最後まで行なうことの秘密

ピークエンド効果(peak end effect)

よく人間を指して、思い出を食べて生きる動物だと話す。2019年を振り返ってみたら、どんなことが思い出として残るのか?記憶を振り返ってみると、いくら思い浮かべようとしても思い出せないことがあるかと思えば、とても鮮明に記憶されて忘れられないこともあるだろう。

ところで、人々が鮮明に覚えている大部分は、一番最近あったことや、自分が劇的に経験したことが多い。このように、人々は過去を評価する際、最も劇的な瞬間(peak)や最新の経験(end)を重要視するが、これを心理学ではピークエンド効果(peak end effect)と呼ぶ。

行動経済学者のフレドリックソンとカーネマン( Fredrickson and Kahneman)はある実験を通して、実験参加者に7分間隔で2回に渡って14度の冷水に手を入れさせた。最初は1分間、二回目は1分30秒間だったが、二回目に追加された30秒間は、水の温度を1度上げて15度に維持した。実験が終わった後、人々に再び実験をやるとしたら、どちらを選択するか尋ねてみると、80%の人が1分30秒を選択した。その理由は、1分30秒というより長い時間冷水に浸すにもかかわらず、最後の30秒が少しだけ冷たくなかったからである。このように人々は、全体のプロセスを均等に評価するというより、絶頂(peak)と終結(end)時点の経験をより重要視する傾向にある。そのため、日常生活の記憶も時間の順序に従ってきちんと蓄積されるのではなく、まるでスナップ写真のように最も絶頂の瞬間と終了時の感覚で全体を評価する場合が多いのである。

ピークエンド効果を言い換えると、「終わり良ければすべて良し」とも言えるが、このような効果は様々な状況で見られる。その代表として、オリンピック銅メダリストが銀メダリストよりも気分がいいのは、銀メダリストは最後の試合で失敗したけれど、銅メダリストは最後の試合で勝ったからである。ポップスターたちも、自分のコンサートで最も人気のある曲を最後に歌う。また、素敵なレストランでおいしい料理を食べて気持ちよく出て行こうとしたのに、突然服に水をこぼして、そのレストランに対して良くないイメージを持つようになるとか、良いホテルで心地よく休んだのに、最後に駐車案内員の不親切によって旅行に対して良くない記憶が生じることも、このような効果の例だと言える。

このようなピークエンド効果はマーケティングにも適用されたりするが、遊園地、ファミリーレストラン、劇場などのサービスを利用するためには、列に並んで待たなければならない苦痛が存在するものだ。そこで企業はこれらの退屈を軽減できる方法を提示することで、人々に長い時間をかけて受けた苦痛を忘れてしまうようにさせ、最後に経験したサービスに対してのみ肯定的に評価するようにもっていく。乗り物に乗る場合、利用者が乗り物に乗るまでの待機時間を表示してあげたり、待機線を直線ではなく曲線で作り、待機ラインを極力短く見えるように作ったり、待機時間の間、他のアミューズメント施設を見ることができようにする方法などが代表的なものである。

最後まで行ない自分を刻印する生

アインシュタインが相対性理論を説明しながら、このようなことを言った。「熱いストーブに1分間手を置くと1時間のように感じられるが、好みの女性と1時間いたら1分のように感じられる」このように人の記憶はいつも相対的である。つまり、最後に良かったのか悪かったのかによって違うように刻印されるのである。

2020年が私たちの記憶の中にどのように刻印されるかは、最後の瞬間をどのように過ごしたかによって変わりうる。だから「最後まで行ないなさい」という御言葉は、単純に忍耐を持ちなさいという話ではなく、私たちの人生を聖三位により大きく刻印させて、より大きな祝福と愛を下さるという約束の御言葉でもある。

振り返ってみると、最後までやった時、私たちの人生は本当に幸せだった気がする。学生時代に夜遅く図書館を出て空の星を見た時幸せだったし、大学入学のために最善を尽くした後、ついに合格証をもらった時幸せだったし、最善を尽くして働いた後、疲れた体で帰宅したら喜んでくれる子供たちの澄んだ声を聞いた時、幸せだった気がする。

最後まで行なった時に、すべての問題が解決されるという主の御言葉を信じて最後まで行なうなら、「あなたの初めは小さくあっても、あなたの終りは非常に大きくなるであろう(Your beginnings will seem humble、so prosperous will your future be)」という言葉の主人公になるだろう。ぜひとも2020年の後半を走りきり、更にはうまくしめくくりたいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?