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【ミステリ感想】戦国武将殺人紀行 歴女美人探偵アルキメデス

気圧の関係なのか、どうも今朝から低調気味だったので、録りためたテレビ番組見ながら、鯨統一郎さんのトラベル歴史ミステリーを読んでました。

ミステリーを「ながら読み」かい。
おどれ、何様のつもりやねん!(##゚Д゚)

と、古参のミステリーファンから怒られそうな気がしますが、気合を入れて読むというよりも、むしろ2時間サスペンスを見るかのような、そんな感じで軽く読めるのが鯨統一郎さんのこのシリーズの良さなんです。(ものは言いようですね)

凝りに凝った密室トリックもアリバイトリックもなく、気合を入れず、さらっと読めることに徹した、そして、歴史について面白い異説を、ちょこっとだけ挟みこんでくれるミステリーは、いわば胃もたれをした時のおかゆのような優しさがあるわけです。

収録されている作品は中編が3本。
「毛利元就と石見銀山の埋蔵金」
「上杉謙信と川中島の秘密」
「伊達政宗~独眼竜は眠らない~」

美人歴史学者の早乙女静香とそのライバルの翁ひとみ、女子大学院生の桜川東子(とうこ)の三人の若き女性のウォーキング旅行の会、アルキ女デス。
 
彼女たちがゆく先々の歴史にゆかりのある地で、なぜか殺人事件に巻き込まれ、そして事件を解決していくという、安定の2時間サスペンスドラマ的フォーマットです。

とはいえ、作中で起きる殺人事件と歴史は、密接には絡みません。
事件と関係のない歴史の異説がちょっと出てくるところはありますが、期待して読むと肩すかしを喰らうかもしれません。
まぁ、このちょっとした歴史の異説の紹介が、面白いところなんですが。
 
しかし、肝心の殺人事件の解決よりも、ちょこっとした異説の方が面白いというのは、どうなんでしょうか。
 
2時間サスペンスドラマを見終わって、グルメのシーンしか印象に残らなかった、みたいな?でも、それも時には、ヨシなのですヽ( ´ー`)ノ

事件と全く関係のないこんな異説を楽しめるかた向け、と言えます。

「いい?(徳川)埋蔵金は群馬だ赤城山だって言われて大勢の人が長年探しているけど未だに見つかってないのよ」
「どうしてかしら?」
「そこにはないって事でしょ」
「じゃあどこにあるのよ」
「ズバリ皇居の中」
「ええ?」

「毛利元就と石見銀山の埋蔵金」より

「本物の信長はどうしたのよ」
「死んだのよ」
「ええ?」
静香の言葉に驚かされるひとみである。
「本能寺の前に?」
「もっとずっと前に死んでいた。本能寺で死んだのは信長に成りすましていた信長の偽物の信長よ」
「いったい誰が信長に成りすましていたっていうのよ」
「織田秀孝」
「それ信長の弟じゃない」
「そうよ」
「秀孝はたしか弘治元年(一五五五年)に誤って味方の矢で射殺されてるはずよ」
(略)
「死んだからこそ身代わりになれるんでしょうが。死んだと見せかけて実は信長を殺して自分が信長になったのよ」
(略)
「秀孝が死んだことになっているのは一五五五年。信長の快進撃はその翌年から始まるのよ。入れ替わったとしたら辻褄が合うわ。虚けだった信長がとつぜん天才的になって快進撃を始めた辻褄もね」

「上杉謙信と川中島の秘密」より

これらは、事件の謎解きに関係ありませんヽ( ´ー`)ノ

こういう異説を本格的に楽しみたいのなら、鯨統一郎さんのデビュー作にして、(ボク的に)最高作の『邪馬台国はどこですか?」がオススメです。
(現在、Kindle Unlimited対象本です)

ということで、肩の凝らないミステリを読みました。
明日はテンションが上がっているといいなーヽ( ´ー`)ノ。

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