【歴史のすみっこ話】ラジオドラマ「君の名は」の由来は

タイトルで書いている『君の名は』は、数年前に大ヒットしたアニメ映画のことではありません。新海誠監督の映画は『 君の名は。 』ですね。

ボクが知ったのは、今から70年も前の1952年に放送が始まった人気ラジオドラマ『君の名は』のことです。
そのタイトルの由来があまりにも意外なものだったので書いてみました。

ラジオドラマ『君の名は』の脚本を書かれたのは、劇作家の菊田一夫氏。

菊田一夫氏は、1947年(昭和22年)7月5日から始まったラジオドラマ『鐘の鳴る丘』から足かけ6年間もラジオドラマを書き続けていて、もう体力の限界。
普通ならば、休ませてくださいと言えば、OKが出る状況だと思うのですが、なにせ当時の日本は占領下の時代。
民間情報教育局(略称:CIE)は、ラジオドラマにもかかわっており、CIEが引き続き新番組の脚本を菊田一夫氏が担当することを命じます。

窓口となったNHKの吉川義雄氏が、CIEの脚本担当官メレディス氏に交渉します。
「もう菊田一夫は体力的に限界です。それでも、「やれ」と仰るのならやむをえませんが・・・」

もう無理です、それでもやったら菊田一夫は倒れますよと暗に言ったのを理解できないメレディス氏は、じゃぁやるんだなと納得してしまい、それは良かったとばかりに、吉川義雄氏に握手を求めて、こう訊きます。

「で、次の番組の題名は?」

ンなもん、打ち合わせもしてないのに決まってるはずあるかーい!と言いたかったのでしょうが、さも当然のように、番組の題名は?と聞いてきたメレディス氏に対して吉川義雄氏は腹を立て、「お前の名はメレディスというのか」と言いたくなるのをぐっと押さえ、なんとか「君の名は・・・」からあとの言葉を飲み込みました。

しかし、それを番組の題名と勘違いしたメレディス氏は、「題名は『君の名は』か。いいね」とGOサインを出してしまいます。

いやいや、おまえに対する文句の言葉だ、とも言えずに吉川義雄氏はその場を後にしました。

いきさつを聞いた菊田一夫氏は、「中途半端な題名だけど、もうなんでいいや」と言ったらしいです😅。

それが大ヒットして社会現象が起きたラジオドラマの題名になるとは不思議なものです😆。


■引用・参考資料
  『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』 著:辻田 真佐憲





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