『新九郎、奔る!』2巻読了

Hello world,はーぼです。

ゆうきまさみさんの北条早雲が伊勢新九郎を名乗っていた少年時代を描いた『新九郎、奔る!』2巻を読みました。
応仁の乱が本格的に始まったり、伊勢新九郎が元服して千代丸から新九郎になったり、今川義忠よしただが登場し、新九郎の母親違いの姉、伊都いとと義忠の縁談が決まったりと、新九郎の周りは慌ただしく動いていきます。

年号改元、細川勝元の逆襲

1467年3月5日、上御霊社かみごりょうしゃの戦いが終わり、年号が文生から応仁へと改元されます。悪いことが起きたので年号を変えて気分一新というわけですね。

しかし気分一新などできないのは、上御霊社かみごりょうしゃの戦いで山名宗全やまな そうぜんにしてやられ、幕府内の権力も弱まり、世間からも評判ガタ落ちの細川勝元ほそかわかつもと

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『新九郎、奔る!』でも勝元さん、はらわたが煮えくり返ってますね。

そこで勝元が打った手は、全国の各地で争乱をおこさせることでした。
応仁元年5月になると、各地で争乱が起きます。

しかしながら勝元の真の目的について、『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』で、著者の呉座勇一氏はこう書いています。

もっとも、これらの動きは陽動作戦の性格が強く、細川方の狙いは京都制圧にあった。

そして5月26日についに京で戦乱の火がつきます。細川方の細川茂之しげゆき武田信賢たけだのぶかたが、山名方の一色義直いっしきよしなおの邸宅を襲い火をかけるという事件が起きます。

一色邸は将軍御所の真向かいにありますので、将軍足利義政あしかがよしまさのおひざ元で争いごとをおこしたわけですね。

そしてその一色邸のお隣にあるのが新九郎たちのいる伊勢貞宗いせさだむね邸。
当然ながら、新九郎たちも騒然としつつ、万が一の事態に備えます。

山名宗全も受けてたち、細川方と山名方の軍勢による戦いで、京の各地に火の手があがります。
この5月26日から翌日27日にかけて行われた戦闘は『洛北の戦い』と呼ばれるそうです。

28日、将軍足利義政が細川勝元と山名宗全に対し停戦を命令することで、『洛北の戦い』は一応の終わりを迎えます。

しかし勝元はさらに手を打ってきます。

6月1日、勝元は将軍足利義政に対し、将軍旗の下賜と山名宗全討伐の命を下してもらうよう願い出ます。
さらに、将軍足利義政の弟、足利義視よしみを山名宗全討伐軍の総大将に任命してほしいとー。

当初は首を縦に振らなかった将軍足利義政ですが、ついには折れ、6月8日には御所に将軍旗が掲げられます。将軍旗は将軍に対して反逆する者を討伐する際に用いるもので、これにより山名方は賊軍となります。

この戦いを山名・細川の私闘として処理したかった将軍足利義政にとっては不本意なことではなかったかと思います。

そして、呉座勇一氏が『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』で下記の通り指摘しています。

将軍である足利義政が中立性を失ったことで、戦争を調停する存在は消滅した。「賊軍」の烙印を押した山名方を速やかに鎮圧しない限り、戦争の早期決着は不可能になったのである。

山名・細川の権力の争いがきっかけとなって始まった、応仁の乱は、この年から10年間の長きにわたって続くことになります。
(この当時、天皇の権威はどうだったのでしょうか。天皇による仲裁というのはあり得なかったのか、とかも思うのですが)

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細川勝元側の新九郎たち伊勢家は東軍に加わることになります。

さて、本格化する応仁の乱のさなかの6月10日、新九郎は12歳で元服し、千代丸から新九郎盛時もりときとなります。

新九郎が元服を望んだのかについては、ゆうきまさみさんの創作で、新九郎の伊勢家の立場と家族への思いが複雑に絡みあって描かれているようにボクには思えました。

混沌化する戦況

西軍山名方が劣勢の中で戦闘は進みますが、短期決戦を望んでいた東軍細川勝元の目論見が大きく崩れたのは、細川勝元と対立関係にあった、周防・長門・豊前・筑前の守護、大内政弘おおうちまさひろの東軍への加勢でした。
上洛した大内政弘の万を超える軍勢よって東軍優勢だった戦況が崩れます。

それに恐れをなしたのか、将軍足利義政の近習からも西軍への内通者がでてきます。
『新九郎、奔る!』では、ここで新九郎とある人物との別れと家族の絆を描いています。

混沌とする戦況のなか、さらに理解できない事態が起きます。

形勢不利とみたのか、東軍総大将の足利義視が、何も告げずに伊勢国へと出奔してしまったのです。

将軍の弟である総大将がいなくなった状態の東軍細川方と西軍山名方の激闘は続きます。

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ついには将軍御所も半焼したようですが、東軍・西軍ともに双方決め手を欠き、相国寺合戦とよばれる激しい戦闘の後、膠着状態に陥りました。

そして応仁元年の11月、伊勢新九郎の父、伊勢盛定もりさだが突如として京に戻ってきます。
駿河国守護職今川義忠いまがわよしただとともに。

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後に、新九郎の運命に大きくかかわる今川家との繋がりが始まります。

このほか2巻では、新九郎の母親・兄弟への思い、今川義忠と伊都の婚姻の話、戦闘の中で台頭する足軽、発石木はっせききという武器の登場などで変わりゆく合戦などが描かれています。

一般には馴染みのない時代のため、説明台詞などが多いですが、退屈せずに読めました。(伊勢新九郎のエピソードなどはゆうきまさみさんの創作なのでしょうが、違和感なく楽しめました)

さて3巻はどんな話になるんでしょうか。

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新九郎が伊都に助力すべく駿河国に赴くのが描かれるのはいつになるんでしょうね^^;。

ではでは。最後までお読みいただきありがとうございます。

See you next time,はーぼでした。


参照・引用:『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』著:呉座勇一、『応仁の乱 人物データファイル120』、『新九郎、奔る!』著:ゆうきまさみ

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