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週報70(2019.10.7〜10.13)

今年の台風19号はその強大な勢力を保ったまま関東を直撃しました。自治体のアナウンスやテレビの災害情報など、様々なメディアから度々警告が発され、多くの人が危険を感じ対策をとったのではないでしょうか。

情報を検索してわかるのは、1番にリスクをとるのが、やはり水辺の近くや山麓にお住まいの方だということです。河川の増水による浸水被害や土砂災害を被るのは自然の引き起こすところで人為を超えます。こういう猛威にあっては逃げるほかなく、避難所で不安な夜を過ごす人たちの精神衛生を深く心配するものです。

台風のような自然災害に限らず、日々なんの予告もなく様々な問題に見舞われるのが、この人生というものであるらしい。予定が予定に過ぎないのもこのためです。急場の対応に迫られながら、それでも自分のなすべき仕事を頑健に進めたいものです。生活は続く。

○台風と束縛

強力な爆弾低気圧によりダウンした私は10月12日というこの時空を十二分に生かし切ることができずこの日のほとんどを仰臥のうちに過ごしました。音楽を作る気にもなれず、本を読まんともならず、楽器練習の気力も出ず、凡そ現存する否定的考えの一切を頭に満たしておもだるい時に甘んじたわけです。一切外出のかなわないという、選択肢の制限が、これほどまでに人間の気力を削ぎ殺すとは。私は久しぶりにこれほどの無気力を味わいました。

このとき頭にふと浮かんだのが中西悟堂(なかにしごどう)の言で、「野のものは野に」というものです。日本野鳥の会の創始者で、羽のある鳥は野にあって自由に羽ばたいてこそのもの、という戒めの言葉として先の標語を残しているわけですが、これが台風で家に閉じ込められた人間にしてみると、骨身に染みます。

愛玩動物としての文鳥や九官鳥などを否定するものではありませんが、もし自分が鉄柵の内に留め置かれ朝昼晩の食事を保証された漫然たる日々を強制されれば、絶えず脱出の機会を窺うことになるだろうし、飼い主が「○○ちゃんがカゴから抜け出して逃げちゃったの。かわいそう。早くお家に戻っておいで」などと言おうものなら、人間は人間でまったく勝手な信条のうちに生きているようだと、鳥なりの理解を示しつつ、どこかに飛び去ってしまうことでしょう。

ほんとうに恐ろしいのは、これが親子関係や恋愛関係、会社の人間関係に再現されることであって、物理的な捕縛はただその物理的間隙を縫って脱すれば良いものの、精神的な束縛は逃れるのに勇気と機会を要します。こういう呪縛は主観的に気づくことが難しく、解かれて初めて分かるということもあります。かくいう私も、すでにして様々な呪いにかかっているはず。ただ、かかっているかもわからないので解きようもない。

うえのごとく、台風によって家に封じられることから転じて、身の自由について色々と思案してしまったわけです。長時間ひとところに押し止められると、人間何かをせずにはいられないものだなと、妙に得心のいった次第です。ただ天候について、しばらくは、秋晴れを堪能したく思います。

○M3情報

翌々週のM3では新しいCDを頒布します。令和初日発表「かはたれのうた」に新曲を2つ加えて、CDを制作中です。3曲構成のシングルCDです。キーワードは、アーバンナイトとジャズワルツ。楽しんでいただけるよう頑張ります。グッズも少なからず準備中です。どうぞ、ご期待ください。

○また来週…

今週のYouTubeは登録者数3430人で、先週から10人の増となりました。M3までに3500人を目指したいところです。

それではまた来週お目にかかります。

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