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【本とに会った話】~「なんやかんや日記:京都と猫と本のこと」 武田綾乃~[1752文字] 

人が一生で読める本の数は限られていて、読まなかったもしくは読めなかった本の数ほうがはるかに多いのは、当たり前と言えば当たり前のことですね。
本との出会いは一期一会・・・いや本の場合は一語一会でしょうか😅。
読めるうちは、できるだけいろんな本と出合いたいものです。

まぁ自腹を切らず、図書館で歴史やミステリ関連の本ばかり借りてる者がエラソーにいう事ではありませんが💦

さて、先日図書館で借りた本『なんやかんや日記 京都の猫と本のこと』(著者:武田綾乃)のお話しです。


ん~、なんかまったり系エッセイかなぁ (´-`)と思って、図書館から借りました。『タイトルと表紙』買い、ならぬ『タイトルと表紙』借りです💦。

家に帰って著者紹介を観たら、アニメ『響け!ユーフォニアム』の原作の小説家でした。
うわぁ、知らんかったわ~。原作の小説読んでないしぃ(´-`)。

大学在学中の作家デビューし、二十歳の時に『響け!ユーフォニアム』を執筆し大ヒット。そして27歳ー。
堂々とアラサーを名乗れる年齢になり、人生にも大きな変化があった。そうした身の回りにあった些細なあれこれを徒然なるままに描いた』エッセイ集がこの本です。

内容は色々だが、大体は京都と食べ物と猫と本についての話をしている。好きなもののことばかり書いているので実になるような話はあまりない。お茶でも片手に、のんびりとくつろぎながら読んでもらえると嬉しい』と作者は書かれています。

印象深いのは、現在実家で飼っている二匹の猫(元野良猫と保護猫)のことを書いた最初のエッセイと、作者が小説賞に応募する19歳の夏にやってきた先住猫バロンとの別れまでを書いた、最後からひとつ前のエッセイです。
とくに先住猫バロンのエッセイはホロリとします。

そして、これらのエッセイに挟まれるかたちで、「なんやかんや」(これは関西弁で、「あれやこれや」という言葉と同じ意味)なエッセイ ー 作者が日々思う事 ー が、軽やかに綴られています。

流行って欲しいなぁと思うもの」では京都の宇治で生まれ育った著者は京番茶を語り、「一緒に住める人、住めない人」では一時期同居していた大学の頃からの友人の思い出を語り、「金閣寺コンプレックス」では金閣寺に行ったことが無く、鹿苑寺ということをエッセイを書いてるときに知ったと語るー等々なんやかんや。

そしてそれらのエッセイの中には、心に残る言葉がいくつもあります。

どんな人と一緒に過ごしたいかと考えると、やっぱり本や映画、漫画やゲームといったカルチャーが好きな人たちがいい。そうじゃなくても、他人の好きなものを馬鹿にしない人たちがいい。自分以外の考えをちゃんと尊重できる人、悪いことをするのがカッコいいと思わない人・・・。

「なんやかんや日記 京都の猫と本のこと」ー友達百人できないな~ー より

「同じお笑い芸人が好きな人って、付き合うのにいいと思うの。笑いの感性が似ているってことは、会話のセンスも似てるってことかなと思って!」そう言われて、私は目から鱗が落ちた。な、なるほど。そんな風に考えたことは一度もなかった。

「なんやかんや日記 京都の猫と本のこと」ー結婚にまつわるエトセトラー より

人生はそうやって、思いもよらぬタイミングで伏線を回収することがある。「あの時たててもらったフラグです・・・」と過去が恩返しに来たり。

 私は歯を食いしばってでも自分の人生を全力で楽しむと決めているので、これからもどんどん未来のために伏線を仕込んでいくつもりだ。
 
次はどんなことをしようか。今のところ、それを考えている時が一番楽しい。

「なんやかんや日記 京都の猫と本のこと」ーフラグの恩返しー より

本は思春期の私を救ってくれた。本さえあれば、無限にある時間も怖くなかった。長い通学時間も、一人で過ごす休み時間も、本が私を支えてくれた。

もしも今私が書いている作品があの頃に私の寄り添ってくれた本のように誰かを支えていたならば、こんなに嬉しいことはない。

「なんやかんや日記 京都の猫と本のこと」ー10年を振り返ってー より

晩秋から冬の始まりの頃の、穏やかで暖かな天気の日を小春日和と言うそうです。
そんな小春日和のようなエッセイと、作者が文中に描いたイラストにほっこりするのでした( ˉ ˘ ˉ )。

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