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週報77(2019.12.2〜12.8)

週報の時間です。

このところ時の流れが早く、3日に一度週報を書いているような感覚を覚えます。それもこの、年末という時空が原因なのだと思いますが、そもそもなぜ年末は忙しいのか?考えてみると、不思議です。種々のイベントによる気忙しさもさりながら、1年が終わるというクライマックス感に人は酔わされているのかもしれませんね。

○忘年会出席の記

これはフライングの謗りを受けても仕方ないのですが、11月30日を皮切りに、お世話になっている方々と会を催し、来る年に備え、俗塵をはらうみそぎを進めています。実際、今回の週報も、会に向かう道途で書いています。

さて、少人数の会は好んで参加するものの、大所帯となると気が引けてしまうのが私の欠点(?)で、さしあたっては社員時代を思い出します。

社にいた頃は、忘年会と期末決算とを兼ね合わせた大きな会がありました。数百人が同時に食事できる会場を借り切っての催しでしたが、こういう場の食べ物で、印象深かったものは、あまりないです。味がよくないというのではなくて、ただただ、味わう余裕がないのです。

空いているグラスが見つかれば直ぐに酒を注ぎ足し、料理が切れていれば皿に盛って差し出し「よく気がつく後輩」を演じる。何も考えずぼーっと食べているだけの後輩には、気を回して水を向ける。時々席替えがあるので、その都度ふだん全く喋ったことのない先輩社員方と当たり障りのない雑談を展開する。

上の様なこととは無縁に一匹狼を決め込んでしまえれば楽ですが、実際そうもいきませんから、けっきょく時間いっぱい諸々うまく処理し続けることになります。そういうわけで、大きい宴会は「誰が飲み会のコードを理解していないか」を監視し合う試験のようになって、気持ちがまったく落ち着かないし、ざわめきが喧しくて会話に集中することもできず、いざ会話が始まったと思ったら、何処からともなく第三者が現れて会話を中断され、結果必死に会話をつないでいたのに、先輩社員の気まぐれでコミュニケーションの文脈が破壊されることになる。あまり趣がありません。

そういう環境で提供される食事は、到底ふかく味わわれることはなく、調理者が不憫です。それゆえ、準備する側も、大人数の胃袋を満たすことができさえすればよいと、コストダウンを仕掛け品質は下がりますし(良質の食材を使うということと、良質の食事を出すということは別の問題であるはずです)、精神的な充足感も失われてゆく。とにかく、嵐のようなコミュニケーションの現場で気忙しく過ごす忘年会は悪い思い出しか残してくれないのです。

これだけ「大型忘年会」に対して悪態を吐(つ)きつつ、一方で、コミュニケーション能力を培う現場として機能する一側面も認めうるのではないか、という捉え方があることも承知しています。しかし、こういう底の浅いコミュニケーションが(あたかも『方丈記』冒頭のように)湧いては消えを繰り返すシチュエーションの中で限定的に秀で得る能力にいかほどの価値があるのか、私にしてみれば疑問符を頭上に浮かべざるを得ない実情です。

そして何といっても、あの「飲みニケーション」という造語にはアレルギー反応を催さんばかりに違和感を感じていますし、いかにも「上手い言葉をつくり果(おお)せた」と言わんばかりの雰囲気に閉口を禁じえず、そういった独特の「社会常識(飲み会は大事だから参加するべきであるという考え方)」を盾に強要されるコミュニケーションに私は精神的な疲労を癒す術を持ちません。これは好きな人が進んで参加すれば良いことです。

大会場を借り切ってパーティーを行うというのは、会社のステータスを守るために必要な仕事であるという、幹部の捉え方なのでしょうが、その見栄に(不本意ながら)付き合わされる(大型宴会が得意でない)社員は哀れです。そういうわけで、苦手な人は、よほど宴会に行かねばならない理由でもない限り、会に近づかないことです。嘘も方便とは先人の叡智です。理由をつけて参加を断りましょう。

今回の記事は、大人数でのパーティーを苦手とする人に対する応援あるいは避難場所として上梓するものであり、大人数でのパーティーを好きだと感じている方の排斥を目的にしていません。そうはいっても、否定的な表現の多用が目立つ点は私の折衝力不足の致すところです。平にご容赦願います。

(タイトルは正宗白鳥「座談会出席の記」より借用)

○また来週…

今回は随筆のような形で週報をアップしました。12月8日の週報アップに遅れたことは失策でしたが、当たり障りのないことを引き伸ばして書く気の抜けたコーラような筆致よりは上等な記事を書けたのではないかと、希望的に観測しています。

そうこうしているうちに、12月も中旬へ差し掛かります。体に気を使いつつ、全力で走り抜けます。

それではまた来週お目にかかります。
(2019年の週報:あと4本)

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