22/23シーズン ラ・リーガ 第11節 レアル・ベティスvsアトレティコ・マドリー レビュー

初めに

ラ・リーガの上位対決となったこの一戦は、1vs2でアトレティコの勝利となった。この記事では、この試合で敗北したレアル・ベティスが抱えるチームとしての問題点を2つ記述していく。

ビルドアップ時のSBのポジショニング

レアル・ベティスが抱える問題点の一つにビルドアップ時のサイドバックのポジショニングが挙げられる。特に今節先発出場をしていたRSB#23サバリはCBの#16ぺセーラが前向きでボールを持った時にタッチライン際まで開いてボールをもらおうとすることが多かった。サバリがタッチライン際でボールを受けると、RSH#11ルイス・エンリケがサバリからボールを受けるときの体の向きが悪くなってしまう。ルイス・エンリケがサバリからボールを受けた時はほとんどの場合、アトレティコのLSB#23ヘイニウドに背を向けた状態でプレッシャーをかけられてしまった。エンリケのキープ力の高さや相手を背負った際に見せるプレーの良さを確認することができたが、彼がゴール方向を向いてボールを受けてプレーをする場面をなかなか見ることができなかった。
また、サバリと、ボランチを務めていた#5ギド・ロドリゲスとの距離が遠くなってしまうことも問題だった。サバリがボールを受けた際にはゴールに背を向けた状態のエンリケにパスを出すかぺセーラに戻すかしかできていなかった。ギド・ロドリゲスが左に流れすぎていたという問題もあるが、それ以上にサバリのポジショニングの悪さが目立った。この結果、サバリにボールが渡った際に前進するための選択肢が少なく、アトレティコのLSH#17サウールのプレッシングに苦しめられることが多かった。
後半21分に#23サバリに代わって出場した#24ルイバルと比較するとチーム戦術としてではなく個人戦術に問題があることがわかる。ルイバルはサバリとは違い、やや内側にポジションを取っていたためだ。低い位置でのビルドアップのみならず、敵陣に押し込んで攻撃をしている時でもハーフレーンに位置取りすることができるため、攻撃を活性化させることができていた。これらの点からサバリよりもルイバルがスタメンに相応しいと考える。

ライン間攻略

もう一つの課題は相手を敵陣に押し込んで攻撃をしている際にライン間をうまく使えなかった点だ。
この現象が起こった原因の一つに、#9イグレシアスに縦パスを入れた後のプレーの遅さが挙げられる。敵陣に押し込んだ際のベティスの攻撃のスイッチの一つがイグレシアスへの縦パスである。しかし、イグレシアスに縦パスが入った後に周りの選手がアクションを起こさず、敵の守備ラインを崩すことができていなかった。そのため、イグレシアスが孤立してシュートまで至ることが少なかった。
また、上記の理由とも関連するが、3MFが前線の選手から離れすぎていたことも2つ目の課題が発生した原因となった。まず、2ボランチの一角を担っていたギドはライン間でボールを受けてプレーすることを苦手としているように見えた。イグレシアスに縦パスが入った後にライン間に侵入してボールを受けに行くというようなさらに今節トップ下を務めていたのが普段ボランチをしている#14ウィリアム・カルバーリョだったことも原因だろう。彼もライン間でボールを受けることが苦手で、この試合ではそれにトライしていたがチャンスを作り出すことができていなかった。
その一方で、#8フェキエが入ってからは攻撃が活性化された。彼が投入される前はライン間でプレーする選手が少なく、中央突破をすることができていなかった。しかし、彼が投入されてからは彼がライン間でプレーすることにより、相手の守備に綻びが生まれ出した。

レアル・ベティス 次節の注目ポイント

レアル・ベティスは次節レアルソシエダと対決する。CL出場権を直接争うライバルであり、勝利を収めたい相手である。
注目ポイントはトップ下と右サイドバックの人選である。今節はトップ下をウィリアムカルバーリョが務めていたが、本職はボランチだ。トップ下をプレーできるフェキエやセルヒオ・カナレスがスタメンに復帰できるのか、復帰してライン間の攻略を促すことができるのかに注目である。
また右サイドバックはサバリとルイバルどちらが選ばれるのかあるいはどちらでもないのか注目である。後者がスタメンになれば相手陣地への前進は確実なものになると予想できる。しかし、守備面で考えるとサバリの方が能力は高く相手の強力な攻撃陣に対して受けに回るのか、それとも積極的にボール保持を目指すのだろうか。

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