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国産初の安楽椅子探偵物の連作短編集は?【969文字】

雑誌読み放題サービスのひとつ、『dマガジン』を利用しています🙂。
沢山の雑誌が全ページではないにしろ、つまみ読みができるので、普段なら滅多に読まない雑誌の記事なども読んで好奇心の幅が少しは広がったような気がします。

さて、ある雑誌のミステリー・コラムを読んでいると、ミステリー作家の故・都築道夫氏の作品である『退職刑事』シリーズの紹介で、こんな文章がありました。

『都築道夫の『退職刑事』シリーズ(1973~)は安楽椅子探偵物では国産初の連作短編集

え、そうだっけ?😮と思ったので、昭和ミステリーの記憶をたどってみました。

尚、ここでいう安楽椅子探偵とは、『出向いて聞き込み・尋問などの事件の調査を自ら能動的に行うことはせずに、依頼人や事件の関係者などからの情報のみに基づき事件の真相を推理する探偵のこと』としています。

連作安楽椅子探偵ものとして、昭和の名作としてあげたいのは、阿刀田高氏の『Aサイズ殺人事件』です🙂。

このシリーズで安楽椅子探偵を務めるのは、お寺の住職です。

住職と碁の対局をしている刑事が、ぽつりぽつりと事件のあらましを語り、それに興味を持った住職がへんてこな質問を投げかけ、再調査した刑事が質問の答えを住職に伝えると、思いもかけない事件の真相を推理するというのがパターンで、全8編どれもが高水準のミステリーです。

この作品は・・・1978年から連載開始かぁ😫。

続いて、日本最高峰の本格ミステリ作家、鮎川哲也氏の『三番館シリーズ』も安楽椅子探偵シリーズでは有名な作品です。

捜査に行き詰った私立探偵が持ち込んだ事件の謎を鮮やかに解くのはバー『三番館』のバーテンダーです。
特に初期作品は、重厚な謎解きの読み応えのある作品が多いですね。
(逆に言うと、シリーズ中期以降の作品は、鮎川哲也氏にしては軽い謎解きが多くなっている印象がします)

さて、三番館シリーズの第1作『春の驟雨』が発表されたのは、小説サンデー1972年1月号です。

都築道夫氏の『退職刑事』シリーズが、1973年から始まったのであれば、鮎川哲也氏の三番館シリーズの方がほんの少し先輩ということになりそうですね🤔。

もっとも、国産初の安楽椅子探偵物の連作短編集は、もっとさかのぼれるのかも知れませんが。
最初かどうかよりもミステリとしてのクォリティの高さに重点を置きたいですね🙂。


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