何者かになりたい

これはずーっと悩んでいること。
僕は35歳とかから写真を始めたので多分スタートは遅いほうかな?カメラを買って三日目に撮影した1枚は何故か、独ヴァッケンにて毎年開催されている世界最大級のメタル・フェス〈Wacken Open Air〉のHPに掲載された。やったー!何か起きるかとワクワクしたが何も起きなかった。

半年後くらいに開催した、絵画と写真の展示ではなぜか150人くらい人がきて、その会場のHPのインタビューも受けた。やったー!何か起きるかなとなったが何も起きなかった。

クソーって気持ちがいっぱいだったが、写真はもう手放せない何かには変わっていた。

とにかくカメラを持ち歩いては撮影を繰り返す。
最初の頃は映画観たいな写真が撮りたいこの一心だった。メタルヘッドやノッキンオンヘブンズドアのラストシーンとかにはめちゃくちゃ憧れていた。
写真に言葉をつけたりと、写真作家のような活動をしていたが、バンドマンだったからなのか、ライブハウスに戻り、何かを表現している人を撮る事が好きになりそればかりだった。

ひょんな事から多重露光に興味を持ちメインの活動場所はCLUBへと変わる。
毎週国内外のアーティストを撮りまくり、大好きな映画ドライヴの楽曲を手掛けたDJの初来日も撮影した。彼の楽曲NightCallは当時一億再生以上という化け物。
正直DJを撮影したかったのは、機材がピカピカひかり多重露光をしていて楽しかったのと、僕を使ってくれたSALONのDJ amiさんが素晴らしい人だったからで、元々DJ自体に興味はなかったのだが、まーかっこよかった。本当にかっこよかった。それからクラブミュージックが好きになった。

楽屋で彼に出会した際に北斗100烈拳を食らったのは今でもよい思い出。ダメ元で彼のタグをつけて年末に写真を上げた。奇跡が起きて彼のインスタに僕の写真が上がった。ワクワクドキドキしかなかった。どんどん増えていく彼があげた写真へのLIKEの数がめちゃくちゃ嬉しかったのを今でも覚えている。
しかし、何かは起きなかった。

グラミーを受賞したDJを撮影し、彼のTwitterに名前付きで写真が上がった時も、ゴールドディスクやフランス芸術賞を受賞している彼を撮影した時も、コンテストの一般投票で1ー3位までが自分の写真になった時も、有名な写真家から連絡がきて彼のSNSに掲載された時も結局何もおきず、結局何者かにはなれなかった。今も何者かにはなれてはいない。
もしかしたらという撮影は沢山したけど何もなかった。

センスが無いのかなと思いカメラを捨てようとした事もあったけど、結局今も捨てれず、何者かになろうとしてもがいている。
逆転満塁ホームランなんて何度も想像して、眠れない夜を過ごしてワクワクしたけど、結局そんなものはいまだに打てていない。

でも、いつかいつかと思い今でもカメラを持って撮影に向かっている。
バンドをやって将来を夢見ていた頃の想像の自分と今は全く違う。でも、好きなものだけを撮影しては悩んでいる姿を見たら、昔の自分は悪くないねって言ってくれるんじゃないかなと思う。

仕事にしないのとか、仕事にしないなんてダメだ。情けないみたいなのは何度も言われてきた。
でも、本当にやりたいのは仕事にしたいんじゃなくて、ただただ自分の名前を沢山の人に残したい、これだけ。自分が生きている時代で何者かになりたいのである。

後何年やれんのかわからんけどいつか何者かになって笑っていたいと思うからこそ、こりずにカメラを持って撮影に行く週末を待ち望み、打ちのめされてまた立ち上がるのを繰り返す。

生きてるうちに絶対にこの目で、何者かになった自分の作品を沢山の人が眺め、名前を知ってくれる姿をいつか見れたらそれでいい。


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