見出し画像

歴史のすみっこ話(6)~お年玉くじ付き年賀状~

2021年も残すところ1週間となりました。時がたつのは早いものですね。

年賀状といえば、『お年玉付き年賀状』(ちなみにボクは切手よりも上の商品に当たったことはまったくありません)なのですが、この『お年玉付き年賀状』を発案されたのは、大阪の心斎橋で『株式会社ハヤシ』という洋品雑貨店を経営していた林正治(まさじ)さんです。

昭和24年6月21日に、『お年玉付き年賀状』のアイデアが浮かんだのだそうです。
当時、国民の多くは戦後の不況の中で暮らしていて、戦争でみなが散り散りバラバラになっていた状況だったそうです。
そんな中、お互いの無事を確かめ励ましあう方法はないかと考えた林さんは、年賀状がそれに一番適していることに気づきます。
 
そして、それにお年玉をつければさらに心が和むのではないかと思い至ります。

さっそく図案をつくり、すぐに大阪郵便局に持ち込みました。
そして大阪郵便局はこのアイデアを大いに認め、林さんを東京の郵政省へ紹介しました。

郵政省内では「このご時世に」といった反対意見もあったものの、ついには国会承認を経て(法改正されて)、昭和24年12月1日に日本で最初の『お年玉付き年賀状』が1億5千枚発売されるにいたったのでした。

もっとも、『お年玉付き年賀状』の販売ノルマを達成するために各地の局員が自腹で購入しないといけないといったケースが多々あり、林さんのもとには郵便局員からの苦情の手紙が殺到し、責任を感じた林さんも21万枚の『お年玉付き年賀状』を売りさばいたのだそうです。

お年玉付き年賀はがき事始め、決して美談で済まされないのが、なんとも残念なエピソードでした。

参考・引用資料:「年賀状の戦後史」内藤陽介:著



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?