまったのかも……。しかし、ここでの、お題作成者の思惑は「ウルトラマンが建物か何かを踏みつぶしてしまって言ったこと」を答えてほしいというもののはず。ならば、東京タワーではなく、ビルなどで良いわけです。東京タワーにこだわるのなら、「踏みつぶして」ではなく「壊してしまって」などにすれば、作りたいお題にかなり近いと思います。意味合いが同じ文章に変更できるなら誤情報は取り除くべきです。

④お題の解釈が分かれてしまう書き方になっていないか?

(例)
人気がないサッカー選手が始めたラーメン屋、どんな店?

・この書き方だと「人気がない」のが「サッカー選手」なのか「ラーメン屋」なのかがわかりません。ラーメン屋は繁盛しているのかもしれないと思って作られた回答は、「ラーメン屋が人気がない」と読んだ観客にはお題に沿っていないように思われてしまうでしょう。回答が悪いのではなく、お題が原因でウケないという悲劇は、なんとしても避けなければなりません。

(改題例)
人気がないサッカー選手が、副業で始めたラーメン屋に行ってきたみたいですね。どうでしたか?

・サッカー選手の人気がないバージョン。

有名サッカー選手が副業で始めたラーメン屋、全然人気が出ません。どうして?

・「サッカー選手に人気がないからでは?」という話で終わってしまう気がしたので、「有名」を付けることで、「有名なのになぜか人気が出ない理由」を答えさせるお題にしました。

⑤お題に意図のわからない数字や単語を出していないか?

まずは数字から。ランキングお題を例にとってみます。

(例)
無人島にひとつだけ持っていくとしたら何?」ランキング、第1位は「ナイフ」ですが、第126位は何?

・「126位」という順位はどういう意図があるのでしょうか。下位であるということを言いたいのだと思いますが、このお題だけでは何人がこのランキングの質問に答えたのかがわかりません。そして126位ということは、少なくとも2票以上を獲得した125個の無人島に持っていくものがあるということです。1万人以上に聞いた質問で1票しか入らなかったものということなのでしょうか。

(改題例)
「無人島にひとつだけ持っていくとしたら何?」というアンケートを1万人に取ったときに、1票しか入らなかったもの

(例)
好きなフルーツランキング、第8位は?

・栗とか梨なのでは。どうやって答えることが前提のお題なのでしょうか。「ジャンボスーパーカーパイナップル」などと答えればよいのでしょうか。それがお題作成者の意図なら、

(改題例)
おもしろフルーツ

・これで良いわけです。
・お題に数字を出すときは、本当にその数字が自分の意図と合っているのかを確認する必要があります。数字の入っているお題は、項目の②と③と⑤で例に出しています。つまり、数字が入っているお題はそれだけ良くないお題になりかねないということです。(これはめちゃくちゃ個人的な考えの話ですが、大喜利のお題というアナログなものと、数字というデジタルなものは相性が悪いのではないか思っています。)

続いて単語です。

(例)
オバケが働いているコンビニ「セブントゥエルブ」ってどんなの?

・セブンイレブンがセブントゥエルブだったら、オバケと何か関係があるのでしょうか。「セブントゥエルブ」である必要がわかりません。それならば、「オバケが働いているコンビニ、どんなの?」で良いわけです。

(改題例)
バケが働いているコンビニ「ヘブンイレブン」ってどんなの?

・これなら「オバケだからヘブンなのね」と意味があって良いと思います。(オバケだからヘブンというのは少々強引ですが……)しかし、これでは「ファミチキ」や「ポンタカード」といった要素を使った回答が、若干沿っていないと思われてしまう可能性があります。悩ましい。私が自分の会でこのお題を出すなら、司会として「セブンイレブンじゃなくてもいいですからね~」みたいなことを言うかなあと思います。たまたま似ている名前なだけだということで。
・ちなみに、

コンビニ「ヘブンイレブン」ってどんなの?

とだけ書かれたお題もあります。これでは「ヘブンイレブン」がどのようなコンビニなのかの情報が、お店の名前だけしかなく、不親切な印象を私は受けます。そこから、どうやって回答をしていくかを試すお題なのならばしかたないのですが、個人的には出したくありませんし、回答したくないかも……。回答者も観客も見ている方向がバラバラになって、何を出してもウケないという状況が考えられるからです。

⑥お題が公序良俗に反していないか、センシティブな内容すぎないか?

(例)
スタジオジブリが監修したアダルトビデオのタイトル、どんなの?

・もちろん、このようなお題があっても良いです。個人的な、友人たちと楽しむ大喜利の会でこのようなお題を出すことにまで「よしなさーい!」という気持ちはありません。ディープなお題も出るであろうイベント(なんば紅鶴の水着下ネタ大喜利など)できわどいお題が出されることも、参加者はそれをわかったうえで参加しているので問題ありません。
しかし、テトラボなどでこのようなお題を出すことは、私はしません。今日初めて会う人や、付き合いの浅い人、様々な性別、年齢の人が集まる会で出すには不適切だと思うからです。

・例として挙げたお題はいわゆる下ネタお題ですが、他にも、病気や事件、訃報や災害などの悲しいニュース、差別的な問題などを題材にすることはしていません。これは、お題作成者だけの問題ではなく、回答者を巻き込んでしまう問題です。大喜利のお題は、回答者に回答をいわば強いるわけです。そこで、性的な回答や差別的な回答を強いるようなことはあってはいけません。関わるだけで一種の共犯になるようなお題を出してはいけないと思っています。

※これは私の個人的な思想ですが、お題ではなく、大喜利の回答では何を言っても良いと思っています。流石に私の会で、めちゃくちゃなことを言う人が現れたら「ちょっとさすがに抑えてもらっていいですか」と注意するかもしれませんが。どのような回答をするのかというのは、回答者に与えられた権利だと思っています(なので、不謹慎な回答を強いるお題というのは、そのような回答をしないという権利を侵害していると思うのです)。なので、むやみに回答を抑圧するようなことは避けなければいけません。まあ、不謹慎な回答が出たら「やめてください!」とは言いますが。


以上、6つのポイントをあげました。大喜利のお題については、まだまだ思うことがあるので、機会があればまた書きたいと思います。この記事がお題について考えるきっかけになってくれれば幸いです。

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