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2020.10.16

ツアーと城と私。〜上越号泣編〜

バンドをやってきたことで、ただ生活しているだけでは行けないような街に行く機会に恵まれてきた。
本当にありがたい。

年に何度も関西圏に行くことや、これまでに北海道や九州、四国や韓国にバンドとして足を運ぶ事が出来たのも、バンドを通して出来たたくさんのバンドの友達や見に来てくれる友達、各地でバンドシーンを守ってくれているライブハウスのお陰である。

改めて感謝すると共に、今こういった情勢になり、それがいかに貴重な経験だったかを本当に痛感している。

新しいCDを持って、また全国各地を飛び回りたい。

イイモン出来たぜー!って胸張って持って行きたい。


早く、そんな俺たちの当たり前が帰ってくることを願いつつ、個人的な話をココで。

〜〜〜〜〜

俺は歴史が好きだ。

日本の地理は、信長の野望を初めとする歴史ゲームや司馬遼太郎や池波正太郎、海音寺潮五郎等の歴史小説でほとんど覚えたと思う。あとは桃鉄。
歴史のテストでは95点以下をとったことが無い。

日本各地には歴史上重要視されてきた、『城』が残っている街がまだまだたくさんあり、そんな街に行く機会があると、ライブハウス入りからリハーサルの間、リハーサル終わりからライブスタートまでの間…など、なんとか時間を見つけて『城』へ行けないものか、出発前から考えたりしている。

何年も前、THRHに加入する以前の話で恐縮だが、新潟県の上越でライブをする機会があった。

俺が敬愛する上杉謙信の街。

小学生の頃から憧れ続けた、『春日山城』のある街だ。

『城』って聞くと、大体の人は大坂城や名古屋城みたいな天守閣がある、THE『城』!!ってものを想像すると思う。

春日山城は、天守閣どころか、みんなが想像する『城』っぽい部分は皆無。

『城“跡”』である。

ただ山があって、ここに城があったんですよーって看板があったり、多少の名残があるぐらいらしいが、それは俺にとって全く重要ではない。

『今そこに何があるかではなく、そこに今行く事が大事なのだ。』



夕方には閉まってしまうようだったので、リハ終わりに、地図を頼りに急いで向かった。

急いだけれど、俺が滞在できるのは1時間くらい。

逸る気持ちを抑えきれず、小太りが1人小走りで『城』へ。

気持ちは上杉謙信の家臣。

俺「殿ーー!!!!」





俺は泣いた。

山へ足を踏み入れ、泣きながら、ゆっくりゆっくり歩いた。

たくさん歩いて、少しだけ残っている当時の栄華に想いを馳せ、また泣いた。

時間が許す限り、俺の中の謙信公とたくさんたくさん話をしては、泣いた。

あぁ…、この人ずっと泣いている。
城跡とはいえ、夕暮れの何もない山の中、ずっと泣いてるよこの人。
すれ違う人が気の毒。



1時間があっという間に過ぎ、俺は泣きながら山を降り、下にあった売店で、これまた小学生の頃から憧れた、上杉謙信の『毘』の旗印を買った。

未だに部屋に飾ってある、最高の代物。

インテリアやお洒落を考えると全く要らないし、逆に景観ぶっ壊しも甚だしい、デカい旗。

でも、誰にも伝わらなくていい、俺だけの宝物(Treasure)、俺だけの最高の思い出(Pleasure)。

なんと言われようが、ずっと飾る。



そうこうして、泣いた事がバレないよう小細工を施してからライブハウスに戻り、外に居たLABRETのRくんにホクホクの気持ちでこの宝物(Treasure)を見せたら

「おお…ええやん。」


ってめちゃくちゃ薄いリアクションされた事(当然)も、ずっと忘れない。

あと、帰りに寄った春日山城近くのコンビニの店員さんがめちゃくちゃ可愛かったこと(Pleasure)も、ずっと忘れない。

〜〜〜〜〜

俺は早く、全国各地にライブをしに行きたい。

そのついでに『城』にも行きたい。

※いい『城』情報、いつでもお待ちしております。

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