1989
僕の大好きなクリトリック・リスの曲で1989という名曲がある。
撮影中でもこの曲をやられると、目頭が熱くなり叫び熱狂してしまう。
1989は人生を変えた一曲と言ってもおかしくない。
この曲を初めて聴いた時にめちゃくちゃ泣いてしまった。
当時、僕はカメラマンとして何が出来るのかなとか、センスはないからやめようとか考えていた。
でも、やりたい気持ちはまだあるし、どうしようかなと模索していた時に、ふと昔見たクリトリック・リスを思い出し、面白かったから見てみようとYOUTUBEで検索してみたのが始まり。
流れた映像にはハゲたおっさんがデフレパードのTシャツを着て、下はパンツいっちょ、股間にはテルミンがついていた。
ああ。コレよこの姿よと少し笑いながら聴き始めた。しばらくすると、気がつかないうちに涙がこぼれ落ち声を上げて泣いている自分がいた。
ハゲたおっさんが歌う最高のハゲリカンドリームソング。過ぎ去った青春の切なさがギラギラと輝き、まだまだやれんだろ!ってぶん殴られた気分だった。
バンドを始め、夢見ていたものには中々手が届かず、結婚を気にバンドはやめ就職。
その後、離婚してなんとなくカメラを始め、いつの間にかまた夢を見始めた僕の心にめちゃくちゃに突き刺さった。
大好きなこの曲で、凄い印象に残る歌詞がある。
「夢の賞味期限は想像以上に短く、随分前に腐って捨てた。濁ったレンズの奥底にフラッシュバックとなって蘇る」
ずーっと見ていたかった夢は諦めて捨てたけど、心の何処かには引っかかっていて、まさにフラッシュバックのように蘇り、楽器をカメラに持ち替え、当時散々悩んだような事をまた悩み、模索している僕には最高の歌詞だった。
それから、クリトリック・リスの事を調べ、2019/4/20に野音ワンマンライブをやる事を知ってまた泣いてしまった。
パンイチハゲのおっさんが野音ワンマン!?
夢しかない。なにそれ!?
最高のハゲリカンドリームじゃないか!
何とかして撮影したい。
野音ワンマンライブも絶対に!
一気にそれが目標になった。
DMなんかじゃダメだ。
本人に会って撮影したいと伝えたい。
それからクリトリック・リスのライブスケジュールを調べたが、中々予定が合わず、ダメ元でクリトリック •リスが主演の、光と禿の舞台挨拶に駆けつけたが
クリトリック・リスの姿はなかった。
ヤキモキしていたら、友達にDMしろと背中を押され、思い切ってDMした。
因みにこれが僕のカメラマンとして自ら面識ない人に初営業をかけた瞬間でした。
返事なんてこないと思っていたが、二日後に返事があり、撮影できる事になった。
撮影当日は緊張でゲロを吐きそうだったが、会場に向かい挨拶をし、緊張を抑えるためにタバコを吸いまくっていた。
初対面で、写真からしてイカツイやつがくると思うてたけど、馴染めそうなやつでよかったわと肩を叩かれたのを覚えている。
始まったライブは笑いあり、涙ありで、とても楽しかった。撮影しながら聴いた、1989では涙が止まらなくて大変だったけど本当に感動した。
1989が終わると、客席からはスギムー!最高だよ!これだよ!やるしかねーよ!って同じように目頭を熱くした、お客さんが叫んでいたのも印象に残っている。
そして僕はライブ終わりの打ち上げで、クリトリック ・リス本人から野音ワンマンライブも撮影してくれますか?と言われ歓喜した。
だって、最高のロックスターから、俺のハゲリカンドリームに立ち会ってくれと言われてしまったんだ。
やるしかないだろ!
あの時もし1989を聴いてなかったら、DMはせずに多分カメラは辞めていたと思う。
そしたら、伝説の野音ワンマンライブには立ち会えなかったし、撮影する事も出来なかった。
当日、チケットはあんまり売れてないみたいな事を聞いたけど、開演が近づくにつれ、どんどん人が増えていく。
スタッフから当日券がなくなった。段ボールの切れ端でよいかなー笑。なんて声も聞こえた。
緊張しながら、機材を持って外に出てみると、会場には2000人以上が集まりハゲ待ちしていた。
野音のステージに50歳パンイチハゲのおっさんが1人立ち、2000人以上の観客の前で歌う。
そんなハゲリカンドリーム他にあるか?
ないんじゃないかと思う。
始まった、クリトリック・リスの野音ワンマンライブは本当に夢しかなかった。大好きな1989では沢山の人が熱狂し泣きながら手を上げ叫んでいる。
当然僕も涙を流し、会場を走り回り叫びながらシャッターを切りまくった。
もしあの時、1989を聴いてなかったら、クリトリック・リスには出会えてない。
伝説の野音にも立ち会えず、フラッシュバックとなって蘇ったギラギラと輝くハゲリカンドリームを観る事はなく、自分の夢もまた諦めてしまったんじゃないかと思う。
自分の背中を押し、前を向かせてくれた最高の一曲「1989」是非聴いてみて欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?