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茶源郷「和束」へバスツアー


きょうと介護保険にかかわる会 
第118回研修会 「特養わらく見学と周辺観光」
行き先:京都府相楽郡和束町
日 時:2022年4月16日(土)
参加人数: 会員18名


もうガマンの限界。いざ!

 かかわる会の研修会は座学が基本ですが、毎年春先には部屋を飛び出し、施設見学会と称して方々に出かけていました。ところが新型コロナ感染症のまん延で、一昨年から施設見学が叶わなくなっています。桜の市原がええなーとか、綾部で元気なお年寄りの姿を見てみたいなーとか、理事会にいろんな企画案が提案されるのですが、その都度、この状況ではまだ無理でしょと反対意見が出されます。見学先は介護施設なので、面会さえ制限しているこの時期に部外者を受け入れてくれる道理はありません。
 ということで2年間ガマンしてきたのですが、今年は違いました。三評(第三者評価)で和束に行ったことのある笠原さんが、「特養から見える茶畑は最高、和束は桃源郷みたい」と熱く語ると、自粛に疲れたみんなの中にもフツフツと思いが伝染して行きます。そこに「行きましょう!施設に入れなかってもいいじゃない」と中川さんの鶴の一声。かくして和束へのバスツアーが実現することになりました。

京都駅八条口に集合 

マイクロバスのミニ講座

 八条口を9時半に出発。会員18人を乗せたマイクロバスは第二京阪を一路和束へ向かいます。ずっと自粛生活が続いていたこともあって、久しぶりのお出かけにみんなニコニコされています。
 しばらくすると一人一人にお茶とおやつが配られて至れり尽くせり。おやつに、遠い昔の遠足を思い出したのは私だけではなかったと思います。

おやつの詰め合わせも授産施設のものでした。

 出発して少し落ち着いた頃、参加者の奈倉さんが「ちょっとお話ししていいですか」とバスの後ろの席から声をあげられました。奈倉さんは老年科のお医者さんで、かかわる会の研修でも2月に「日本の医療と介護の特徴」というタイトルで講演をしていただいています。

奈倉先生のミニ講座が始まりました

 何が始まるのかとみんなが耳をそばだてる中、奈倉さんはユーモアを交えながら老いとのつきあい方についてお話をされました。
『老いは病気と違って治療や回復というのは望めません。抗うことはできず、徐々に衰えて行くのは仕方がないのです。しかし、最近、歳をとってからも新しい能力は開発できることがわかってきました。ですから、これから大事なことは「再開発」ということになります。新しい身体と新しい心を開発して100歳まで元気に生きましょう』
 高齢者にとってはなんだか希望のもてる話で、みんな目を輝かせて聞いています。すかさず笠原さんから「どうすれば再開発できるんですか?」と質問が出ました。奈倉さん曰く、再開発には①好奇心を持って新しいことにチャレンジして行くこと、②億劫がらずに出かけること、③コミュニケーションの機会も大切、ということでした。
 なんのことはない、このバスツアーこそ「再開発」なんだと気づいて、なんだか得した気分。道中に、こんな素敵な話が聞けて、もう元を取った感じです ^^;

窓外に茶畑が出てきました
山の上の方まで茶畑が拓かれています

特別養護老人ホームわらく

わらくに到着 感染予防で部外者は立入禁止
太陽教の信者たち 掌を太陽に向けると暖かくなるらしい

 予定より少し早く、11時前に「わらく」に到着しました。

 「わらく」は旧中和束小学校の跡地に平成17年につくられた総合介護施設で、1階にデイサービスセンター、ショートステイ、2階には特別養護老人ホームがあり、居宅介護支援事業所も併設しています。

 予想していた通り、施設見学はコロナ対策でむずかしいということなので、中庭に移って施設長の稲塚功さんからお話を伺うことになりました。
稲塚さんの後ろについて建物の裏側に回ってみると・・・

中庭のゲートボール場で話しましょうかと稲塚さん
どーん!目の前のお山ぜんぶが茶畑です
これが「わらく」の全貌。どの部屋からも茶畑が真正面に見えます。

青空教室 by 稲塚施設長

気持ちのいい青空のもとお話が始まりました

 中庭のゲートボール場にブルーシートを敷いてもらい、思い思いに座って稲塚さんのお話に耳を傾けました。カラー刷り14ページの資料からは稲塚さんの意気込みを感じます。
 まずは和束町の話から。人口3700人、高齢化率48%と高齢化の進む過疎の町ですが、いいとこ探しをしてみると、茶産業や豊かな自然環境があり、近隣地域の最新技術も吸収できる好立地、日本の高齢化を先取りするモデルケースになるような取り組みをしていきたいとのことでした。
 その後、話は施設の話になるのかと思いきや、和束町の魅力の話に移り、町おこしの話になり、稲塚さんの結婚式の話からハワイへの新婚旅行の話になって、あれ、この話はどこへ行くのかと不安になった時、話は急転直下、稲塚さんが新婚旅行の帰りの飛行機で9時間かけて考えた人生設計が披露されます。

手鍬1本で山を切り拓き、この和束の茶畑を作ってきたお年寄りたち。彼らの思いや生きがいを引き出し、大切にしながら、最後まで後悔なく生ききれる施設、生ききれる町を作っていきたい。
それが稲塚さんのライフワークでした。

 稲塚さんの話の後、笠原さんが三評に来たときの印象を紹介されました。いま施設長から伺った熱い思いがスタッフに浸透して、素晴らしい運営をされているというお話でした。

 私たちは、介護を考える時、施設や制度、サービスといった狭い範囲で考えがちですが、稲塚さんの話を聞いて、個人は家族に、家族は地域につながって、介護もコミュニティづくりの一要素であることを改めて感じさせられたのでした。


茶摘みシーズン目前 茶農家見学

 「わらく」から見える茶畑は、実は稲塚さんの奥さんの実家。ということで予定外の見学に寄せてもらうことになりました。
 茶摘みのピークは5月〜7月で、連日朝から深夜までの重労働だそうです。茶摘みの時期が遅くなると売価も下がってしまうので一家総出の作業、この時期は「わらく」でもショートステイが満杯になるとのことでした。
 今は茶苅機で摘むので以前より作業は楽になったそうですが、機械を持つ二人の呼吸が合わないとうまく刈れません。この時期、夫婦喧嘩は厳禁だそうです。

稲塚施設長の奥様の実家の茶畑


稲塚さんのお義父さんから製茶の工程などを教えてもらいました。


お弁当食べて
くつろいで
萩原さんの肩甲骨ストレッチセミナー
個人治療も承ります

和束茶カフェで筍を買い占める

 「わらく」を後にして向かった先は、車で数分のところにある「和束茶カフェ」、お茶製品や地元の特産品を並べたミニミニ道の駅のようなところです。
 中高年ツアーに土産物屋さんは欠かせません。コロナの影響で人の減っていたところに、マイクロとはいえバスが横付け、しかもみんな購買欲旺盛ですから、店の人には喜んでもらえたと思います。
 

地元物産品の店、茶製品の店、カフェなどが併設
お土産買いました。


青もみじの美しい一休寺

酬恩寺 一休宗純によって再興されたので、通称は一休寺
一休宗純は皇室と縁のある方
誰が呼んだか「青もみじ」青天に映えて美しい

 方丈庭園を眺めなから、ご住職にお寺の解説をしてもらいました。
そのあとはくつろいだり、お抹茶をいただいたり、迷子になったりして過ごしました。
 暑くもなく寒くもなく、青天の空の下には気持ちのよい風が吹いて、みんな思い思いに命の洗濯をしました。

ちゃんと真ん中を歩きましたよ。


あ〜楽しかった

 16時45分、バスは無事に八条口に到着しました。
日帰りのツアーでしたが天候に恵まれ、充実のプログラムに身も心も満たされました。
 昔、息子が3歳くらいの頃だったでしょうか、旅の終わりにシクシク泣き出したことがあります。「どうしたの?」と聞いたら、「お父さん、なんで楽しいことはすぐに終わってしまうの?」と言ってまた泣くのでした。
私は泣きませんが、気持ちは同じです。ほんと、あっという間に1日が終わってしまいました。
さあ次はどこに行きましょうか。その時はぜひ、ご一緒しましょう。

お疲れさまでした。


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